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3-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~

 

 


『赤本再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊]
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
赤本花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション
花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション

【原文】

①正直爺《しやうぢきぢゞ》ハ福を連れて、例の如く山へ行《ゆ》きけるに、松の木の元にて、「くん/\」と言ひつゝ教えけれバ、福が指図に任せ、土を掘りて見るに、金銀・硨磲《しゃこ》・瑪瑙《めのう》・珊瑚《さんご》・瑠璃《るり》の類《たぐい》、七宝《しちほう》充満しけれバ、婆《ばゞ》と諸共《もろとも》差し担《にな》ひて持ち帰ぬ。

②「福犬が御蔭《おかげ》で宝物を授かつた。有り難や/\」

③「是も皆、天道様《てんとうさま》の御授けと見えた」

④福犬、正直爺に宝物ゝ在処《ありか》を教ゆる。

⑤さても慳貪爺《けんどんぢゞ》ハ、正直爺が掘り得たる宝を羨《うらや》ミ、「我もまた宝を掘り出《い》ださん」とて、正直爺が家へ来たり、福犬を借りて帰る。

⑥「有り難や/\、福犬にハ褒美《ほうび》を遣《や》りませう」

⑦「此の様《やう》に宝が有るとても、驕《おご》つてハならぬぞや」

⑧己《おのれ》が身を我儘《わがまゝ》に持ちて暮らし居る者ハ、隣の宝を羨ミ、兎角《とかく》嫉《そね》む物なり。世の中の人心、皆、斯《か》くの如し。慳貪爺一人と思ふべからず。

【現代語訳】

①正直じじを連れて、いつものようにへ行くと、松の木の根元で、「くんくん」鳴きながら、掘るように教えたので、正直じじの言う通りに土を掘ってみました。
 すると、金銀・硨磲《しゃこ》・瑪瑙《めのう》・珊瑚《さんご》・瑠璃《るり》など、七宝[仏教で貴重とされる七種類の宝]がいっぱい埋まっていたので、正直ばば一緒に、全て棒で担いで持ち帰りました。

②正直じじのおかげで宝物を授かった、ありがたい、ありがたい」

③正直じじ「これも全て、お天道様《てんとうさま》お授けくださったのじゃろう」

④犬の福は、正直じじに、宝物のある場所教えました。

さて、慳貪じじは、正直じじが掘り出した宝物うらやましく思い、「ワシも同じようにを掘りだそう」と、正直じじの家に行って、借りて帰りました。

⑥正直じじ「ありがたい、ありがたい、にはご褒美《ほうび》をあげましょう」

⑦正直ばば「このように宝物を得たからといって、思い上がってはいけませんぞ」

⑧自分の事しか考えないで生きる者は、隣の宝物羨《うらや》ましく思い、とにかく嫉妬《しっと》するものです。
 実際、世の中人の心の中は、みんな、こんな感じです。
 慳貪じじだけだと思ってはいけません。

【解説】

 福犬宝物のありか正直じじに、「ここ掘れワンワン」ではなく、「くんくん」地味に鳴いて教えます。

 七宝を得たとありますが、ではお金しか描かれていません。まあ、文と絵が合っていないことは、この時代の作品では日常茶飯事なので、この程度の事はいちいち気にしてはいけません。

 福犬のおかげで宝物ゲットしたことを言い触らしたのでしょうか、すぐに慳貪じじに知られてしまった正直じじは、ちょっと無防備すぎますねえ。

僕にとっての七宝は、蚊の目玉、ダニの目玉、シラミの目玉、ワラジムシの目玉、紙魚の目玉、ヤスデの目玉、ハサミムシの目玉だよヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

 

 

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