今日こそ『好色一代女』のお話を紹介しようと思ったのですが、依然として本を引っ張り出したまま開いてもいないので、予定を変更して、軽くくずし字を読む練習でもしましょうかね♪
今日取り上げるのは、十返舎一九(じっぺんしゃいっく)作『『初登山手習方帖(しょとうざんてならいじょう)』(寛政八 [1796] 年刊)です。
ご存知の方はご存知だと思うのですが、挿絵に何故か東洲斎写楽の絵が描かれていることで、有名な作品です。
写楽が私が江戸文学に興味を持つようになったきっかけに大きくからんでいるのですが、その話はまたの機会に♪
※国会図書館の画像を利用しています。
詳細画像は国会図書館のホームページで。
国立国会図書館デジタルコレクション - 初登山手習方帖 3巻
10ページ目です。
で、当該ページの写楽の絵が描かれている凧ではなく、
(描かれているのは市川蝦蔵[えびぞう]だそうです)
右横の奴凧のセリフがわかりやすいから読んでみようかなと。
わかりやすいように、スペースを空けて、番号を振りました。
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まず、①は、上から三番目の文字でつまずくかもしれませんが、
点がないだけで、「ら」です。
問題は以降にも何回か出てくるこの二文字です。
下は「て」か「と」か迷うかもしれませんが、ここでは「こ」です。
問題は上の字、これは「た」です。「多」をくずした文字です。
よって、この二文字は「たこ」だということがわかります。
ついでに、ほかの「た」もわかりますね♪
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②は最初の文字、
「る」に見えますが、これは「な」です。「奈」のくずし字ですね。
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③は下から二番目の文字がわからないと思います。
これは「わ」です。「王」のくずし字です。
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④の上から二番目の番目の文字は、
これも点がないだけで「ふ」です。
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⑤から⑧は今とさほど変わらない文字なので、気をつければ読めるはずです。
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さあ⑨の一番上の文字がトラップです(笑)
「と」かと思いきや、よくみてください、上に横棒があります。
これは「こと」です。二つの文字が合体しているのです。
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どうですか?思ったより読めませんか?
おいらもたこ
ならきさま
もたこあわせ
てふたたこ
みたこ
たこハテ
ぢぐちでも
なんでもない
ことであつた
よなア
おいらも凧なら、貴様も凧。
合わせて二凧、三凧凧。
はて、地口でもなんでもないことであったよなあ。
「地口」とは語呂合わせの言葉遊びのことです。
たとえば、「見越入道」を「見越入湯」というような(笑)
kihiminhamame.hatenablog.com
「合わせて二凧、三凧凧」なんて言ってみたものの、語呂合わせにも何にもなってないなあ、というわけです。
まあ、この部分には裏の意味があるみたいなのですが、諸説ありまくって私にはよくわからないので、スルーします(笑)
それにしても、どっかで聞いたことがあるようなフレーズですね。
そう、早口言葉の、かえるぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ、に似ていますね。
この手の早口言葉は、歌舞伎の「外郎売(ういろううり)」の口上に、
「武具、馬具、武具馬具、三武具馬具、合わせて武具馬具、六武具馬具。
菊、栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。
麦、塵、麦塵、三麦塵、合わせて麦塵、六麦塵。」
という箇所があるので、そのあたりが起源なのかなと。
意外と歴史があるのですね、私はドリフで覚えたけど(笑)