今日は双六から嫉妬の怨念についての解説だよ!
歌川芳員画『百種怪談妖物双六(むかしばなしばけものすごろく)』(安政五[1858]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 百種怪談妖物双六
嫉妬(しつと)の怨念(をんねん)
二 おいわ 三 一ぽんあし
四 ゆき女郎 六 砂村(すなむら)のをん霊(れう)
こんばんは、北見花芽です♪
元ネタは有名な葛飾北斎画『百物語 しうねん(執念)』ですね。
※ここに貼れる画像がなかったので、画像は下記のリンク先でご確認ください。
Memorial Anniversary (Shûnen), from the series One Hundred Ghost Stories (Hyaku monogatari) | Museum of Fine Arts, Boston
「執念」を「怨念」に変えて、自分ではなく他の女と愛し合う男の枕元に、嫉妬のあまり蛇となって現れた姿を描いているのでしょう。
嫉妬の炎も燃え上がってますしね(笑)
さて、この絵の元になった北斎の「しうねん」、位牌にはおそらく次のように書いてあります。
時于応天捕之革
○ 茂問爺院無嘘信云 空
御正月日侍咄
一番上の顔だか梵字のような字は何だかよくわかりません。
そもそも、位牌に書かれている文字の意味もよくわかりません。
「信云」は「信士」、「日侍」は「日待」だと思うんですが、それでもよくわかりません。
ただ、「茂問爺」は「ももんじい」と読むのは間違いないでしょう!
このブログでも何度も出ている「ももんじい」という言葉は、化け物・妖怪の事を意味し、子供を脅かす時の言葉としても使われました。
つまり、この位牌は化け物の位牌ということなのでしょうか?
化け物って北斎自身のことを言ってるんですかね?
この絵には、死んでも蛇になってでも絵を描き続けるぞという北斎の執念が描かれているのでしょうか?
「ももんじい」小考
さて、ここで終わったら短いので、「ももんじい」についての考察を少し。
「ももんじい」は「ももんがあ」が転じた言い方で、「ももんじい」イコール「ももんがあ」で、もちろん用法も同じです。
「ももんがあ」は「モモンガ(ムササビ)」のことです。
この当時、モモンガは空を飛ぶ獣の妖怪とみなされたりもしてきました。
子供たちは、着物を広げ、モモンガが飛ぶ時のような格好をし、「ももんがあ」と言って脅かす遊びをするようになります。
そのうち、モモンガの格好だけでなく、変顔などをしても「ももんがあ」と言うようになり、単に「ももんがあ」とだけ言って脅かすようにもなったようです。
そして、人を脅かす恐ろしいものという連想から、「ももんがあ」は「化け物(妖怪)」そのものも意味するようになります。
では、なぜ、「ももんがあ」が「ももんじい」という言い方もするようになったのでしょうか?
ある言葉をあえて全て言わず、一部だけを取り、後ろに「の字」をつけて、粋[いき]に言う言い方があります。
例えば、「惚れた」と言わず「ほの字」と言ったり、「花芽さん」のことを「花の字」と言ったりする具合です。
つまり、「ももんがあ」→「ももの字」→「ももん字」→「ももんじい」と転じたと考えるのが自然でしょう。
鳥山石燕は「ももんじい」という言葉に「百々爺」という字を当てて、老人の妖怪を創作したようです。
僕も人間を脅かすときは「ももんじい」って言うようにしてるんだよ!
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