うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

化物夜更顔見世 その11

【前回までのあらすじ】
お六の許婚の川太郎に支度金を返すために藪医者の よくあん から借りた金は、ちょろけん小僧が野良狐の玉(お六が盗んだ)の力で木の葉を小判に変えて返します。
一方、お六のことを諦めきれない川太郎は、野良狐の玉の力で人間の色男に化けてお六を取り戻そうとたくらむのですが。。。

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国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物夜更顔見世 2巻
12ページ目です。


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翻刻
お六と与(よ)四良はよくあんへかへしたかねの
しりかわれていまは身をしのふ
いろごと◆のならひ◆小石川◆
へん◆に◆うら◆た◆なを◆かり◆
お六◆与四◆良は◆ちん◆/\◆
かも◆かしは◆めんど◆りおん◆
どりな◆かよく◆くらす◆ところへ◆
よくあんが◆てびきにて◆川太良あ◆
またのば◆けもの◆をひき◆つれ◆
お六を◆とり◆かへ◆さんと◆
いろ/\に◆ばけてき◆たこゝろ
いきだか◆のらき◆つねの◆まじなひ◆
きかぬから◆
ねこはねこづらむまはむまづらうしは
うしづらねつからつまらず

【現代語表記】
お六と与(よ)四郎は、よくあんへ返した金の尻が割れて、今は身を忍ぶ色事の習ひ、小石川辺に裏店[うらだな]を借り、お六・与四郎は、ちんちんかもかしわ[男女が仲睦まじい事を意味する「ちんちんかもかも」と鳥の「鴨」、鶏肉を意味する「かしわ」をかけて、「鳥」からの連想で下の「雄鳥・雌鳥」につなげている]、雌鳥・雄鳥[めんどり・おんどり]仲良く暮らす所へ、よくあんが手引きにて、川太郎、数多[あまた]の化け物を引き連れ、お六を取り返さんと、色々に化けてきた心意気だが、野良狐の呪い[まじない]効かぬから、猫は猫面、馬は馬面、牛は牛面、根っから詰まらず。

【ざっくり現代語訳】
お六と与四郎は、よくあんに返した金が木の葉だったことがバレ、色恋沙汰の定めとはいえ、今は身を隠さねばなりません。
小石川辺りの裏通りの家を借り、雄鳥と雌鳥のように仲良く暮らしていましたが、それを捜し出したよくあんの手引きで、川太郎がたくさんの化け物を引き連れてきました。
化け物たちは人間の色男に化けてきたつもりでしたが、野良狐のまじないが効かなかったので、は猫面、は馬面、は牛面のままで、バカバカしいったらありゃしない。

【解説】
玉の力で小判に変えた木の葉は、ずっと小判のままではなくて、しばらくしたら木の葉に戻ってしまったようですね。
お六にアピールするために色男に化けるのは川太郎だけでいいのに、他の化け物も人間の色男になるように野良狐に頼んだのは、たぶん、川太郎に協力したお礼の意味合いもあったのですかね。
まあ、玉はお六に盗まれてしまっているので、野良狐の呪文が効くわけもないですが(笑)
それにしても、「ちんちんかもかし」「ちんちんかもかも」の誤記かと最初思ったんですが、んもう、こんな所にまでダジャレを仕込んでいるとは、油断も隙もないです!(笑)



翻刻
わつ◆ちやァ◆いやおまへ◆
のやうな◆ばけ◆ものに◆
と◆にく◆まれ◆口を◆きく

【現代語表記】
「わっちゃあ、嫌。
お前のような化け物に。」
と憎まれ口を聞く。

【ざっくり現代語表記】
ちょろけん小僧は、
「わっちゃ~!!!いやあ!!!
お前のような化け物に、お姉さまを渡してたまるか!」
と憎まれ口をたたきます。※ご指摘を受けて訂正しました。]
お六は、
「私は嫌!
お前のような化け物に好かれるのは[化け物の嫁になるのは]!」
と憎まれ口をたたきます。

【解説】
化け物(お六)が化け物(川太郎)に「化け物」って言っちゃってるのがおかしいですね(笑)



翻刻
川(かは)太良きはどい◆ところで◆お六を◆
くどく◆おがむ/\◆
ちよ◆つと◆口(くち)◆/\

【現代語表記】
川(かわ)太郎、際どい所で、お六を口説く、拝む拝む。
「ちょっと、口(くち)、口。」

【ざっくり現代語訳】
川太郎は、こんな大変な状況なのに、お六を拝んで口説きます。
「ちょっとだけでいいから、チューして~!」

【解説】
川太郎、どうしようもない奴ですが、なんか、逆にかわいそうになってきました(笑)



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翻刻
おいらははけているが
うぬが目にははいらぬか
ハテばけなつらだ

【現代語表記】
「おいらは化けているが、己[うぬ]が目には入らぬか。
はて、化けな面だ」

【ざっくり現代語訳】
(猫)
「オレは化けているはずだが、お前には見えないのか?
おや、おかしいな、化け物面のままじゃないか。。。」

【解説】
さん、化け物面のままじゃ、吉原に行けなくて残念ですね(笑)



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翻刻
ちよろけんは
たまのとく◆にて
人げんとばけてゐる
ちよろけん太郎ばけ◆また
いてものみせんと
いうまゝに

【現代語表記】
ちょろけんは、玉の徳にて、人間と化けている。
「ちょろけん太郎化又[ちょろけんたろうばけまた?]、出物[いでもの?]見せん!」
と言うままに。

【ざっくり現代語訳】
ちょろけん小僧は、玉の力で人間に化けています。
ちょろけん太郎化又、目に物を見せてやろう!」とか何とか言っちゃったりして。

【解説】
「ちよろけん太郎ばけまた」、たぶん歌舞伎の役名かなんかをもじってるんだと思うんですけど???
それにしても、人間に化けても頭は大きいままなんですね(笑)
はい、前回のくずし字クイズの答えはここです!


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翻刻
ひゝん
どヲけヱ
なり

【現代語表記】
ひひん。
道化なり[?]。

【ざっくり現代語訳】
(馬)
「ひひ~ん!
これでは道化役ではないか!」

【解説】
ちょっと「どヲけヱ」がよくわからなかったんですが、この頃からの鳴き声が「ひひん」だったことはわかりました(笑)

いよいよ、次回が最終回です!

この巻、最後のくずし字クイズ、もちろんノーヒントで!

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