【さっくり現代語訳】は直訳ではなく、古文に馴染みのない方でも読みやすいように、さっくりと現代語に訳したものです。
ですので、【原文】はすっとばして、【さっくり現代語訳】と【解説】だけを読んでいただいても全然構いません♪
このブログは江戸文学を広く愛していただくために、ディープな方にもライトな方にも楽しんでいただけるよう心がけております♪
それでは、『亀山人家妖』中巻の始まりです。
喜三二[平沢常富]作、北尾重政 画『亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの)』天明7 [1787]年刊
※この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
絵本国土産 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。
【前回のくずし字クイズの答え】
おいてけぼりをこハがるハきついたわけなことさ
【原文】
此処(こゝ)に手柄岡持(てがらのおかもち)と言ふ者有り。
同じ狂哥の連中に渋染魚籠網(しぶぞめのびくあミ)と真栗竿太(まくりのさほぶと)、泥川釣人(どろかはのつれんど)等(など)集まり、
「人の行(ゆ)かぬ所に手柄ハ有る事なれば、置いてけ堀へ釣りに行きて見ん。」
と云ひける。
「置いてけ堀を怖がるハ、きつい戯(たわ)けな事さ。」
「化けが出たら、生け捕る等(など)も良かろう。」
「ハテ、もし置いてけと言ふなら、置いてくる分の事だ。高(たか)の積んだ物だ。」
【さっくり現代語訳】
ここに手柄岡持(てがらのおかもち)という者がいました。
同じ狂歌を詠む仲間である、渋染魚籠網(しぶぞめのびくあみ)、真栗竿太(まくりのさおぶと)、泥川釣人(どろかわのつれんど)などが集まり、
「人が行かない所に行ってこそ、良い魚が釣れて自慢できるというものだ。
魚を釣ると化け物が「置いてけ~」と言うと、もっぱらの噂の、置いてけ堀へ釣りに行ってみよう。」
ということになりました。
渋染魚籠網
「置いてけ堀を怖がるなんて、とてもバカバカしい事だ。」
真栗竿太
「化け物が出たら、生け捕りにしてもいいなあ。」
泥川釣人
「ふむ、もし置いてけと言われても、置いていけばいいだけの事だ。大した事はない。」
【解説】
中巻の始まりですが、ここからやっと本編が始まりました。
主人公の手柄岡持(てがらのおかもち)は、そうです、作者の喜三二の別名です。
自分を主人公にするという、ふざけてるというか攻めてるというか。
狂歌の仲間はおそらく実在の人物ではないでしょう。
狂歌の仲間はシャレて、全て釣りに関係する名前になっています。
で、釣りに行くという置いてけ堀ですが、そうです、本所(ほんじょ)七不思議の一つです。
ここでは、本所七不思議の一つとは明記されていませんが、すでに有名なスポットではあったようですね。
なお、当時の妖怪かるたには、「本所の置いてけ堀」という札が見られます。
ここには画像を貼れないので、リンク先をご覧頂きたいのですが、半魚人のような化け物が描かれています。
・一橋齋艶長画『妖怪かるた』(江戸末期刊)
風俗図会データベース [絵札]
風俗図会データベース [読み札]
・『妖怪かるた』(江戸末期刊)
お化けかるた - Wikipedia
次回予告とくずし字クイズ
置いてけ堀の化け物が出てきたのでしょうか?
三つ目コーナー
ねえ、ねえ、本所七不思議ってどんなのなの???
とりあえず、江戸時代の資料としては、二世柳亭種彦作『七不思儀葛飾物語』四編上序(元治二[1865]年刊)には次のように書かれているよ。
所謂(いはゆる)本所(ほんじよ)の七不思議(なゝふしぎ)ハ○片葉(かたは)の葦(あし)○おいていけ掘(ぼり)○埋蔵(うめぐら)の溝(とぶ)
足洗(あら)ひ屋舗(やしき)○送(おく)り挑燈(でうちん)○赤豆婆(あづきばハ)○あかりなしの蕎麦屋(そばや)なり
しかるに一説(いちせつ)にハ片葉(かたは)の葦(あし)とおいていけ堀(ぼり)の外(ほか)ハ皆(ミな)異(こと)にて
馬鹿(ばか)囃(はや)し○三(ミ)ッ目(め)橋(ばし)の火○姥(うば)の足跡(あしあと)○姥(うば)が蔵(くら)○なかぬ茅蜩(ひぐらし)を筭(かぞへ)
入(いれ)たれバ必(かならず)七事(なゝつ)と決(さだま)りたるにもあらず
七不思儀葛飾物語. 初,2-10篇 / 柳亭種彦 作 ; 梅蝶楼国貞 画
え?今、三つ目って言わなかった?
本所七不思議について詳しくはまた改めて書くね。
ねえ、スルーしないでよ! 今、三つ目って言ったよね???
(満面の笑み)
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