一寿斎芳員画『百種怪談妖物双六(むかしばなしばけものすごろく)』(安政五[1858]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 百種怪談妖物双六
新年の双六企画で出なかったコマの妖怪をちょこちょこ紹介していくシリーズです♪
◆𠺌ヶ原(うそがはら)の独目(ひとつめ)◆
一 たこの入道(にうだう) 三 せうけら
四 はらつゞみ 六 山をとこ
いわゆる一つ目小僧ですが、雨降り・笠・舌出し・丸盆に豆腐という、典型的な豆腐小僧のスタイルです。
豆腐に紅葉マークがないのが残念です。
この一つ目は派手な振袖を着ているので、小僧ではなく娘ではないかという説もありますが、豆腐小僧は派手な着物を着ていることが多々あるので、一概にそうとも言えないでしょう。
ただ、一つ目娘が描かれている書物もあるので。。。
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大時代唐土化物 3巻
7ページ目です。
うーん、笠の中身の髪型がわかればはっきりするんですがねえ。
ここではとりあえず、一つ目小僧としておきます。
【追記】歌川芳藤『当ものかわりあんどん』にも一つ目娘が描かれているのですが、キャプションは「一ツ目子ぞう」となっています。男でも女でも一つ目の子供の妖怪の名称は「一つ目小僧」ということなのでしょうか?【追記終わり】
「𠺌[口偏に鬼]」という見慣れない字が使われていますが、鬼一口[おにひとくち]みたいに豆腐をぺろりと食べてしまうということでしょうかね???
『伊勢物語』第六段「芥川」の鬼一口のエピソードは雷雨の時なので、雨降りと言う豆腐小僧が出現するシチュエーションともからめたのでしょうか?
◆鷺淵(さぎふち)の一本足(いつぽんあし)
二 三目大僧(みつめだいそう)
三 ろくろくび
五 野(の)ぶすま
いわゆる、唐傘お化け・傘一本足などと呼ばれる妖怪ですね。
「淵」は川の流れが緩やかで深くなっている場所で、「鷺」は言うまでもなく鳥の一種です。
「鷺淵」は、その名の通り、鷺がいる淵でしょう。
(「鷺淵」という地名がないか探したけど、見つけられなかったです。。。)
実は、鳥の鷺は、この時代、「青鷺の火」や「五位[ゴイサギ]の光」と言った怪現象を起こす妖怪としても扱われていたんです。
つまり、「鷺淵」というのは、この唐傘お化けは、鷺が化けた物ということを暗示しているのではないでしょうか?
ほら、よく見たら、足が鳥の足ですもの!
で、この一本足と先程の一つ目、雨が降っているシチュエーションで川辺を歩いている背景がほぼ同じです!
同じようなキャラなので、ワンセットで描かれているのが明確ですね。
この作者さんはどうもキャラかぶりが怖くないようです(笑)
ワンセットと言うことは、𠺌ヶ原の「うそ」も、鳥の「鷽[うそ]」のことかもですね。
まさか、𠺌ヶ原と鷺淵、𠺌と鷺、嘘と詐欺?
ひょっとしたら、我々は双六の作者さんにまんまと騙されているのかもしれません。。。
※毎日のように記事を書くのが追いつかないため、ほんの数日だけお休みします。
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