うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

生きていた玉水 ~『玉水物語』その9~


f:id:KihiminHamame:20190225005356j:plainf:id:KihiminHamame:20190225005401j:plain
f:id:KihiminHamame:20190225005405j:plainf:id:KihiminHamame:20190225005411j:plain
玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

翻刻

から過るあさの心にハおもハさらなんまことの親ならねハと
うけ給るこそ侘しけれなといゝて返事をしけれハ是
をミて実/\嘸あらんことハりそかしとて打なきぬ去ほ
とに三とせと申神無月に姫君のしたしき人/\あまた寄
あつまり給ひて紅葉あハせ有へしとさためさせ給ふ
あすにも成ぬれハ色うつくしくようあまたあらん紅葉
を尋ね侍るに此玉水夜更てうちまきれいてもとの
姿に成とハ殿の南おもてのつかにあにおとゝなと有所へ
ゆきたりけれハ見つけてなのめならす悦いかにやいつ
くよりきたれるそうせぬると覚へて後のいとなみ

をこそ此三とせハしつれ此ほと御所の邊に侍ふ也しつ
かにかたり申へし扨ハあす一大事のやう有て紅葉
たつね来たりたりおの/\いかにもして尋てたへと
いゝけれハ所や有やすきことかなといふ嬉敷も有かな
さらハ高柳の御所南のたいのゑんにさし置給へといへハ
やすき事也去なからいぬや有といふいぬハあらす心安く
おハせなといゝ置て帰りぬ姫君月さへハれいならす何
方え出給ひしそといへハ打笑ひあやしき者にこひ
契りて出あひつるなとたハむれけれハ実さや有つ
らんいと久しかりしなといへハ姫君さもあらハいかににく

赤字が前回の予習の答えです。

【現代語表記】

がら過ぐる朝の心には思わざらなん。真(まこと)の親ならねばと受け給わる[承る]こそ侘しけれ」
などと言いて、返事をしければ、是を見て、
「実(げ)に実に嘸(さぞ)あらん理ぞかし」
とて打ち泣きぬ。
去る程に、三年(みとせ)と申す神無月に、姫君の親しき人々数多(あまた)寄り集まり給いて、
「紅葉合わせ有るべし」
と定めさせ給う。
明日にも成りぬれば、色美しく、葉(よう)数多(あまた)あらん紅葉を尋ね侍るに、此の玉水、夜更けて打ち紛れ出で、元の姿に成る。
鳥羽殿(とばどの)の南表の塚に、兄弟など有る所へ行きたりければ、見つけて斜(なの)めならず悦(よろこ)び、
「如何(いか)にや、何処(いずく)より来たれるぞ。
失せぬると覚えて、後の営みをこそ此の三年はしつれ」
「此の程、御所の辺に侍(さぶろ)う也。静かに語り申すべし。
扨(さて)は明日、一大事の用有りて、紅葉尋ね来たりたり。
各々(おのおの)如何にもして尋ねてたべ」
と言いければ、
「所や有り。易き事かな」
と言う。
「嬉しくも有るかな。さらば、高柳の御所、南の対(たい)[対の屋(たいのや)]の縁(えん)に、差し置き給え」
と言えば、

「易き事也。去りながら、犬や有る」
と言う。
「犬はあらず、心安く御座(おわ)せ」
などと言い置きて帰りぬ。
姫君、月冴えは、
「例ならず何方(いずかた)へ出で給いしぞ」
と言えば、打ち笑い、
「怪しき者に恋い契りて出会いつる」
など戯(たわむ)れければ、
「実にさや有りつらん。いと久しかりし」
などと言えば、姫君、
「さもあらば、如何に憎

【現代語訳みつる】

「私も母上にお会いしたいのですが、日々のお勤めで思う様にはなりません。
 私は母上実の親のように思っておりますのに、実の親ではないなどとおっしゃられては辛うございます」
 などと書いて玉水が返事をすると、これを見て養母は、
「そうかそうか、そうでございますよなあ」
 と言って泣くのでした。

 そんなこんなで三年が経った十月の事、姫君と親しい方々がお集まりになって、
紅葉合わせをいたしましょう」
 とお決めになりました。
 そして、明日にでも、色鮮やかで葉の数も多い紅葉を、探すことになりました。
 玉水は、夜が更けてから、こっそりとお屋敷を抜け出し、元のキツネの姿に戻りました。
 鳥羽殿[京都の伏見の鳥羽に白河上皇が造営した離宮の南正面にあるに、玉水兄弟が住んでいるので行くと、兄弟玉水の姿を見つけてとても喜び、
「どうしてたんだ! どこから来たんだ!
 お前がもう死んだと思って、この三年の間、お前冥福を祈ってたんだぞ!」
 と言いました。

 玉水が、
「この年の間、高柳様のお屋敷でお勤めしていました。
 今日はナイショのお願いがあって来たのです。
 実は、明日、どうしても紅葉が必要になりまして、お兄様方に、なんとしてでも探していただきたいのです」
 と頼むと、兄弟は、
紅葉がある所を知っているので、たやすいことだ」
 と応えました。玉水は喜んで、
「嬉しゅうございます。でしたら、高柳様のお屋敷の、南の別館の縁側の前に、差して置いていただきたく存じます」
 と言うと、弟は、
「たやすいことだ。
 、、、ところで、はいないか?」
 と尋ねました。玉水は、
「はい、はおりません。安心しておいでください♪」
 と言い残して帰りました。
 玉水お屋敷に戻ると、姫君月冴えが待ち構えていました。月冴えが、
「いつになく、こっそりと、どこへお出かけになっていたのですか?」
 と聞くと、玉水は、
どこかの誰かに落ちまして、会しておりました♪」
 などと、ふざけて言いました。月冴えが、
「ああ、そうに違いない。随分長い時間お出かけでしたから!」
 と言うと、姫君は、
「そうであったなら、何と憎

【解説】

はい、忘れかけていましたが、玉水の正体はキツネでしたね!
そりゃあ、三年も姿が見えなかったら、兄弟が死んだと思ったのも当然でございます。
でも、兄弟の絆は強いようで、玉水のお願いを快く聞き入れます。
を屋敷に置かないようにしたことが、ここで役に立つというわけですね。

さて、「紅葉合わせ」とは何でしょう?
検索したら、何かエッチい記事ばかり出てきたので、どうかみなさま検索なさらない方がよろしいと思います(笑)
同様に「貝合わせ」検索なさらない方がよろしいと思います(笑)
「紅葉合わせ」については、読み進める内にどんなイベントか分かると思いますので。

次回の予習

玉水の兄弟たち紅葉を探すようです。

f:id:KihiminHamame:20190225010433j:plainf:id:KihiminHamame:20190225010437j:plain

三つ目コーナー

ねえ、ねえ、北見花芽のこと、兄貴って読んでいい?

いいわけない。

 

◆インフォメーション

井原西鶴の大著、『男色大鑑』一般向け現代語訳が発売されました♪

北見花芽の中の人
もちょっと書いてるので興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから、お買い求めくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。

全訳 男色大鑑〈武士編〉

全訳 男色大鑑〈武士編〉

 

『男色を描く』合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。 

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain 

いただいた商品のレビューはこちら♪   

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

◆クリック報酬型広告(by 忍者AdMax) ご協力お願いします♪

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w