今日から「青頭巾」[『雨月物語』より]を読み始めるよ!
僕って頭巾が似合う頭だよね!
※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。
霞亭文庫書誌詳細
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【くずし字クイズの答え】
山の鬼こそ来
りたれ。人ミな出よと
【原文】
『雨月物語(うげつものがたり)』巻之五「青頭巾(あをづきん)」
昔、快庵禅師(くハいあんぜんじ)といふ大徳(だいとこ)の聖(びしり)おはしまり[まし?][侍り?]けり。
総角(わかき)より、教外(きやうぐハい)[教外別伝(きょうげべつでん)][禅宗の用語]の旨(むね)を明らめ給ひて、常に身を雲水に任せ給ふ。
美濃の國の龍泰寺(りやうたいじ)に一夏(いちげ)を満(ミ)たしめ、「此の秋ハ奥羽(おうう)の方に住む」
とて、旅立給ふ。
行き/\て下野(しもつけ)の國に入り給ふ。
冨田といふ里にて日入り果てぬれば、大きなる家の賑(にぎ)はゝしけるに立ち寄りて一宿(ひとよ)を求め給ふに、田畑(たばた)より蛙男帰る男等(ら)、黄昏(たそがれ)にこの僧の立てるを見て、大きに怕(おそ)れたる様して、
「山の鬼こそ来たりたれ。人皆出よ。」
と呼び罵(のゝじる)。
家の内にも騒(さハ)ぎ立ち、女童(わらべ)は泣き叫び、展轉(こいまろ)びて隅々(くま/゛\)に竄(かく)る。
主(あるじ)、山枴(おほこ)[荷物を担ぐ(かつぐ)時などに用いる杖状の道具]を
【さっくり現代語訳】
昔々、快庵禅師(かいあんぜんじ)という徳の高いお坊さんがいました。
若い時から禅宗の本質を理解されて、いつも気のみ気のままあちこちをブラブラしていました身が赴く(おもむく)まま諸国を行脚(あんぎゃ)していました。
その年は、美濃の国[現在の岐阜県]の龍泰寺(りょうたいじ)でひと夏の経験ひと夏の修行をした後、「そうだ、この秋は奥羽[現在の東北地方]の方で過ごそう!」と思い立って美濃を旅立ちました。
何日も何日も歩きに歩いて、その日は下野の国[現在の栃木県]の富田という里に来たところで日が沈みました。
裕福そうな大きな家があったので、
「一晩泊めてもらいましょう。ここならいいもん食わせてもらえそうだ」
と思い、立ち寄ると、田畑から帰ってきたこの家の使用人の男たちが、黄昏(たそがれ)[夕暮れ]の中にボーっと浮かぶこの僧の姿を見て、
「ぎゃー!山の鬼がキターーーっ!みんな出てきてくれ~~~っ!」
と叫びました。
家中が大騒ぎになり、女性や子供は泣き叫んで、転ぶわ転げるわで、大慌てで部屋の隅っこに隠れます。
この家の主人はバールのようなものを
【解説】
いよいよ始まりました「青頭巾」!
『雨月物語』はメジャーな作品なので、読まれた方も多いと思いますが、このようにオリジナルの版本で読んだ方は少ないのでは?
現在出回っている活字本と比べると、違っている箇所もちょこちょこ見られます。
たとえば、「びしり」が「ひじり」、「ののじる」が「ののしる」、一行目の「おはしまりたる」としか読めない箇所が「おはしましたる」と、何の注もつけられないまま修正されていたりします。
ちょっと読んだだけでも分かるように、「総角(わかき)」「怕(おそ)れ」「竄(かく)る」など、秋成はかなり特殊な用法を使っていたりします。
ひょっとしたら「ののじる」とかも間違いじゃなくて、わざとそう書いた可能性もあるので、もし『雨月物語』を研究したいという学生さんとかいらっしゃたら、活字本だけではなく、ちゃんと版本もチェックされることをオススメします。
というわけで、快庵禅師は一体、何に間違われたのか?
次回に続く!!!
あ、快庵禅師は実在する室町時代のお坊さんです!
次回予告とくずし字クイズ
え?その年で老僧???
ヒントっ!
しれっと復活 三つ目コーナー
知ってるよ!
「青頭巾」ってオオカミがおばあさんを食べちゃうお話でしょ!
それは「赤頭巾」!!!
でも、まんざら間違いでもなかったりするのよね。。。
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