うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

大昔化物双紙 その9

【前回までのあらすじ】
越後の大入道の跡を継いだ今入道は、親から貰った目をくりぬいて愛の証として毛女郎に渡してしまいます。
丹後のヒヒは、今入道に養子の見越し入道が恥をかかされたのに腹を立て、このことにつけこんで今入道を散々罵った挙げ句、毛女郎を揚げ詰めにしていまうのでした。

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国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大昔化物双紙 2巻
10ページ目です。

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①本文

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翻刻
なさけなや
いまにうだうは
ひゝかはからひにて
たけのこがさを
かぶせられまるぼんにとうふをのせて
てにもたせくるはのわかいものに
いゝつけばけのさと
でぐちの◆やなぎの◆したへ◆
おひ◆いだ◆され◆ける

【現代語表記】
情けなや、今入道はヒヒが計らいにて、竹の小笠を被せられ、丸盆に豆腐を乗せて手に持たせ、廓[くるわ]の若い者に言い付け、化けの里出口の柳の下へ追い出だされける。

【ざっくり現代語訳】
情けないことに、今入道ヒヒの指図で、竹の小笠をかぶせられた上に、豆腐を乗せた丸盆を手に持たされたました。
そして、ヒヒ遊郭若い者に言い付け、今入道化けの里の出口の柳の下に追い出したのでした。

【解説】
今入道家督を譲られた証[あかし]の片目を毛女郎に与えて一つ目に戻ってしまったので、今入道を襲名する前の豆腐小僧スタイルにさせられるという辱め[はずかしめ]を受けます。
ちゃんと豆腐小僧定番の紅葉マークがついていますが、それにしても大きな豆腐ですこと!(笑) 

kihiminhamame.hatenablog.com


②セリフ部分

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翻刻
きり/\◆きへて◆しまへ◆/\

【現代語表記】
「きりきり、消えてしまえ、消えてしまえ。」

【ざっくり現代語訳】
[下駄の化け物のセリフ]
「さっさと消えてしまえ!」

【解説】
なんか下駄の化け物だけあらぬ方向を向いていますね(笑)

 

③セリフ部分
翻刻
はやく◆どこぞへ◆いつて◆こどもでも◆おどかせやい

【現代語表記】
「早くどこぞへ行って、子供でも脅かせやい。」

【ざっくり現代語訳】
[徳利の化け物のセリフ]
「早くどっかに行って、子供でも脅かしてろ!」


④セリフ部分

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翻刻
うぬがざまを◆みをれやつはり◆
もとの◆ちよろけん◆小ぞうた◆
ホンニ◆みじめ◆かん◆ねん◆ぶつ◆だ

【現代語表記】
「己[うぬ]が様[ざま]を見おれ。
やっぱり元のちょろけん小僧だ。
ほんに、惨め観念仏だ[「観念」と「念仏」の「念」をかけてつなげた]

【ざっくり現代語訳】
[徳利の化け物のセリフ]
「自分の格好を見てみろよ!
ちょろけん小僧に逆戻りだ!
本当に惨めだな。もう諦めな。」

【解説】
ここで、この作品と同じ桜川慈悲成作・歌川豊国画『化物夜更顔見世』の登場人物の名前でも使われていた「ちょろけん小僧」という言葉が出てきます。
はい、この言葉も気になったので、この作品を読んでみたのです。
『化物夜更顔見世』「ちょろけん小僧」に関しては、関西の大道芸の「ちょろけん」から採られたとwikipediaには書かれています。

大頭小僧 - Wikipedia

つまり、関西の大道芸の「ちょろけん」のように大きな頭だから「ちょろけん小僧」というわけですね。 

kihiminhamame.hatenablog.com
しかし、ここでは、豆腐小僧の格好で子供を脅かしていた一つ目小僧のことを「ちょろけん小僧」と言っています。
今入道(一つ目小僧)は、大きな頭ではないので、関西の大道芸の「ちょろけん」とは共通点がありません。
つまり、同じ作者の『化物夜更顔見世』「ちょろけん小僧」ともども、関西の大道芸の「ちょろけん」とは無関係だということです。
では、一体、ここでの「ちょろけん小僧」はどういうもので、何を意味するのやら???
『化物夜更顔見世』『大昔化物双紙』「ちょろけん小僧」に共通するのは、共に豆腐小僧の格好をする点です。
あとは、越後の国の大入道の息子で、当たり前ですが小僧だという点。
、、、以上!(笑)
「ちょろっと」とか「おちゃらけ」とかそのあたりから来た言葉ではないかと推測するのですが、よくわかりません!!!
普通に出ている言葉なので、当時の人はわかったのでしょうが、うーむ。。。
ほかに用例が見つかれば少しは進展するのでしょうが。。。
調査続行です。


⑤セリフ部分
翻刻
あみだの◆ひかりに◆あたつた◆よふな◆ざまた

【現代語表記】
阿弥陀の光に当たったような様[ざま]だ。

【ざっくり現代語訳】
[お猪口の化け物のセリフ]
「まるで阿弥陀如来の後光に当たったようなザマだな!」

【解説】
阿弥陀如来の後光は人間にはありがたいものですが、化け物にとっては恐ろしいものなのでしょうね。
阿弥陀の光も金次第」ということわざを、ふまえているのかもしれません。


⑥セリフ部分

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翻刻
いまいちど◆毛女郎にあはせて◆
くだされなさけ◆女郎だと◆しやれる

【現代語表記】
「今一度、毛女郎に会わせてくだされ。
情毛女郎だ[「情け」の「け」と「毛女郎」の「毛」をかけてつなげた]
と洒落る。

【ざっくり現代語訳】
[今入道のセリフ]
「もう一度だけでも毛女郎に会わせてくだされ!
お情けを!」

【解説】
ざっくり現代語訳では省きましたが、こんな状況でもダジャレを言う余裕がある今入道は、やっぱり大物なのかもしれません(笑)

化けの里を追い出されてしまった今入道は、ヒヒに負けないくらい力をつけて、再び毛女郎と会うことができるのでしょうか?
次回に続く!

―――

◆くずし字クイズ◆

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ちょっと最近、説明が雑だったので、今回は丁寧に(笑い)

【ヒント1】

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現在とほぼ同じ書体の所をなぞってみました。

【ヒント2】

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この二つは同じ字ですね。

【ヒント3】

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この二つも同じ字です。

【ヒント4】

f:id:KihiminHamame:20171207215236j:plain

この二つはよく出てくるので必ず覚えましょう。

【ヒント5】

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今回はこの「志」のくずしの「し」を覚えてお帰りくださいね。

 

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