うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

姫君・玉水・月冴え歌合戦 ~『玉水物語』その7~

f:id:KihiminHamame:20190211204954j:plainf:id:KihiminHamame:20190211204944j:plain
f:id:KihiminHamame:20190212182724j:plainf:id:KihiminHamame:20190211205009j:plain
玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

翻刻

の心の内と口/\申しけれハ何事にかあらん心の中こそ
ゆかしけれ恋とやらんかまた人にうらむる心なとか
あやしくこそとて
 さミたれの程ハ雲ゐの郭公たかおもひねの色をしるらん
玉水やかて
 心から雲ゐを出て郭公いつを限りとねをや鳴らん
月さへ
 覚束な山端出る月よりも猶鳴わたるとりの一こゑ
なといひかハし夜もふけぬれハうちへ入らせ給ひぬ
され共玉水は月のこり多侍るとて残りいてこし

かたゆく末打あんし扨も我ハいつを限りに何と成へき
身の果そとすゝろに涙もれ出て袖もしほる斗に成にけれハ
 哥 思ひきやいなりの山をよ所に見て雲ゐハるかの月を見るとハ
 又 心から雲ゐを出て望月の袂に影をさすよしもかく
 又 心から恋の涙をせき留て身のうきしつむことそよしなき
いと久敷帰らねハ月さへ心もとなくて立帰に斯すさむ
を聞てあやしく覚ゆれハ
 よ所にても哀をそ聞誰ゆへに恋の涙に身をしつむらん
ととむらへハ姫君きゝ給ひ
 おほかたの哀ハ誰もしらすやと身ニハならハぬ恋ち成とも

赤字が前回の予習の答えです。

【現代語表記】

の心の内」と口々に申しければ、
「何事にかあらん。心の中こそゆかしけれ。恋とやらんか。また人に恨むる心などか。怪しくこそ」とて、
「五月雨(さみだれ)の 程は雲井の 郭公(ほととぎす) 誰が思い寝(ね)[「音(ね)」ともかかっている]の 色を知るらん」
玉水やがて、「心から 雲井を出でて 郭公(ほととぎす) 何時(いつ)を限りと 音(ね)をや鳴くらん」
月冴え、「覚束な 山の端(は)出(いず)る 月よりも 猶(なお)鳴き渡る 鳥の一声」など言い交わし、夜も更けぬれば、内へ入らせ給いぬ。され共(ども)、玉水は「月の残り多く侍(はべ)る」とて、残り居て、越し方、行く末、打ち案じ、「扨(さて)も我は、何時(いつ)を限りに、何と成るべき身の果てぞ」と漫(すず)ろに涙漏れ出でて、袖も絞る計(ばか)りに成りにければ、
「思いきや 稲荷の山を 余所(よそ)に見て 雲井遥(はる)かの 月を見るとは」
「心から 雲井を出でて 望月(もちづき)の 袂(たもと)に影を 差す由(よし)もかく」
「心から 恋の涙を 塞(せ)き留(と)めて 身の浮き沈む 事ぞ由(よし)無き」
いと久敷(しく)帰らねば、月冴え心許(もと)なくて立ち帰るに、斯(か)く遊(すさ)を聞きて、怪しく覚ゆれば、
「余所にても 哀れをぞ聞く 誰故(ゆえ)に 恋の涙に 身を沈むらん」と訪(とむら)えば、姫君聞き給い、
「大方の 哀れは誰も 知らずやと 身には習わぬ 恋路成りとも

【ヤキモチ焼くより現代語訳】

 玉水はすかさず、
「その鳴き声にはホトトギスの深い思いが込められているのでしょう」
 と詠んで、すぐに「私の心の中にも深い思いが」とゴニョゴニョ口ごもりました。
 姫君は、
「どういうことでしょ? 玉水心の中を知りたいですわ。
 誰かとか言うものをしているのかしら?
 それとも、誰か思われているのかしら? 気になりますわ。」
 とおっしゃって、
五月雨(さみだれ[梅雨]が邪魔をして、雲の中から出られないホトトギスは、
愛しいお方思いながら寝ていることは、ご存知ないでしょうね』
 と嘆いて鳴いているのでしょうか?」

「五月雨」ホトトギス」「雲」の組み合わせは足利義輝の辞世の句「五月雨は 露か涙か 不如帰(ほととぎす) 我が名をあげよ の上まで」をふまえているか]
 とお詠みになりました。
 玉水はすぐに
ホトトギスは、『早く雲の中から出て、その方のためにいつまでもを上げて鳴いていたい』と心から思っていることでしょう」
 とお返ししました。
 月冴えは、
「ぼんやりと山の端からが上ってきましたが、ますますホトトギス鳴く声響き渡っていますね」

 と詠み、何度かを交わして、も更けたので、姫君は中にお入りになりました。
 しかし、玉水は「まだが沈むまで時間があるので[まだ月を見ていたいので]」と言って、その場に残り、
「それにしても、私の身は、いつどうなってしまうのだろうか」
 と、これまでの事これからの事を考えると、無性(むしょう)にがあふれてきて、絞(しぼ)れるくらいビショビショを濡らすのでした。そして、次のようなを詠みました。
「まさか稲荷山[キツネが神として祭られている、稲荷神社の総本社である、伏見稲荷の神体山]をないがしろにして、よりもはるか上で輝く[姫君のことを「月」にたとえている]夢中になるとは思いもしませんでした」
「早く雲の中から出て、満月[姫君]に照らされる日が来るのを、心から願ってはいるのですが」
「心からするあまりに、とめどなくあふれるを溜(た)めて、その中でを意味もなくプカプカ浮き沈みさせるしかないのですね」
 玉水がなかなか帰ってこないので、月冴えは心配して戻ってみると、このようなを詠んでいるのが聞こえてきたので、不思議に思い、
「あなたの嘆きをつい立ち聞きしてしまいした。を思って涙の海を沈めているのでしょうか?[誰を思って泣いているのでしょうか?]
 と尋ねました。姫君もお聞きになって、
あなた嘆きは全て分かっていますわよ。たとえには経験の無い恋の悩みであっても。

【解説】

「五月雨の程は雲井の郭公誰が思い寝[音]の色を知るらん」までがセンター試験出題された箇所です。
それにしても歌の解釈難しすぎます!
研究者によって解釈マチマチになると思います。
思いっきりざっくり解釈すると、たぶん次のようなことを、を通して言っているんでしょう!

姫君①「ねえ、玉水、あんた誰か好きな人でもいるんでしょ?教えてよ!」
玉水②「いえいえ、でもぐらいはするものだという、一般論でございます」
月冴え③「あらあら、玉水さん顔が赤いですけど、どうなさったんですの?」
玉水④「まさか人間の姫君夢中になるとは」「ああ、本当は姫君チョメりたいっ!」「もう、今は泣くしかないですわ!」
月冴え⑦玉水さんは一体どなたして泣いているのですの?」
姫君⑧玉水に悩んでるのはお見通しですわよ!」

姫君玉水恋の相手自分だとはにも思ってないでしょうね。
確かにこのあたりだけを見たら、百合っぽい感じはしますね。

次回の予習

「やしなひはゝ(養母)」というのは例の女主人のことですね。

f:id:KihiminHamame:20190211211017j:plainf:id:KihiminHamame:20190211211013j:plain

三つ目コーナー

ねえねえ、バレンタインデーは、北見花芽チョコをあげたいんだけど、もらってくれる?

不要!

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ 
 三つ目からはいらないけど、皆様からのチョコは受け付けております♪♪♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain 
いただいた商品のレビューはこちら♪   

 

◆インフォメーション

井原西鶴の大著、『男色大鑑』一般向け現代語訳が発売されました♪

北見花芽の中の人
もちょっと書いてるので興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから、お買い求めくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。

全訳 男色大鑑〈武士編〉

全訳 男色大鑑〈武士編〉

 

『男色を描く』合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。 

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

◆クリック報酬型広告(by 忍者AdMax) ご協力お願いします♪

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w