うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

人の肉、仏の肉、の巻 ~「青頭巾」(『雨月物語』より)その10~

「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!

すっかり更新の間が空いちゃったけど、ボクのこと覚えてる???

f:id:KihiminHamame:20180824213611j:plain

f:id:KihiminHamame:20180824213615j:plainf:id:KihiminHamame:20180824213620j:plain
※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています
霞亭文庫書誌詳細
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻

めぐりて躍(をど)りくるひ。遂(つひ)に疲(つか)れふして起来らず。夜明て朝日の
さし出ぬれば。酒の醒(さめ)たるごとくにして。禅師がもとの所に
在(いま)すを見て。只あきれたる形(さま)にものさへいはで。柱(はしら)にもたれ
長嘘(ためいき)をつぎて黙(もだ)しゐたりける。禅師ちかくすゝみよりて。院主(ゐんじゆ)
何をか歎(なげ)き給ふ。もし飢(うへ)給ふとならば野僧が肉(にく)に腹(はら)をミたし
め給へ。あるじの僧いふ。師は夜もすがらそこに居させたまふや。
禅師いふ。こゝにありてねふる事なし。あるじの僧いふ。我あさ
ましくも人の肉を好めども。いまだ佛身(ふつしん)の肉味をしらず。師ハ
まことに佛なり。鬼畜(きちく)のくらき眼(まなこ)をもて。活佛(くハつぶつ)の来迎(らいかう)を
見んとするとも。見ゆべからぬ理(ことわ)りなるかな。あなたふとゝ頭(かうべ)を
低(たれ)て黙(もだ)しける。禅師いふ。里人のかたるを聞けば。汝一旦(ひとたび)の愛
慾(あいよく)に心神こゝろ)ミだれしより。忽鬼畜に堕罪(だざい)したるハ。あさまし

赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

[くずし字クイズの補足説明]
f:id:KihiminHamame:20180824213746j:plain

【現代語表記】

巡りて躍(おど)り狂い、遂(つい)に疲(つか)れ伏して起き来らず。
夜明て朝日の差し出でぬれば、酒の醒(さめ)たるごとくにして。禅師が元の所に在(いま)すを見て、只呆[あき]れたる形(さま)に物さえ言わで、柱(はしら)にもたれ、長嘘[溜息](ためいき)を吐[つ]ぎて黙(もだ)し居たりける。
禅師、近く進み寄りて、
「院主(いんじゅ)、何をか歎(なげ)き給う。
もし飢(うえ)給ふとならば、野僧が肉(にく)に腹(はら)を満たしめ給え。」
主[あるじ]の僧言う。
「師は夜もすがら、そこに居させ給うや。」
禅師言う。
「ここに在りて、眠る事なし。」
主の僧言う。
「我、浅ましくも人の肉を好めども、いまだ仏身(ぶっしん)の肉味を知らず。
師は真(まこと)に仏なり。
鬼畜(きちく)の暗き眼(まなこ)を以て、活仏(かつぶつ)の来迎(らいごう)を見んとするとも、見ゆべからぬ理(ことわ)りなるかな。
あな尊(とうと)」
と頭(こうべ)を低[垂](たれ)て黙(もだ)しける。
禅師言う。
「里人の語るを聞けば、汝(なんじ)一旦[一度](ひとたび)の愛欲(あいよく)に心神(こころ)乱れしより、忽(たちま)ち鬼畜に堕罪(だざい)したるは、浅まし

【さっくり現代語訳】

(今度は庭を)グルグル回って狂ったように飛び跳ね、とうとう疲れてバタンキューと倒れたのでした。

が明けて、朝日が差してきたので、住職はまるで酒の酔いから醒(さ)めたような気持ちで目を覚ましました。

快庵禅師昨夜同じ所にいるのを見て、ただ呆然(ぼうぜん)と驚き、にもたれてため息をつき、一言も発することが出来ませんでした。

快庵禅師住職に近寄り、

住職殿、何をそんなに歎(なげ)いておられる?

もし、が減っているなら、私の肉を食べて、を満たしなされ。」

嫌みったらしく言いました。

住職が、

あなた様は、一晩中、そこにいらっしゃったのですか?」

と聞くと、快庵禅師は、

ここにいて、ずっと起きていました。」

と答えました。

そして、住職は、

は愚かにも人の肉を好んで食べますが、いまだに仏の肉を食べたことはありません。

なるほど、あなたは真の仏でございます。

のような鬼畜な者の濁った目で、あなた様のような生き仏の姿が見えなかったのは当然のことです。

ああ、尊いことです。」

と言い、ガクッとうなだれて、黙り込んでしまいました。

快庵禅師は、

里人が語るのを聞いたが、お前は一時(いっとき)の愛欲におぼれて精神に異常をきたし、鬼畜に成り下がってしまったのは、愚か

【解説】

期待したようなバトルはなく、あっさりと勝負決着はついたようです(笑)

快庵禅師の姿が住職には見えなかったということですが、寝る前起きた後は、普通に姿が見えていますよね。

住職快庵禅師姿が見えなかった時間は何があったか?

はい、前回を読み直して下さい(笑)

kihiminhamame.hatenablog.com

そう、住職快庵禅師姿が見えなかった間は、月の光が寺の中を照らしています。

つまり、月の魔力によって快庵禅師の姿住職には見えなくなったのではないでしょうか?

月の光快庵禅師から発するオーラを照らして増幅し、それに包まれた快庵禅師の姿まぶし過ぎて濁った住職の目には入らなかったということでしょう。

さてさて、鬼畜道に堕ちてしまった住職を、快庵禅師はどう救おうというのでしょうか?

次回に続く!

次回予告とくずし字クイズ

f:id:KihiminHamame:20180824214734j:plain

今回はノーヒントで!

タイトルアレ住職被せるわけですね!

三つ目コーナー

わ~い、 id:flemy さん三つ目たちを描いてくれたよ♪

みんなも探してみてね♪

f:id:KihiminHamame:20180824214841j:plain
flemy.hatenablog.jp

わ~い、私もいる♪

わ~い、僕もいる♪

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain
いただいた紅茶のレビューはこちら♪

いただいた桂花陳酒のレビューはこちら♪

 いただいたぺんてる筆のレビューはこちら♪

いただいたハンドルピッチャーのレビューはこちら♪  NEW!

  

◆オススメ書籍 私もちょっとだけ書いてます♪

西鶴作品が現代語でわかりやすく読めます♪ 

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

 

江戸の男色文学を紹介するエッセーなどが掲載されています♪

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

◆下の広告(by 忍者AdMax)をクリックしていただけたら、ありがたいです♪

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします。憧れのホットエントリー(笑)