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紅葉合わせ大勝利! ~『玉水物語』その12~


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玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

翻刻

 幾しほに染かへしてか紫の四方の梢を染わたすん
となん書付られける残りハ姫君かゝせ給ふ扨其日に成て
あハせ給へハ色々心をつくしてよミ出えならぬ枝色を
とゝのへ給へ共姫君のにならふもなかりけり五たひ合せ
給へともたひことに姫君そかたせ給ひける此こと隠れ
なくうちにもきこしめされかのもミち御めし有お
しミ給ふへきかハとてやかて参らせ給ひけれハみかとゑいらん
まし/\てやかて其姫君参らせ給ふへきよし時の
くわんはくに仰下されけれハ定めて参らせ給ハん
ことハ悦ひ成へけれとさいしやうかすか成すま居にて侍ハ

いたしたてんことかたくやと申させ給へハやかて心へさせ
給ひて三か所をたひにけりかねてねかひしこと成に
悦ひ給ふことかきりなしやかて其御いとなみめてた
かりけり玉水の前の御きそくたくひなしつの国かく
田といふ所をそ玉水のほかい所にたひにけり我身は
むゑんの身成ハたゝ哀をかけさせ給ハんこそうれし
う侍らめかやうの御事ハ思ひかけはんへらすとたひ/\
申かへし奉れともさま/\うらみ仰られけれハさらハ父
母悦事なのめならす有時かの母ものゝけめきてなや
ミわたるおほくのいのりをしけれ共月日かさなるまゝに

赤字が前回の予習の答えです。

【現代語表記】

「幾入(いくしお)に 染め返してか 紫の 四方の梢(こずえ)を 染め渡すらん」となん書き付けられける。残りは姫君書かせ給う。
扨(さて)、其(そ)の日に成りて合わせ給えば、色々心を尽くして詠み出で、えならぬ枝色を整え給え共(ども)、姫君のに並ぶも無かりけり。
五度(ごたび)合わせ給えども、度毎(たびごと)に姫君ぞ勝たせ給いける。此の事隠れなく、内にも聞こし召され、かの紅葉御召し有り。
「惜しむべきかは」とてやがて参らせ給いければ、帝(みかど)叡覧(えいらん)在(ましま)して、やがて姫君参らせ給うべき由、時の関白に仰せ下されければ、
「定めて参らせ給わんことは悦び成るべけれど、宰相(さいしょう)微(かすか)か成る住居(すまい)にて侍れば、出だし立てんこと難くや」
と申させ給えば、やがて心得させ給いて、三箇所(さんかしょ)を賜(た)びにけり。
予(か)ねて願いし事成るに、悦び給う事、限りなし。やがて其の御営み目出度(めでた)かりけり。玉水の前の御気色(きそく)類(たぐい)無し。
津の国角田(かくた)という所をぞ玉水の寿(ほか)い所[?]に賜(た)びにけり。
「我が身は無縁の身成れば、ただ哀れをかけさせ給わんこそ嬉しゅう侍らめ。斯様(かよう)の御事は、思い掛け侍(はんべ)らず」
と度々申し返し奉れども、様々恨み仰せられければ、「さらば」、父母喜ぶこと斜(なの)めならず。
有る時、かの母、物の怪(け)めきて、悩み渡る。多くの祈りをしけれ共(ども)、月日重なるままに

【現代誤訳】

「何回染め重ねたら、このような美しい紫色になるのでしょうか。もうすぐ、あちらこちらの紅葉枝先も、紫の葉いっぱいになることでしょう。あの方の心の中いっぱいにしたいものです」

 と姫君は五つの色の葉の枝に、玉水が詠んだ五首の歌を付けました。
 残りのには、姫君をお書きになりました。
 さて、紅葉合わせの当日になりました。
 どなたも色々と工夫を凝らしてを詠み、素晴らしい紅葉の枝を用意したのですが、姫君紅葉の枝に適(かな)うものはありませんでした。
 五回勝負しましたが、五回とも姫君がお勝ちになりました。
 この事は、あっという間に宮中にも知れ渡り、(みかど)は姫君紅葉の枝を献上するように仰せ付けました。
「よろこんで!」と姫君はすぐに紅葉の枝に献上なさると、はご覧になって、とてもお気に召されたようで、
「すぐにこの姫君参内(さんだい)[宮仕え]させなさい」
 と当時の関白に仰せ付けました。
 関白は、
「きっと喜んで参内されると思いますが、何しろ高柳の宰相お家ボンビーでございますので、参内ご用意をするのが難しいと思われまして」
 とに申し上げなさいました。
 はすぐに配慮なされ、荘園(しょうえん)を三箇所高柳の宰相にお与えになりました。

 姫君参内させるのが、高柳の宰相ご一家の長年のでしたので、とてもとても喜びました。
 すぐに参内ご用意は立派に整いました。
 玉水の前[忘れてると思いますが、玉水のフルネームね]活躍も素晴らしいということで、摂津(せっつ)の国の角田(かくた)[現在の大阪]という所の田んぼが与えられました。
天涯孤独の身でありますので、このようなお情けをかけていただいて、たいへん嬉しゅうございます。
 しかしながら、このようなご配慮をいただくのは、身分不相応でございます」
 と何度も辞退する旨をお伝えしましたが、も何度も
「受け取らなければの気が済まない」
 とおっしゃったので、玉水は、
「そうまでおっしゃられるのでしたら」
 とこの田んぼをいただき、養父養母プレゼントした所、養父養母マンモスうれピー

 ところがある時、その養母物の怪[化け物]に取り憑かれたかのように、に倒れました。
 さまざまな加持祈祷(かじきとう)を行いましたが、日に日に

【解説】

要するに、「紅葉合わせ」は、紅葉の品評会といった所でしょうか。
わせ」は「試」の意ですね。
どちらの紅葉が優れているか、競うイベントのようです。
エッチなイベントを期待された方、残念でした(笑)

これまで養母しか出てこなかったのですが、しれっと初めて養父の存在が示されましたね。

紅葉合わせに勝利し、参内も叶ってハッピーエンドに向かうかと思いきや、玉水の養母病気になるという急展開!
次回上巻が終わりです!

次回の予習

養母の願いです。
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