うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

玉水の伯父は年老いて、もう毛が一本もありません。 ~『玉水物語』その19~


f:id:KihiminHamame:20190603225515j:plainf:id:KihiminHamame:20190603225520j:plain
f:id:KihiminHamame:20190603225527j:plainf:id:KihiminHamame:20190603225536j:plain
玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

翻刻

入へからす上ほん王のおうちしつた太子と申せしも
わうくうを出給ひしゆえにこそ今のしやか佛とも
成給へまたせん悪をわけ給ふハこうにこそ有へけれ子
のかたきを取給えハ悪也たすけ給へハせん也爰において
善悪けつしやうハ是をころさんと思ひ給んハねんなら
すや爰にをいてハはらハぬねん也かれ是をおもひ
すて給へハさとり也そくしんそく佛こそあらまほし
けれ十あく五逆をつくしてあミた佛のけう
けをたのミ給ハんことハしかるへからす此上に夫を思ひ
とりたまハすハちからなしと申せハ其とき古狐

さるねふりして打うなつきかゝるふしきにあふ事前
世の幸也まことにころしたれハとて恋しき我子かへる
へきにあらす今ハ一すしになきあとをとふらひ給へ
我ハ入道して山ふかくとちこもりねんふつ申へし
とてひやうしやのもとを立のきけりはゝハ娘の人と
物かたりするとそ思ひける扨病者ハ心かろく成て
ものなといゝ物ミいれなとしけるよしきゝおなしちく
るいといゝなから有か見たりとてかたりけれハ実さる
事有とてかのいころしつるきつねの跡とむらいさま/\
のけうやうをしたり扨玉水は心易く見おきて

赤字が前回の予習の答え。

【現代語表記】

入るべからず。
上飯王[浄飯王](じょうぼんおう)の王子悉達太子(しっだたいし)と申せしも、王宮を出給いし故にこそ、今の釈迦仏とも成り給え。
また、善悪を分け給うは業(ごう)にこそ有べけれ。
子の仇(かたき)を取り給えば悪也。助け給えば善也。
爰(ここ)において、善悪決定(けつじょう)は是を殺さんと思い給わんは念ならずや。爰において、払わぬ念也。
彼是(かれこれ)を思い捨て給えば、悟り也。
即身即仏(そくしんそくぶつ)こそ有らまほしけれ。
十悪五逆を尽くして、阿弥陀仏の教化(きょうけ)を頼み給わんことは、然(しかる)るべからず。
此の上に夫(そ)れを思い取り給わずば力なし」
と申せば、其の時古狐猿眠(ねぶ)りして打ち頷(うなず)き、
「かかる不思議に逢う事、前世の幸い也。
誠に殺したればとて、恋しき我が子帰るべきにあらず。
今は一筋に亡き跡を弔(とぶら)い給え。
我は入道して山深く閉じ籠(こも)り、念仏を申すべし」
とて、病者の元を立ち退きけり。母は娘の人と物語りするとぞ思いける。
扨(さて)、病者は心軽(かろ)く成りて、物など言い、物見入れ等(など)しける由(よし)聞き、同じ畜類と言いながら、「有るが[?]見たり」とて語りければ、「実(げ)に然(さ)る事有り」とて、かの射(い)殺したる狐の跡弔(とむら)い様々の孝養(きょうよう)をしたり。
扨、玉水は心易(やす)く見置きて、

【さっくり現代語訳】

 善い悪いなどありません。です。
 浄飯王(じょうぼんおう)の王子悉達太子(しっだたいし)と申した方も、恵まれた王宮をお出になって厳しい修行をされたからこそ、今のお釈迦様となられたのですよ。
 そもそも、善悪行いによって決まります。
 子のカタキ討つのはです。
 子のカタキを許して助けるのはです。
 子のカタキ殺すことこそ、あなたがおっしゃった、払わなければならない悪い考えではありませんか。
 このような悪い考えを全てお捨てになれば、悟りを開くことができます。
 生きたまま悟りを開いてになることこそ、理想ではありませんか。
 むちゃくちゃ悪いことをし尽くしてから、阿弥陀に助けていただこうなんて、甘っちょろいことを考えてはなりません。
 これだけ申し上げても、考え直していただけないのなら、もうにはどうすることもできません」と玉水は言いました。
 伯父はじっと目を閉じて頷(うなず)き、
「こうして不思議にもお前に出会って説得されるのも、前世の行いが招いた事で、幸せな事じゃ。
 この病人殺してしまっても、愛しい我が子が生き返るわけでもないしなあ。
 どうか、今はただひたすら、我が子冥福を祈ってくだされ。
 ワシを丸めて、あ、丸めなくても、もう毛は無いか、てへぺろ、山深くに閉じこもり、ひたすら念仏を唱える生活を送ることにするよ」

僕のこと呼んだ? 毛が無いって聞こえたけど?

 と言って病人[養母]の元から去ったのでした。
 養母はうつらうつらしているので、はっきりとした内容はわからないながらこの会話が聞こえ、玉水が誰かと話しているのだと思いました。
 さて、養母はすっかり、心も体も軽くなり、ペラペラしゃべり、あちこち歩きまわるようになりました。
 その様子を聞いて玉水は、これなら言っても大丈夫だなと思い、同じケダモノキツネ同士だから解決できたことは隠して、
母上の父上キツネ狩りをしたことはありませんでしたか? 
 どうもそれが母上の病原因のようです」
 と話しました。
「そういえば、そのようなことがありました」
 と言って、玉水の指示に従って、射(い)殺された玉水の伯父の子冥福を祈り、色々と供養したのでした。
 玉水はこれを見届けて、安心して

【解説】

 前回に引き続き、誤脱があるのか、よくわからない箇所が多々あったのですが、何とか無事に訳せました。
 玉水の説得が実を結び、意外とあっさりと伯父養母の元から去りました。
 まあ、伯父も本当は誰かに止めてほしかったのかもしれませんね。
 完全に死亡フラグが立っていたと思われた養母がまさかの生還です。
 みなさんが気にかけていた形見の鏡は、全くストーリー展開に関係なかったようです(笑)
 この先に出てくるのかしらん?
 さて、このあとはいよいよ姫君の参内が待っているわけですが、はてさて。

次回の予習

f:id:KihiminHamame:20190603225818j:plainf:id:KihiminHamame:20190603225822j:plain

三つ目コーナー

そういえば、最近、三つ目のこと見かけないけど、どうしてるんだろ。

 

◆インフォメーション

井原西鶴の大著、『男色大鑑』一般向け現代語訳が発売されました♪

北見花芽の中の人
もちょっと書いてるので興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから、お買い求めくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。

全訳 男色大鑑〈武士編〉

全訳 男色大鑑〈武士編〉

 

『男色を描く』合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。 

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain 

いただいた商品のレビューはこちら♪   

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w