『化物昼寝鼾』の続きだよ♪
今回で上巻がおしまい♪
キツネさんの帰りが遅いから、タヌキさんが迎えに来たみたいなんだけど。。。
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
※早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画
【原文】
狐が帰りの遅き故、狸迎いに出で、其処此処《そここゝ》と人立ちの多き所を覗《のぞ》き歩けバ、紅葉の吸物・牡丹《ぼたん》の吸物と有り。
「旨い/\」
としてやるを見て、
「さて/\、俺が昔、婆《ばゞあ》を汁にして食つたとハきつい違ひ。
おらが仲間ハ人を頭から塩を付けて食う物が、人に食わるゝとは、きつい違ひ」
と、恐れをなして逃げ行きける。
【ざっくり現代語訳】
キツネの帰りが遅いので、タヌキが迎えに行きました。
人だかりが多いところをアチコチと捜し歩いていると、「紅葉の吸物」「牡丹の吸物」と書いてある店がありました。
その店で人が吸物を食べて、
「うまい、うまい」
と言っているのを見て、タヌキは、
「オレが昔、ババアを汁にして食べたのとは大違い!
オレたちの仲間は、人間を頭から塩を振って食べるような存在だったから恐れられていたのに、今では逆に人に食べられるなんて、冗談にも程がある!」
と恐れおののいて逃げ帰ったのでした。
【解説】
店先と看板に書かれている文字は次のように読めます。
紅葉御吸物◆牡丹御すいもの
御吸物
紅葉は鹿の肉で、牡丹は猪の肉のことです。
看板に描かれているのは紅葉と牡丹の絵でしょうね。
獣の肉はおおっぴらには食べるのをはばかられたので、「紅葉」や「牡丹」と言った、隠語で表現していました。
今で言うと、ジビエでしょうか(笑)
タヌキが「昔、婆を汁にして食った」のは、有名なカチカチ山のエピソードですね。
タヌキがお婆さんを殺して、婆汁にしておじいさんに食べさせるという、恐ろしすぎるお話です。
私の小さい頃に読んだカチカチ山の絵本では婆汁のくだりはちゃんと書いてあったのですが、今の絵本ではたぶん書き換えられているのでしょうね。
というか、カチカチ山は今でも読まれているのかしらん?
一瞬、捌《さば》かれているのはキツネさんかと思ってビックリしましたが、ちゃんとこのあともキツネさんは出てくるみたいなので、ちょっとホッとしました。
タヌキは自分と同じ獣が人に食べられているのを見て驚いただけのようです。
キツネさんは縛られたまま、ほったらかし???
ちなみに獣の肉を出す店を「ももんじ屋」と言いました。
そう、妖怪を現す「ももんじい」という言葉から来ていると思われます。
獣も妖怪と同等の扱いだったというわけです。
【原文】
「ちと、温まろうか。」
【ざっくり現代語訳】
「ちょっと、吸物でも食べて、温まって行こうか。」
【解説】
描かれているのは、右から、タヌキ・武士・武士の使用人・遊び人風の男・料理人でしょうかね。
タヌキの変装がほっかむりだけなので、バレないか心配です(笑)
【原文】
「鴨よりハありがたいな。」
【ざっくり現代語訳】
「カモの肉より、こっちの方が好きだ。」
【解説】
獣の肉はこの時代おおっぴらに食べるのははばかられるものでしたが、鳥の肉は例外でした。
どうも四本足の動物の肉がダメだったみたいですね。
ちなみに、ウサギは鳥扱いです。
耳を羽根に見立てたわけですね、飛びますし(笑)
だから一羽・二羽と数えます。
次回予告とくずし字クイズ
再び相談に集まったようなのですが、おやおやタヌキさんは?
タヌキさんについて書かれているようですが?
ヒントっ!
人を頭から塩をつけて食べる! なんて恐ろしいこと!
いつも、人を食ったような態度をしているくせに、よく言うよ。
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