「うきよのおはなし(はてな)」一周年記念企画、『男色比翼鳥』巻1の1読み直しの続きだよ!
取り上げて欲しい作品やテーマは引き続き募集中だよ!
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。
【前回のくずし字クイズの答え】
光陰(かうゐん)は矢(や)のごとしも
はや十四の色すがた誠に情(なさけ)深(ふか)き美少也
【原文】
なり。昨日今日と暮(くら)しけるが、光陰(かうゐん)は矢(や)のごとし、もはや十四の色姿、誠に情(なさ)け深(ふか)き美少也。
然(さ)れば近国(きんごく)の若(わか)男恋慕ひ、牛遣(うしつか)ひの陀羅助(だらすけ)[文楽の中年役で使う首(かしら)のことか?]迄も、弥増(いやま)しの思ひ草。
「葉末(はづゑ)に結ぶ露計(つゆばか)りの御情けに預(あづか)りたし。」
と、斯程(かほど)口汚き男さえ、色にハ迷(まよ)ふ無駄口も、恋の習ひとしおらし。
或る時、音羽之丞、五月雨(さみだれ)のしめやかに降(ふ)り、塩干(しおひ)を知らぬ庭(にハ)の石(いし)も寂(さ)び、昼中(につちう)に騒ぐ鼠(ねづミ)も追(をハ)ず、「少しは是も伽(とぎ)にやなる」と、過ぎし昔(むかし)を思ひ出し、父母に別(わか)れし無常(むじやう)を観(くわん)じ、または此(こ)の身に心をかけし人々の文、取り出し見るに、大方は二ツ三ツ五ツ迄、重(かさな)るハ少なし。
然(さ)るにても、我(われ)色有る身にて、いまだ定(さだま)る念友(ねんゆう)も無く、うか/\と
【さっくり現代語訳】
日々を過ごすうちに、「光陰矢のごとし」とは言いますが、あっという間に十四歳の若衆盛りになり、実に情け深い美少年に成長しました。
なので、近隣諸国の若い男が音羽之丞を恋い慕い、牛飼いの中年までもが思いを募らせ、
「葉っぱの先の露ぐらいちょっとだけでもいいから、情けを掛けていただきたいものだ」
と言う始末。
こんな野蛮な男でさえも惑わされて、つまらぬ事を言ってしまうのが、色恋というもので、けなげものである。
ある時、音羽之丞は、五月雨(さみだれ)がしめやかに降り、雨に濡れて庭石も寂しげに見えて気分が上がらず、昼間からに暴れるネズミさえも追う気にならなかったので、
「少しの気晴らしにでもなるかな。」
と、昔のことに思いを巡らせ、父母に死に別れたこの世の無常をはかなみました。
それから音羽之丞に恋を仕掛けた男たちからのラヴレターを取り出して見てみると、ほとんどが数回でやりとりが終わっていて、長く続いているものはありませんでした。
音羽之丞は、
「それにしても、若衆としては今が盛りなのに、まだ決まった兄分がおらず、ぼんやりと
【解説】
まず、この話における世界観に戸惑った方もいらっしゃると思います。
この『男色比翼鳥』が出版された当時、男色(男同士の恋愛)は特別なものではなく、普通に行われており、いわば文化・風俗として成立していました。
この点を踏まえて、この先を読み続けてくださいね♪
文中の「塩干を知らぬ庭の石も寂び」の解読が困難だったのですが、おそらく、百人一首の二条院讃岐(にじょういんのさぬき)の歌、
「我が袖は 潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし」
(あなたのことを思うと、私の袖は、潮が引いても海中から姿を見せない沖の石のように、人知れず涙で濡れていて、乾く間もないのです)
を踏まえた表現だと思われます、たぶん。
モッテモテで恋を仕掛けまくられる音羽之丞君ですが、どうも音羽之丞君の相手としてふさわしい男は現れなかったようです。
次回予告とくずし字クイズ
困った時の仏頼みのようです。
三つ目コーナー
僕が主人公のBLもの、誰か描いてくれないかな?
誰も描かないし、誰も読まない!
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