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キツネは娘に化けました ~『玉水物語』その4~

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玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

【原文】

 朝夕嘆くを便りにて、年十四、五の容《かたち》鮮やか成る女に化けて、彼《か》の家に行き、
「我ハ西の京の辺に在《あ》りし者也。無縁の身と成り、頼む方無きまゝに足に任せて是まで迷ひ出でぬれど、行くべき方も覚へねば、頼ミ奉らん」と言ふ。
 主《あるじ》の女房打ち見て、「労《いたハ》しや、只《たゞ》人ならぬ御姿にて、如何《いか》にして是まで迷ひ出で給ひけん。同じくハ我を親と思ひ給え。男子《おのこ》ハ数多《あまた》侍《さふ》らへども、女子《おなご》を持たねバ、朝夕欲しきに」と言ふ。
「左様《さよふ》の事こそ嬉しけれ。何処《いづこ》を指して行くべき方もあらず」と言へバ、斜《なの》めならず喜びて、愛《いと》おしミ置き奉る。
「如何《いか》にしてさもあらん人に見せ奉らバや」と営《いとな》みける。
 されど、この娘、つや/\打ち解くる気色《けしき》も無く、折々《おり/\》は打ち泣き等《など》し給ふ故《ゆえ》、「もし見給ふ君等《など》侍《さふら》ハゞ、我に隠さず語り給へ」と慰めければ、
「努々《ゆめ/\》左様《さやう》の事ハ侍《はべ》らず。憂き身の目覚ましく覚へて、かく結ぶれたる様《さま》なれば、人に見々《みゝ》ゆる事 等《など》は思ひも遣《や》らず。只《たゞ》、美しからん姫君 等《など》の御側に侍《はべ》りて、御宮仕へ申し度《た》く侍《はべ》るや」と言へバ、
「良き所へ有り付き奉

【予習の答え】

年十四五の容(かたち)あさやか成をんな
にはけてかのいへにゆき

【さっくり現代語訳】

 ちょうどその時、男の子ばかりたくさんいて、女の子がいないがあり、
「こんだけ多い子供の中に、一人でも女の子がいればなあ」
 と、家の者が朝晩嘆いていることを、風の噂で聞きつけました。
 そこでキツネは、十四、五歳の美女に化けて、そのに行き、
西の方に住んでいた者ですが、身寄りを失ってしまい、頼る人もいないのでどうしようもなく、の赴《おもむ》くままに、ここまでさまよって来ました。
 路頭に迷ってしまったので、どうかここに置いていただけないでしょうか」
 と頼みました。
 この家の主人の女性は一目見て、
「ああ、おかわいそうに。
 どうやら普通のお方ではないようにお見受けしますのに、どうしてここまでさまよって来るハメになったのでしょうか。
 どうぞ、いっそのこと、のことをだと思って、ここで暮してくだされ。
 このには、男の子はたくさんいるのですが、女の子がいないので、朝晩、女の子が授かるよう祈っていたのです」
 と言いました。
「そう言っていただいて嬉しゅうございます。
 にはどこにも行くあてもございませんので」
 とキツネが化けた娘が言うと、女主人はとても喜んで、大切に世話をしました。

 そして、
「なんとしてでも、このお方にふさわしい結婚相手を見つけてさしあげねば」
 と張り切るのでした。
 しかし、この娘は、どういうわけか、この家で気楽にくつろぐ様子もなく、泣いていることさえあるのです。
 なので、女主人は、何か言えない事情があるのではないかと思い、
「もし、お慕いする殿方などがいらっしゃるのでしたら、どうぞに包み隠さずお話しください」
 と、優しく尋ねました。
 すると、は、
「全くそのようなことはございません。
 思う様にならず辛いことばかりだった自分の身の上が嫌になり、このように物思いにふけってしまうのです。
 ですので、どなたか結ばれたいなどとは、全く思ってもいません。
 はただ、美しい姫君などお側近くで、ご奉公をしたく思っているのです」
 と答えました。
良い方との縁組をしてさしあげたい

【解説】

直接姫君お屋敷に行けば良いと思うのですが、キツネ女の子を欲しがっている普通の民家に潜り込むことにします。

キツネは上手いこと、いかにも高貴な由緒正しき様子の化けたようで、女主人は一目で気に入ってしまいます。

って女主人少し無防備過ぎやしないかしら。

それにしても、この家の主人女性なのですね。

この時代のことですから、女主人通い婚で、この家には住んでいなかったのでしょうか?

次回の予習

どうやらキツネ思い通り奉公先紹介されたようです。

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三つ目コーナー

美女化けよっかな♪

(ちょっとだけ期待

 

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