『浦島太郎』の続きだよ!
僕もプロポーズされたいなあ。
国立国会図書館デジタルコレクション - 御伽草子. 第21冊 (浦嶌太郎)
【原文】
浦島太郎申しけるは、
「ともかくも、仰《おほ》せに従ふべし」
とぞ申しける。
さて、偕老同穴《かいらうどうけつ》[共に年を取り、同じ墓に入ること]の語らひも浅からず、
「天にあらば比翼の鳥[雄と雌が一体になった鳥][仲の良い男女のたとえ]、地《ち》にあらば連理の枝[二つの木同士がつながった枝][仲の良い男女のたとえ]とならん」
と、互いに鴛鴦《ゑんわう》[おしどり][仲の良い男女のたとえ]の契り浅からずして、明かし暮らさせ給ふ。
さて、女房申しけるは、
「これは竜宮城と申す所なり。
この所に四方に四季の草木《さうもく》を表せり。
いらせ給へ。見せ申さん」
とて、引き具して出にけり。
まず、東の戸を開けてみれバ、春の景色と覚《おぼ》へて、梅や桜の咲き乱れ、柳の糸も春風《はるかぜ》に靡《なび》く。
霞の内よりも、鶯《うぐひす》の音《ね》も軒近く、何《いづ》れの木《こ》ずゑ[梢]も花なれや。
南(みな)ミ表《おもて》を見てあれバ、夏の景色と打ち見えて、春を隔つる垣穂にハ、
【くずし字クイズの答え】
これはりうぐうじやう
と申所なり。
【ざっくり現代語訳】
浦島太郎は、
「どうにもこうにも、おっしゃる通りにいたします。」
と、プロポーズを受け入れたのでした。
さて、二人は、
「天で言うなら比翼の鳥、地で言うなら連理の枝のようになりましょう。」
と、ずっと仲良くする約束をしっかりして、一緒に暮らし始めました。
ある時、女房は、
「ここは竜宮城という所です。
ここの東西南北には、四季折々の草花をあしらっています。
どうぞいらっしゃいませ、見せてさしあげましょう。」
と、浦島太郎を案内するために連れ出しました。
まず、東の戸を開けてみると、春の景色のようで、梅や桜が咲き乱れ、柳の枝も春風になびいています。
春霞の中からの鶯《うぐいす》の鳴き声も、軒先近くまで聞こえ、どの木の先にも花が咲いています。
南の戸を開けてみると、夏の景色のようで、春との境の垣根には、
【解説】
あっさりプロポーズを受ける浦島さん。
絶対に船の中で既成事実を作られてしまったに違いありません(笑)
「仰せ」などと言う言葉を使っているところをみると、おそらく身分が高いと思われる女性には逆らえなかったのでしょうね。
浦島さん、「逆玉」ですね(笑)
この感じだと婿養子でしょうか?
この話で謎の女性はずっと「女房」と呼ばれています。
「女房」はここでは「女性」の意味なのですが、結婚して文字通り「女房」になってしまったので、ここから先の【ざっくり現代語訳】では「女性」ではなく「女房」と呼ぶことにします。
それにしても、一年中四季の様子が見れる場所、とてもこの世とは思えません。
浦島さんはおかしいと思わなかったのでしょうか?
次回予告とくずし字クイズ
これは秋の様子でしょうか?
ヒントっ!
三つ目コーナー
そういえば、このブログで最初に取り上げた『男色比翼鳥』にも「比翼の鳥」と「連理の枝」が出てきたよね♪
あの頃は三つ目も一つ目も輪っかに顔がついた奴もいなくて良かったよ。。。
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