うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

亀山人の所に亀山の化け物が訪ねて来ました ~『亀山人家妖』その5~

『亀山人家妖』の続きだよ!

あ、僕と同じ髪型の人が訪ねてきたみたいだよ♪

f:id:KihiminHamame:20181110175300j:plainf:id:KihiminHamame:20181110175305j:plain

f:id:KihiminHamame:20181110175313j:plainf:id:KihiminHamame:20181110175318j:plain
喜三二[平沢常富]作、北尾重政 画『亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの)』天明7 [1787]年刊
※この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
絵本国土産 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻 赤字が前回のくずし字クイズの答えです。

喜三二ばけ物のくふうにこまりいる折ふし
蔦十よりハ日々のさいそくにて九月廿五日
くれ六ッの◆かねをあいづに◆しや本を◆
ワたすべしと◆手づめになり◆こまりける時◆
いづくともなく◆一人の入道来りて曰◆
「ワたくしハソレおめへの号に◆
付てござる◆かめ山の化物さはこねからこつ◆
ちといふハむかしのことで◆今ハ日本中にやぼと◆
ばけ物ハねへからワわたしも◆
化ものをぐつとやめのしろう◆
とゝなりサやくしやを化物と◆
見るやうなやぼなこつ◆ちやァとんとうけとら◆
ねへからおめへに大事の◆こつたけれ共申やす

なりほどこいつハ◆おもしろいさて◆
もうこんど◆ハ大てこ◆ずりだ

ワたしがばけ◆物でゐた時◆もついニば◆
けたことハ◆ねへけど◆ソレ◆むかふ◆
からば◆かされ◆て来やす◆こゝを◆
よく◆くふう◆して◆ミなさ◆いと云

喜三二ハさうをうにあい◆さつハしけれ共ばけ物◆
ときゝておそろしく◆なりける心のまよひ◆
にやそこらあたりまつ◆くらになりてかめやまの◆
ばけものハゆきがた◆しらずなつたかなら◆
ぬかまつくらにて◆見へワかず◆
尤喜三二が◆すがたも◆見へぬ◆つもり◆なり

此紙◆半まいハ◆何もかくこと◆なきゆへ◆
じつハまつ◆くらニなり◆たるなり◆
きつい◆喜三二◆でん◆の◆こぢつけ◆なり

【現代語表記】

喜三二、化け物の工夫に困り入る折節、蔦十よりは日々の催促にて、
「九月廿五日暮れ六つの鐘を合図に写本を渡すべし。」
と、手詰めになり、困りける時、何処(いずく)とも無く一人の入道来たりて曰(いわ)く、
「私(わたくし)は、それ、お前(めえ)の号に付て御座る亀山(かめやま)の化け物さ。
箱根からこっちと言うは昔の事で、今は日本中に野暮と化け物は無(ね)えから、私も化け物をぐっと辞めの素人となりさ。
役者を化け物と見る様な野暮なこっちゃあ、とんと受け取ら無(ね)えから、お前(めえ)に大事のこったけれども申しやす。」

「成程(なりほど)、こいつは面白い。
さて、もう今度は大手子摺(てこず)りだ。」

「私が化け物で居た時も、終(つい)に化けた事は無(ね)えけれど、それ、向こうから化かされて来やす。
ここを良く工夫してみなさい。」と言う。

喜三二は相応に挨拶しけれども、化け物と聞きて恐ろしくなりける心の迷いにや、そこら辺り真っ暗になりて、亀山の化け物は行き方知らず成ったか成らぬか、真っ暗にて見え分かず。
尤(もっと)も、喜三二が姿も見えぬ積もりなり。

此の紙半枚は何も描く[書く]事無き故、実は真っ暗になりたるなり。
きつい喜三二殿(でん)のこじつけなり。

【さっくり現代語訳】

喜三二化け物イデアに困っていましたが、蔦屋重三郎からは毎日催促が来て、
九月二十五日の、暮れ六つ[午後6時頃]の鐘締め切りの合図として、原稿を渡してくだされ。」
最後通告をされたので、追い詰められて困っている時、どこからともなく一人の入道がやってきて言いました。
お前別名につけている亀山(かめやま)の化け物[喜三二の別名の一つが亀山人]
『野暮(やぼ)と化け物は箱根から先』と言うが、それはのことで、日本中野暮化け物はいなくなってしまった。
だから化け物をやめて一般人となったのだ。
お前みたいに役者化け物に見立てるような野暮なことをやっても[前回参照]、全く受けないから、お前大事なことを教えてあげましょう。」

喜三二
「なるほど、化け物でいらっしゃったとは、これは面白い
今度ばかりは大いにてこずってましてな。」

亀山の化け物
化け物だった時は、とうとう自分から化かしに行った事はなかった。
向こうから化かされに来るもんなんだ。
このあたりのことを良く考えて工夫なされ。」

喜三二はそれなりに入道に応対したけれども、やはり元は化け物だったと聞いて恐ろしくなり、そこから心の迷いが生じたのが、あたりが真っ暗になりました。
亀山の化け物がどこかに行ったのか、まだ居るのかさえ、真っ暗で分からなくなりました。
もっとも、喜三二の姿も居るか居ないか、真っ暗で見えないんですがね。

この半ページは、実は何も描くことが無かったから、真っ暗になったのです。
ほんと、喜三二殿カンベンして欲しいですわ。

【解説】

「亀山の化け物」は、『嬉遊笑覧』巻六下「飛人形」などの記述によると、丹波国の亀山京都府亀岡市で生け捕ったという化け物見世物がよくあったようです。
当時、浅草寺の雷門では「亀山の化け物」という名前の玩具も売られていたそうです。
嬉遊笑覧 : 12巻附1巻. 下 - 国立国会図書館デジタルコレクション
妖怪カルタにも「亀山の化け物」の札がありますね。
お化けかるた - Wikipedia

「野暮と化け物は箱根から先」ということわざは、「野暮な人と化け物は箱根から西に住んでいる」という意味です。
つまり、箱根から西は田舎だとディスっていることわざです。

やっぱり、前回は役者化け物に仕立てたみたいですね、間違ってなくて良かった♪
誰の事を言っているか特定したいものですが。。。kihiminhamame.hatenablog.com

「化かしに行くんじゃなくて、向こうから化かされに来るようにする」
哲学めいてるのか何だかで、わかったような、わからないような(笑)


それにしても、描くことがないからって、左ページの絵黒塗りにしてしまうなんて、赤塚不二夫のマンガでありそうな趣向です。
斬新と言うか、喜三二さん、ガンガン攻めてますよねえ(笑)

次回予告とくずし字クイズ

次回で上巻が終わりです。
喜三二さんは何かを悟ったようです。

f:id:KihiminHamame:20181110175722j:plain

三つ目コーナー

   

三つ目言わせること何も無いので、真っ白にしました(満面の笑み)

 

     

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain

いただいたイヤホンのレビューはこちら♪ NEW!

いただいた紅茶のレビューはこちら♪

いただいた桂花陳酒のレビューはこちら♪

 いただいたぺんてる筆のレビューはこちら♪

いただいたハンドルピッチャーのレビューはこちら♪

  

◆オススメ書籍 私もちょっとだけ書いてます♪

西鶴作品が現代語でわかりやすく読めます♪ 

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

 

江戸の男色文学を紹介するエッセーなどが掲載されています♪

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

◆下の広告(by 忍者AdMax)をクリックしていただけたら、ありがたいです♪

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w