桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』(寛政五[1793]年刊)より
※国立国会図書館デジタルコレクションの画像を、適宜改変して使用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 変化物春遊 : 2巻
7ページ目です。
【原文】
友達寄り合いて、化け物話していたが、夜雨もしょぼ/\降りけるに、夜も更けていと寂しき小路《こふじ》を通りて帰る男あり。
かの男いたつて臆病者なれば、道すがら色/\話のことども思ひ出だしてすご/゛\一人歩み行く向こふより、笠の大きなるを着て、両手に何か持ちてちょこ/\歩み来る。
かの男、
「これなん最前話の雨降り小僧ならん。後へ逃げもどらん」
と、足早に元来たる道へ駆け出だしければ、はや何時の間にか前へ回りて、
「よく俺が噂したな」
と、恐ろしき顔して申しける。
【現代語訳】
友達同士が集まって、化け物の話をしました。
夜もふけて雨がショボショボと降る中、その中の一人の男が小道を通って帰途についていました。
この男はとても臆病者で、道すがら先ほどの化け物の話を色々と思い出しながら、一人で恐々と歩いていると、向こうから大きな笠をかぶって、両手に何かを持ち、ちょこちょこと歩いてくる者がありました。
この男は、
「これはさっき話していた雨降り小僧に違いない! 引き返そう!」
と、急いで来た道を走って戻ろうとしたのですが、いつのまにやら、その者は男の前に回りこんでいて、
「よくも俺の噂話をしてくれたな!」
と、恐ろしい顔をして言うのでした。ぎゃー!
【解説】
要するに、百物語のようなものをしていたのでしょうね。
で、話し終わったら、時間差で帰り道に化け物が現れたという。
ひょっとしたら、この男の臆病な心がこの妖怪を出現させたのかもしれません。
絵では手ぶらですが、本文には「両手に何か持ちて」とあります。
両手に持つものといえば、丸盆に乗せた豆腐???
一応、本文では「雨降り小僧」となっていますが、この姿は一つ目小僧でも豆腐小僧でも通用します。
やっぱり、そのあたりの区別は曖昧みたいですね。
後ろに川が流れているのは、雨降り小僧の足の形からして、正体は河童とかが化けた物というのを暗示しているのでしょうか???(河童のことを川太郎とも言います)
というわけで、前回のクイズの答えは「雨降り小僧(あめふりこぞふ)」でした!
本年中になんとかあと一回は更新したいと思います!!!
◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
◆オススメ書籍
江戸の怪異文学の挿絵解説CD-ROMが収録されています♪
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
にほんブログ村
江戸時代ランキング
◆よろしければ はてブ もお願いします。憧れのホットエントリー(笑)