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ぶんぶく茶釜④ ~江戸時代の絵本~

 

 


※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション

【原文】

りに此の茶釜を持ち行き、茶を立て楽しまん。
 狐めハ残念、打ち漏らしたる腹立ち」
 と、茶釜取り、持ち帰りける。
 部屋にもなれば、囲炉裏《いろり》に炭を起こし立て、茶釜を設《しつら》いに立てける。
 無惨やな、狐ハ化ける物こそ多かるべきに、茶釜と化けたハ絶体絶命、運の尽き、諦め、無常を観念す。
 次第/\に火ハ強く、熱さハ堪《こら》へ難く、思ハず、知らず、正体の尻尾《しつぽ》を「によつ」と突き出せバ、四人、共に肝を消す。
 何が火の勢《せい》強く起こつて、囲炉裏の中より飛んで出て、座敷の内を飛び回れば、皆口/\に声を上げ、
「ぶんぶく茶釜に尾が生えた。ぶんぶく茶釜に目が生えた」と

「田宮殿、見しやしやれ」
「可笑《おか》しな物だの」
「そこらで/\」
ふくさい「ぶんぶく茶釜に手が出たハ」
ぶんざい「さあさ、ぶんぶく茶釜に尾が生へた」
ふくあん「ぶんぶく茶釜に目が出来た」
「も一つ返して/\/\な」
ぶんぶく諫《いさ》む「あんまりぶんぶくと呼んでくれるな。奥へ聞こへて、しくじらせるな」

【現代語訳】

[本文]

「ここに見事な茶釜がある。
 せめて代わりにこの茶釜を持って行って、立てて楽しもう。
 キツネは残念ながら取り逃して、が立つが」
 とぶんぶく茶釜を拾って、持ち帰りました。
 部屋に戻ると、囲炉裏《いろり》起こして、茶釜五徳の上に置きました。
 あわれなことに、キツネ多くの物化けられるのに、よりによって茶釜化けたおかげで、絶体絶命のピンチになり、「ここが運の尽き」と、諦めて無常を感じるのでした。
 段々強くなり、キツネ熱さ我慢することができず、思わず知らないうちにシッポを「ニョっ」と突き出し正体現してしまったので、四人の茶坊主は揃って驚いたのでした。
 どうにも火の勢い強くなったので、キツネ囲炉裏の中から飛んで出て、座敷の中を飛び回ったので、みんな口々を上げ、
ぶんぶく茶釜が生えた! ぶんぶく茶釜が生えた!」と

[挿絵部分]
若衆A田宮殿ごらんなさい」
若衆B(田宮)面白い光景だなあ」
茶坊主たち「そこらで、そこらで!」[囃子詞《はやしことば》]
ふくさいぶんぶく茶釜が生えた!」
ぶんざい「さあさ、ぶんぶく茶釜が生えた!」
ふくあんぶんぶく茶釜ができた!」
茶坊主たち「も一つ返して、返して、返してな!」[囃子詞]
ぶんぶく友の茶坊主たち諫《いさ》めます。
「あんまりぶんぶく呼んでくれるな。東山殿聞こえクビになってしまう」

【解説】

 最初にも説明したのですが、この話登場する坊主茶坊主で、主君に仕え、主に茶道従事し、給仕接待などを担当した役職で、丸めてはいますが、ではなく、身分武士です。

 茶坊主たち追い掛けられたので、キツネは、茶坊主たち商売道具茶釜なら危害加えられまいと、思わず茶釜化けてしまったんでしょうね。
 キツネが化けた茶釜を、ぶんぶくが見つけて拾うわけですが、つまり、「ぶんぶく茶釜」とは「ぶんぶく茶釜」という意味だったわけですね。

 にかけられたキツネ茶釜は、熱さのあまり思わずシッポを出して、部屋の中を飛びまわります。
 キツネ気の毒ですが、挿絵半分茶釜半分キツネ姿カワイイですね。
 どうでもよくなったのか、ぶんぶく以外の茶坊主は、「ぶんぶく茶釜が生えた!」なんて歌って楽しそうです(笑)
 ぶんぶく自分の名前連呼されてあせっていますが。

 なお、ぶんぶくふくあん着物の柄が、これまでの挿絵入れ替わってしまっていますが、まあ、この時代の本にはよくあるミスなんで、気にしてはいけませんヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

三つ目が生えた!

生えてないよ。

 

 

 

 

 

 

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