うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

化物夜更顔見世 その9

【前回までのあらすじ】
大入道は、悪巧みを見逃してもらう代わりに二人の子供(姉・お六、弟・ちょろけん小僧)を白猿に差し出します。お六と白猿の付き人与四郎は恋仲になったのですが、お六には河童の川太郎という許婚がいて、大入道は川太郎から支度金を受け取ってしまっています。川太郎に支度金を返せばお六は自由の身になると考え、与四郎は よくあん という藪医者から返す当ての無い金を借ります。お六は野良狐の家に忍び込み、大金が入った包みを盗み出しますが。。。

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国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物夜更顔見世 2巻
10ページ目です。


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翻刻
よくあんは◆与四良にかした◆
かねやくそくに◆すまぬゆへ◆
お六をつれ◆かへり女房(にようぼう)に◆
せんとい◆ろ/\なん◆
たいをいゝて◆与四良を◆
てごめに◆てうち◆
やくするに◆お六こゝそ◆
かねのたし◆ところとその◆
かねこゝにと◆いつはしおちを◆
とるきにて◆ぬすみをい◆
たるふくさ◆つゝみを◆
あけていだ◆せばかねには◆
あらて玉/\ぬす◆
みをすればかねでは◆
なくてかいたまたと◆
はらたちまき◆れにほうり◆
たしたをうし◆ろにうかかふ◆
ちよろけん◆そつととり◆
これこそのら◆きつねかたい◆
せつにする◆めいきよくこれ◆
さへもつていれば◆
きのはもこはん◆とはける◆
やつたとちよろけん◆
さそくの六十四両◆
みゝはそろはす◆
ともうしろ◆から◆ばら/\/\

【現代語表記】
よくあんは、与四郎に貸した金、約束に済まぬ故、お六を連れ帰り女房(にょうぼう)にせん、といろいろ難題を言いて、与四郎を手込めに打擲[ちょうちゃく]するに、お六、ここぞ金の出し所と「その金ここに」と、いっぱし落ちを取る気にて、盗み置いたる袱紗[ふくさ]包みを開けて出せば、金にはあらで玉。
「たまたま盗みをすればでかい玉だ」と、腹立ち紛れに放り出したを、後ろに窺[うかが]うちょろけん、そっと取り、
「これこそ、野良狐が大切にする名玉。これさえ持っていれば、木の葉も小判と化けるやつだ。」
と、ちょろけん、早速[催促?]の六十四両、耳は揃わずとも、後ろからバラバラバラ。

【ざっくり現代語訳】
よくあんは、与四郎が期限までに金を返さなかったので、お六を連れて帰り女房にしようと、色々と無理難題を言って、与四郎をボコボコにリンチします。
お六は、ここが金を出すタイミングだと、「そのお金はここにありまする!」と、いっちょまえに千両役者気取りで、盗んでおいた袱紗包みを仰々しく開けて出します。
すると、中に入っていたのは金ではなくでした。
「たまたま盗みをしたら、たまたまだけにデカいだったとは!」と、お六は腹が立つままにを放り投げました。
後ろに隠れて様子をうかがっていたちょろけん小僧は、このをそっと取り、
「これこそ、野良狐が大切にしている名玉ではないか! これさえ持っていれば、木の葉も小判に化けるという。」
と、早速、の力で木の葉を六十四両に変え、元々葉っぱだからきちんと束ねられてはいないけれども、そんなことは構わず後ろからバラバラと撒くのでした。

【解説】
お六与四郎が暴行を加えられる前に出せばいいのに(笑)
自分に酔ってちょっと芝居がかったことをしようとしてるのが面白いです。
借金取りが「耳を揃えて返せ!」とよく言いますが、それを踏まえて「耳は揃わずとも」とシャレています。
ちょろけん小僧が窮地を救うわけですが、あれ?ひょっとしたら主役はちょろけん小僧???
前回のくずし字クイズの答えは、ここの最初の部分です!


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翻刻
どうしてその六◆
十四れうがいま◆
のまにてきたのだ◆
とふもがつてんか◆いかねヱ◆
とらずは◆なるまい

【現代語表記】
「どうしてその六十四両が今の間に出来たのだ。
どうも合点がいかねえ。
取らずはなるまい。」

【ざっくり現代語訳】
(よくあん)
「どうしてその六十四両が一瞬で用意できたのだ?
さっぱり納得がいかないが、受け取らないわけにはいかない。。。」

【解説】
六十四両を出されてしまっては、よくあんも渋々受け取らないわけにはいきません。
お六を女房にするという策略はあと一歩のところで成功しませんでした。。
それにしても、お六はモテモテですなあ(笑)


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翻刻
お六くびを
ちゞめてはびこと
わびことするゆへ
とんたいゝおんなに◆みへ◆やす

【現代語表記】
お六、首を縮めて詫び言、詫び言する故、とんだいい女に見えやす。

【ざっくり現代語訳】
お六は首を縮めて何度も謝るので、とてもいい女に見えます。

【解説】
お六は恐縮して首を引っ込めているので、普通の人と同じ長さになったというわけです。
お六は顔自体は美人さんなのですね♪
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それにしても、ろくろ首の首って長さを自在に調整できるのですね(笑)

 

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国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物夜更顔見世 2巻
10ページ目です。

翻刻
お六やてめヱいつ
でもあやまり
づめかいゝせ
くびが◆ほん◆とうだ◆
から◆うれ◆しい◆

【現代語表記】
お六や、てめえ、いつでも謝り詰めがいいぜ。
首が本当だから嬉しい。

【ざっくり現代語訳】
(与四郎)
お六よ、お前はずっと謝り続けているのがいいよ。
首が人と同じ長さになって嬉しいもの。」

【解説】
こんな修羅場でなに呑気なこと言ってるんでしょうか、与四郎は。
お六も考え直した方がいいのでは?(笑)


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翻刻
お六きも◆をつぶし◆ひとまを◆
みれはちよろけんこそう
これあねごおれか
目をみさつせヱ◆/\と◆
あしな目を◆す◆る

【現代語表記】
お六、肝を潰し、一間を見れば、ちょろけん小僧、
「これ姉御、俺が目を見さっせえ、見さっせえ。」
と、味な目をする。

【ざっくり現代語訳】
急に小判が出てきたので、お六はビックリして後ろの小部屋を見ると、そこにいるのはちょろけん小僧
ちょろけん小僧は、「お姉さま、俺の目をご覧なせえ!」と言って、「上手いことやってやりやした」という目をするのでした。

【解説】
ちょろけん小僧もちょっと芝居がかっています(笑)
挿絵では、ちょろけん小僧ウチワであおいで木の葉を小判に変えていますね。
というか、どこから持ってきた、その木の葉(笑)

ここでは真剣なのか、ちょろけん小僧が珍しくを出していません。

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各自の会話部分の時系列がバラバラで分かりにくくなっていますが、時系列順に右から書かれているわけではなく、登場人物の近くに書いているので、そういうことが起こっています。

さて、これでハッピーエンド、なわけないですよね、あと三回続きます!

ーーー

◆くずし字クイズ◆

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ノーヒントで大丈夫だと思いますが、最初の部部が「川太良」とだけは言っておきます♪

 

kihiminhamame.hatenablog.com


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