今日から『化け物昼寝鼾』を読み始めるよ!
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
※早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画
【原文】
昔/\より化け物仲間の総座頭《そうざがしら》見越し入道、皆/\手下の物は、入道の結《けち》[結縁]を受けれども、親玉いたつて古風にて、何でもこれが流行《はや》るといふ事を知らず。
手前も大縞《おほじま》の鹿《か》の子、丸禿《まるハ》げの老い首を伸ばして脅かすより他に思案もなし。
然《さ》るによつて、化け物次第/\に衰へ、通人《つうじん》と野暮《やぼ》とは提灯《ちやうちん》と釣鐘《つりがね》程違へども、野暮と化け物と苦しめられ、仲間一統《いつとう》に鼻が拉《ひし》げ、一寸の虫に五分の魂とやら、至極残念に思ひ、一相談《ひとそうだん》始めける。
【ざっくり現代語訳】
昔から化け物仲間の親玉は見越し入道と決まっていて、手下の化け物は見越し入道と親子のような関係を結んでいいます。
ところが、この親玉は時代遅れで、今時の流行を全く知らず、大縞の鹿の子絞りの着物を着て、老いぼれたハゲ頭が乗った首を伸ばすよりほかに、人間を脅かす手立てがないというありさま。
そのため、化け物の脅威が次第に衰えて行ったのでした。
粋《いき》な人と野暮《やぼ》ったい人は、提灯[野暮]と釣鐘[粋]ほどの差があると言いますが、そんな野暮[洗練されていない]と化け物がいつしか同レベルに扱われるようになりました。
化け物のような物たちでも意地や感情は持っているもので、みんなヘコんで悔しく思い、なんとかしようと相談を始めたのでした。
【解説】
これまでに読んだお話では化け物の親玉は越後の大入道の場合が多かったですが、ここでは見越し入道が親玉になっています。
kihiminhamame.hatenablog.com
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描かれているのは見越し入道・狐・一つ目ですね。
煙草盆やお茶を乗せている台も化け物になっていますね。
【原文】
「人を怖がらせるのがおいらが商売。
それに、まあ、化け物本は子供が嬉しがるとはどうしたもの。
何ぞ良い趣向のないか。
矢口渡《やぐちのわたし》と言ふ所が聞こへませぬ。」
【ざっくり現代語訳】
[見越し入道のセリフ]
「人を怖がらせるのがワシらの商売。
なのに、化け物の本を子供が喜んで読むとはどういうことだ。
何か良い工夫はないのか?
なにしろワシは「矢口渡《やぐちのわたし》」が何かも知らんもんでな。」
【解説】
子供たちの間では化け物本が流行していたようですね。
今も昔も子供は妖怪が好きなのですねえ。
北見花芽は大人のクセに妖怪好きだよね。
妖怪そのもののキミに言われたくない。
【原文】
才三《さいざ》さんと言ふ所で当たりを取りたい。
【ざっくり現代語訳】
[一つ目のセリフ]
「「才三《さいざ》さん」くらい流行する脅かし方をしたい。」
【解説】
先ほど出てきた「矢口渡」は『神霊矢口渡《しんれいやぐちのわたし》』[平賀源内作!]、「才三さん」は『恋娘昔八丈《こいむすめむかしはちじょう》』[通称「お駒才三」]という当時大ヒットした浄瑠璃のタイトルです。
わーい、一つ目が出てきた~♪
三つ目も出てくるよね?
まだ読んでないからわかんない。
見切り発車の良い見本だね。
次回予告とくずし字クイズ
さて、次回に出てくるこの妖怪の名前は?
ここに書かれている字は、すべて現在でも使われているひらがなと同じなので、読めるはずです!!!
ちょっとばかし、くずして書いてあるだけですから!!!
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