うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

当ブログは広告・PR・アフィリエイト等を含みます。

「食う」と「食われる」とでは大違い ~『化物昼寝鼾』その6~

当ブログは広告・PR・アフィリエイト等を含みます。

『化物昼寝鼾』の続きだよ♪

今回で上巻がおしまい♪

キツネさんの帰りが遅いから、タヌキさんが迎えに来たみたいなんだけど。。。

f:id:KihiminHamame:20180404220506j:plain
『化物昼寝鼾(ばけものひるねのいびき)』(市場通笑作、鳥居清長画、天明四[1784]年刊)
国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 化物昼寝鼾 2巻
早稲田大学図書館所蔵の本の方が状態が良いです。
[怪物昼寝鼾]. 上,下 / 通笑 作 ; 清長 画

f:id:KihiminHamame:20180404220954j:plainf:id:KihiminHamame:20180404221001j:plain

f:id:KihiminHamame:20180404221007j:plainf:id:KihiminHamame:20180404221013j:plain

【原文】

 狐が帰りの遅き故、狸迎いに出で、其処此処《そここゝ》と人立ちの多き所を覗《のぞ》き歩けバ、紅葉の吸物・牡丹《ぼたん》の吸物と有り。
「旨い/\」
 としてやるを見て、

「さて/\、俺が昔、婆《ばゞあ》を汁にして食つたとハきつい違ひ。
 おらが仲間ハ人を頭から塩を付けて食う物が、人に食わるゝとは、きつい違ひ」
 と、恐れをなして逃げ行きける。

【ざっくり現代語訳】

 キツネの帰りが遅いので、タヌキが迎えに行きました。

 人だかりが多いところをアチコチ捜し歩いていると、「紅葉の吸物」「牡丹の吸物」と書いてあるがありました。

 そので人が吸物を食べて、
うまい、うまい
 と言っているのを見て、タヌキは、


オレが昔、ババアにして食べたのとは大違い

 オレたちの仲間は、人間からを振って食べるような存在だったかられられていたのに、今では逆に食べられるなんて、冗談にも程がある!」

 と恐れおののいて逃げ帰ったのでした。

【解説】

 店先看板に書かれている文字は次のように読めます。

紅葉御吸物◆牡丹御すいもの
f:id:KihiminHamame:20180404220613j:plain
f:id:KihiminHamame:20180404220618j:plain

御吸物
f:id:KihiminHamame:20180404220659j:plainf:id:KihiminHamame:20180404220707j:plain

 紅葉鹿の肉で、牡丹猪の肉のことです。

 看板に描かれているのは紅葉牡丹でしょうね。

 獣の肉おおっぴらには食べるのをはばかられたので、「紅葉」「牡丹」と言った、隠語表現していました。

 今で言うと、ジビエでしょうか(笑)

 タヌキ「昔、婆を汁にして食った」のは、有名なカチカチ山エピソードですね。

 タヌキお婆さんを殺して、婆汁にしておじいさん食べさせるという、恐ろしすぎるお話です。

 小さい頃に読んだカチカチ山絵本では婆汁のくだりはちゃんと書いてあったのですが、今の絵本ではたぶん書き換えられているのでしょうね。

 というか、カチカチ山は今でも読まれているのかしらん?

 一瞬、捌《さば》かれているのはキツネさんかと思ってビックリしましたが、ちゃんとこのあともキツネさんは出てくるみたいなので、ちょっとホッとしました。

 タヌキは自分と同じ食べられているのを見て驚いただけのようです。

 キツネさん縛られたまま、ほったらかし???

 ちなみに獣の肉を出す店「ももんじ屋」と言いました。

 そう、妖怪を現す「ももんじい」という言葉から来ていると思われます。

 獣妖怪同等の扱いだったというわけです。

f:id:KihiminHamame:20180404221638j:plainf:id:KihiminHamame:20180404221645j:plain

【原文】

「ちと、温まろうか。」

【ざっくり現代語訳】

「ちょっと、吸物でも食べて、温まって行こうか。」

【解説】

 描かれているのは、右から、タヌキ・武士・武士の使用人・遊び人風の男・料理人でしょうかね。

f:id:KihiminHamame:20180405003522j:plain

 タヌキ変装ほっかむりだけなので、バレないか心配です(笑)

f:id:KihiminHamame:20180404221915j:plainf:id:KihiminHamame:20180404221922j:plain

【原文】

「鴨よりハありがたいな。」

【ざっくり現代語訳】

カモの肉より、こっちの方が好きだ。」

【解説】

 獣の肉はこの時代おおっぴら食べるのははばかられるものでしたが、鳥の肉例外でした。

 どうも四本足の動物の肉ダメだったみたいですね。

 ちなみに、ウサギは鳥扱いです。

 耳羽根見立てたわけですね、飛びますし(笑)

 だから一羽・二羽と数えます。

 次回予告とくずし字クイズ

 再び相談に集まったようなのですが、おやおやタヌキさんは?

f:id:KihiminHamame:20180404223333j:plain

 タヌキさんについて書かれているようですが?

f:id:KihiminHamame:20180404223346j:plain

 ヒントっ!

f:id:KihiminHamame:20180404223356j:plain

 

 人を頭から塩をつけて食べる! なんて恐ろしいこと!

 いつも、人を食ったような態度をしているくせに、よく言うよ。

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain
いただいた紅茶のレビューはこちら♪

いただいた桂花陳酒のレビューはこちら♪

 

◆オススメ書籍

西鶴作品が現代語でわかりやすく読めます♪ 私もちょっとだけ書いてます♪

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

 

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします。憧れのホットエントリー(笑)