「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!
快庵禅師がついに山寺へ乗り込んでいくよ!!!
※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。
霞亭文庫書誌詳細
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【くずし字クイズの答え】
眠蔵(めんざう)より痩槁(やせがれ)たる僧の漸(よハ)/\とあゆミ
出。
【原文】
山院、人留まらねば、楼門(ろうもん)は荊棘(うばら)生い掛ゝり、経閣(きやうかく)も虚(むな)しく苔(こけ)蒸[生](む)しぬ。
蜘[蜘蛛]、(くも)網(あミ)を結びて、諸佛を繋(つな)ぎ、燕子(つばくら)の糞(くそ)、護摩(ごま)の床(ゆか)を埋(うず)ミ、方丈(ほうじやう)廊房(らうばう)全て物凄(すざ)まじく荒れ果てぬ。
日の影、申(さる)に傾(かたぶ)く頃、快庵禅師、寺に入りて錫(しやく)を鳴(なら)し給ひ、
「編参(へんさん)の僧、今夜(こよい)ばかりの宿を貸し給へ」
と、数多(あまた)度(たび)叫(よ)べども、更に応(こた)へなし。
眠蔵(めんざう)より痩(や)せ槁[枯](が)れたる僧の、漸[弱](よハ)/\と歩ミ出で、咳(からび)たる聲して、
「御僧ハ何地(いづち)へ通るとてこゝに来るや。
此の寺は、さる由縁(ゆゑ)ありて、かく荒(あ)れ果て、人も住まぬ野らとなりしかば、一粒(りう)の斎糧(ときりやう)もなく、一宿[夜](ひとよ)を貸すべき謀(はかりごと)もなし。
早く里に出よ。」
と言ふ。
禅師言ふ。
「これは美濃の国を出て陸奥(みちのく)へ去(い)ぬる旅なるが、この麓(ふもと)の里を過ぐるに、山の霊[形](かたち)、水の流れの面白さに思わずもこゝに詣ず。
日も斜(なゝ)めなれバ、里に
【さっくり現代語訳】
山寺は人が誰もいなくなったので、二階建ての門には雑草が生い茂り、経典を収める施設もすっかり苔生(む)してしまっています。
クモの巣が仏像と仏像の間にかかり、ツバメのフンが護摩壇の床一面を埋めています。
住職の居住スペースも廊下も全てが、とんでもなく荒れ果てています。
太陽が西の方に傾く頃、快庵禅師はこの寺にやって来て、 バールのようなもの 錫杖(しゃくじょう)を鳴らし、「 佐川急便で~す 諸国行脚の僧でございますが、一晩泊めていただけないでしょうか!」と何度も叫んだのですが、全く返事がありません。
しかし、しばらくすると寝所から痩せ細った住職が、ヨタヨタと歩み出て、カスッカスの声で、
「あなたはどこへ行くのが目的で、こんな所を通るのですかな?
この寺はワケあってこのように荒れ果て、人も住まぬ野原のようになったので、米一粒の食料もなく、あなたを泊める用意も何もありません。
早く里の方に行きなされ。」
と、言いました。
快庵禅師は、
「私は美濃の国から みちのく一人旅 東北へ行く旅をしているのですが、ここの麓(ふもと)の里を通っている時に、風流なこの山の姿や清らかな水の流れが目に入りまして、ついつい山を登ってこのお寺まで来てしまいました。
日も傾いてしまったので、里に
【解説】
ついに快庵禅師が山寺にやってきました。
鬼の住職がいきなり快庵禅師に襲い掛かって、バトルでも始まるのかと思いきや、意外と話が通じそうな感じですね。
ちょっと拍子抜けです(笑)
それにしても、美濃から東北に行くというのは本当ですが、快庵禅師は「思わず来ちゃった(はあと)」というバレバレの嘘をついて中に入ろうとしています。
果たしてうまくいくのでしょうか?
次回予告とくずし字クイズ
住職は怒ってらっしゃるようですが?
この三文字だけ漢字で、残りはカナです♪
三つ目コーナー
本文中に出てきた錫杖というのは、お坊さんがよく持ってるジャラジャラしたのが付いてる杖ね。
こういうやつだよ~♪
だから、背景をなんとかしろと。
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