『男色比翼鳥』巻6の13の続きだよ!
取り上げて欲しい作品やテーマは引き続き募集中だよ!
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
男色比翼鳥 6巻. [6] - 国立国会図書館デジタルコレクション
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【前回のくずし字クイズの答え】
わかれて久しき比翼鳥(ひよくのとり)柳(やなぎ)の枝にとまりしを
【原文】
面白き詮索(せんさく)、斯(か)ゝる東(あづま)に都(ミやこ)若衆は珍しゝ。
然(さ)らば面々、粋筒(すいづゝ)持たせ、そこら辺りを騒(ぞめ)き歩き、見当たり次第に彼の若衆を奪い取らん。
此の儀、尤も然るべし。」
と善をバ嫌(きろ)う溢(あぶ)れ者、我先にと座を立ちぬ。
奥村・山田・市川は、両人の少年を連(つ)れ、梅若(むめわか)の古関(こせき)を詠(なが)め、一入(ひとしを)哀(あハれ)を催す折から、別れて久しき比翼鳥(ひよくのとり)、柳(やなぎ)の枝に止まりしを、二人の美少見るとそのまゝ、
「不思議や如何(いか)なれば此所(ここ)にありけるぞ。」
「然(さ)れば候、何れも御尋ねの安ン左衛門、今日(けふ)ハ浅茅ヶ原(あさじがはら)に寄(よ)り合(あ)ひ、酒宴(しゆえん)して罷り有り。
追(を)つ付(つ)け此所(ここ)へ来たるべし。
併(しかしながら)、此方(こちら)より彼奴等(きやつら)が方へ押(お)し寄(よ)せ、酒宴中半(なかば)の油断を見澄まし、本望を遂(とげ)給へ。
我は文殊(もんじゆ)の仰せに従ひ、またこそ姿(すがた)を現しぬ。」
と形は雲井(くもい)に立ち隠れぬ。
何れも悦び、
「是(これ)文殊の御影(おかげ)。」
【さっくり現代語訳】
それは良い者を見つけたな。
こんな東国に都若衆がいるのは珍しい。
さあ、皆の衆、酒筒を持ってそこらへんを騒ぎ歩き、見つけ次第、その都若衆を奪い取れ!
その都若衆には、我々の相手をさせるのが相応(ふさわ)しい。」
と[一平次が]言うと、善を嫌うアウトローたちは、我先にと席を立って出かけていきました。
その頃、奥村・山田・市川は、二人の少年を連れて、梅若塚[当時の塚は現存しないが、現在は木母寺(もくぼじ)で復元されている]を眺め、一段と哀れを感じていました。
その時、別れてから久しぶりの比翼鳥が現れ、柳の枝に止まったので、二人の美少年はその姿を見てすぐ、
「これは不思議、どうしてここにいるのですか?」
と聞くと、比翼鳥は、
「うむ、皆が探している安左衛門[一平次]は、今日は浅茅ヶ原(あさじがはら)に集まって酒宴を催している。
そして、間もなくこちらにやって来るだろう。
しかし、その前に、逆にこちらから奴らの所に乗り込んで、酒宴の最中で油断してるのを見計らい、安左衛門を討って本望を遂げるが良い。
我は文殊菩薩の仰せに従って、再び姿を現した。」
と言って、雲の中に姿を消しました。
五人は喜び、
「これは全て文殊様のお陰です。」
【解説】
さてさてこの大ピンチに、文殊様の使いで再び現れた比翼鳥。
文殊様は正々堂々と戦うのではなく、不意打ちをご推奨のようです(笑)
梅若塚は、人買いに連れられてこの地で亡くなった梅若丸という少年を供養するために作られたそうです。
梅若丸の辞世の句が「尋ね来て 問はば応えよ 都鳥 隅田川原の 露と消へぬと」で、前々回に出てきた「都鳥住む傍らに、濁る心を隅田川の辺に」はこの句をふまえた一文でしょう。
次回予告とくずし字クイズ
さあ、いよいよ敵討ち!
というか、次回で最終回です。
三つ目コーナー
比翼鳥は頭が二つあるけど、僕は目が三つあるんだよ。
だから何?
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