『化物昼寝鼾』の続きだよ!
相談の結果、狐さんが若いお姉ちゃんに化けて、町に出たみたいなんだけど?
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
※早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画
【原文】
狐は初《うぶ》の大振り袖に化け、ぐつと落ちを取る気で嗜《たしな》の大模様に房縮緬《ふさちりめん》の帯。
今時ハ見世物もこんな捩れ[ねじれ]物は着ず。
質屋も古着屋も「不粋《ぶいき》/\」と言ふて踏まぬ代物《しろもの》を着て、良い子の振りでやつてミれば、どんな物が見てもきつい化け物。
当世の振り袖のきり/\とは大違い。
粋な中へこういう形《なり》で出かけるは、思へバ/\、本の化け物と言ふ物は然《さ》りとは野暮で律儀な物なり。
【ざっくり現代語訳】
狐は若くてウブな大振り袖の女性に化けて、人間どもを騙す気満々でした。
乙女のたしなみとして着物の柄は大模様にして、房ちりめんの帯を締めたのですが、今どきはこんなヘンテコリンな格好は見世物でもしません。
今風のきりっとした振り袖とは大違いで、質屋も古着屋も「ダサい!ダサい!」と言って取り扱ってもくれないような着物を着ているにもかかわらず、狐は良い女に化けたつもりですが、誰が見てもきっつい化け物です。
粋な人が集まる町中へ、こんな格好で堂々と出かられる化け物と言うものは、まさに野暮の見本みたいなものですねえ。
【解説】
狐は、この当時ではありえないような、時代遅れな姿に化けてしまったようです。
そして、すっかり化かしたつもりが、みんなにはバレバレだという。。。
しっぽもしっかり見えてますしね(笑)
【原文】
行き来の人、皆/\振り返らぬ者ハなし。
手前の気でハ化かした気なれど、世間晴れての化け物なり。
「野暮な形《なり》に化けおった。
何故、取つ付くのじや。」
【ざっくり現代語訳】
道行く人々は、誰もが狐が化けた女性を見て振り返ります。
狐はまんま人を騙した気でいますが、誰がどう見ても化け物にしか見えません。
[武士のセリフ]
「それにしてもダサい女に化けたな。
こっち来るんじゃねえ!」
【解説】
描かれているのは、右から、女に化けた狐・武士・店番の女性・若い使用人風の男性・商家のご隠居様・町人の母親・その子供でしょうね。
武士と町人の基本的な見分け方は、刀を二本差していたら武士、一本なら町人です。
【原文】
「やれ/\、気の毒な。」
【ざっくり現代語訳】
[店番の女性のセリフ]
「あれまあ、化けてるのがバレてるとも知らずに、お気の毒なこと。。。」
【解説】
前回のくずし字クイズの答えはここです♪
看板には浮きと釣り針が描かれているので、このお店はおそらく釣具屋なのだと思われます。
【原文】
「あれ、コン/\を見や。
どうしようね。」
【ざっくり現代語訳】
[子供の母親のセリフ]
「坊や、ご覧、コンコン[狐]がいるよ。
化けてるのがバレバレで困っちゃうね。」
【解説】
この頃から、ワンワンやニャンニャンみたいに、鳴き声で動物を表す幼児語があったとは!
次回予告とくずし字クイズ
あらあ、狐さん、大変なことになってますね。。。
狐さんを縛っている男のセリフから出題です♪
これも、一文字をのぞいて、現在使われているひらがなと同じですから、わかりますよね?
エイプリルフールですが、特にそれ用のネタはないです(笑)
三つ目ビーム!
え?嘘っ!
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