うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

大昔化物双紙 その5

【前回までのあらすじ】
一つ目小僧は越後の大入道に家督を譲られ、今入道と名乗って諸国化け修行に出ます。一方、丹波のヒヒは見越し入道を養子に迎え、今入道に一泡吹かせるように命じます。

f:id:KihiminHamame:20171202214637j:plain
国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大昔化物双紙 2巻
7ページ目です。

f:id:KihiminHamame:20171202214645j:plain


①本文

f:id:KihiminHamame:20171202214659j:plain

翻刻
いまにうだう◆つく/\と◆おもひけるは◆
ばけのさとは◆おふくのばけ◆ものゝゐりこむ◆
ところなれば◆此さとにいり◆こみばけしゆ◆
ぎやうせんと◆まいや/\◆かよひけるが◆
此ごろの◆つきだし◆しんやの◆
毛(け)女郎と◆ふかくなれ◆そめける

【現代語表記】
今入道、つくづくと思いけるは、
「化けの里には多くの化け物入り込む所なれば、この里に入り込み、化け修行せん」
と、毎夜毎夜、通いけるが、この頃の突き出し、新屋[?]の毛(け)女郎と深く馴れ初めける。

【ざっくり現代語訳】
今入道はじっくり考えて、
化けの里は多くの化け物が集まる場所だから、ワシもこの里に行って、化け修行をしよう!」
と決めました。
そして、毎晩のように通ううちに、最近初めて店に出るようになった新屋の毛女郎と深い仲になってしまったのでした。

【解説】
新人の女郎と言うことで、店の名を新屋としたのでしょう、たぶん。
そもそも、「化け修行」って何?って思ったのですが、「武者修行」をもじってるんですよね(笑)
肝心の毛女郎の姿は次回で見れます。


②本文

f:id:KihiminHamame:20171202214720j:plain

f:id:KihiminHamame:20171202214728j:plain

翻刻
ひゝがやうしの◆みこしにうだうは◆毛女良がつき◆
だしのそのひ◆よりいろ/\◆こゝろをつくし◆
てにいれんと◆しけれども◆いつかうとく◆
しんなければ◆いかなるわけ◆やらんとおもひ◆
けるに毛女良は◆いまにうだうと◆ふかくなじみて◆
うまきなかときゝ◆きもをつぶし毛女良を◆
今にうだうにとられては
やしなひおやたるひゝに
いゝわけもたゝずなにとぞして
毛女良をわがてにゐれいまにう
たうのはなをひしがんと心を
いたむるおりからくるはにてゆきあひさや
あてしてついに毛女良のもらひひきになる

【現代語表記】
ヒヒが養子の見越し入道は、毛女郎が突き出しのその日より、色々心を尽くし、手に入れんとしけれども、一向得心なければ、いかなる分けやらんと思いけるに、毛女郎は今入道と深く馴染みて旨き仲と聞き、肝を潰し、
「毛女郎を今入道に取られては、養い親たるヒヒに言い訳も立たず、何とぞして毛女郎を我が手に入れ、今入道の鼻を拉がん」
と、心を痛むる折から、廓にて行き合ひ、鞘当てして、ついに毛女郎の貰い引きになる。

【ざっくり現代語訳】
ヒヒの養子の見越し入道は、毛女郎が初めて店に出たその日より、あれこれとチヤホヤして、自分のものにしようとしましたが、全然なびかないので、どうしてだろうと思っていたところ、毛女郎今入道と深い仲になっていると聞いてビックリ仰天しました。
毛女郎今入道に取られては、養父のヒヒに合わせる顔もない。何としてでも毛女郎を自分のものにして、今入道に一泡吹かせてやる!」
見越し入道が怒りに震えていた矢先に、遊郭今入道見越し入道は出会ってしまい、とうとう毛女郎の奪い合いとなったのでした。

【解説】
「鞘当て」とは、一人の女性を狙う二人の武士が、すれ違いざまに刀の鞘がぶつかったことから争いになる、という遊里の場面が、歌舞伎の趣向でよく見られることから、一人の女性を二人の男性が奪い合うことを意味します。
二人が奪い合う毛女郎の姿はさぞかし美しいのでしょうね♪
あ、そういえば、我々と化け物とでは美的感覚が違うんでしたね。。。
というか、見越し入道は、ここまで今入道を捜さずに、化けの里で遊んでたんですね(笑)


③セリフ部分

f:id:KihiminHamame:20171202214750j:plain

翻刻
此ところ◆だんまりに◆しておくべい

【現代語表記】
この所、黙り[だんまり]にしておくべい。

【ざっくり現代語訳】
[今入道のセリフ]
「ここは黙っておるわけにはいくまい!」

 

④セリフ部分

f:id:KihiminHamame:20171202214809j:plain
翻刻
おれも◆だんまりで◆いべい

【現代語表記】
俺も黙り[だんまり]でいべい。

【ざっくり現代語訳】
[見越し入道のセリフ]
「オレも黙っちゃいれれねえ!」

【解説】
はい、前回のくずし字クイズの答えはここです!
「いべい」の「へ」は「遍」のくずしですね。
よりによって、敵同士の二人が(まあ、敵だと言ってるのは一方的に見越し入道の側ですがw)、同じ女郎を好きになってしまうわけです。

毛女郎の心は今入道になびいているので、今入道に分があると思われますが、はてさてどうなるか?
次回に続く!

ーーー

◆くずし字クイズ◆

f:id:KihiminHamame:20171202224755j:plain

一行目がちょっと難しいかもしれませんが、もう、ノーヒントで大丈夫ですよね♪

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain
◆オススメ書籍
江戸の怪異文学の挿絵解説CD-ROMが収録されています♪
西鶴と浮世草子研究〈第2号〉特集・怪異―闇の叫びを追究する

西鶴と浮世草子研究〈第2号〉特集・怪異―闇の叫びを追究する

 
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain
◆下の広告をクリックしていただけたら、ありがたいです♪
はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村

江戸時代ランキング
◆よろしければ はてブ もお願いします。憧れのホットエントリー(笑)
広告