『亀山人家妖』の続きだよ!
藪の中から出てきたのは?
喜三二[平沢常富]作、北尾重政 画『亀山人家妖(きさんじんいえのばけもの)』天明7 [1787]年刊
※この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
絵本国土産 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。
【翻刻】※ 赤字が前回のくずし字クイズの答えです。
かくてむかふの◆やぶさハ/\と◆して出きたる◆
ハばけ◆ものか◆いけの◆ぬしかと◆見れバ◆
ますば◆やの◆とめ山◆しまうら◆もろ共◆たち出てわらふ
ぬしハあんまり◆まじめで釣て◆おいでなんすから◆
をどかしたのでおすよ◆ぬしハあんまり◆ばからしいね◆
しまうらさん◆はやくといて◆おあけなんし
おやとんだ帯が◆しまつていゝす◆よ
あんまり◆ぬし/\と◆いふまいいけの◆
ぬしが出てハ◆あやまる
やりておまつけふハ◆きやく人のりやうへ◆
おいらんをおとも◆してかへりで◆ござります
わかいもの◆まさ介◆
これハ◆すきなりさま◆とうで◆ごさり◆ます
【現代語表記】※ 固有名詞に関しては、ふさわしいと思われる漢字を仮にあてました。
かくて向こうの藪、ざわざわとして出て来たるは、「化け物か。池の主(ぬし)か」と見れば、枡葉屋(ますばや)の留山(とめやま)、島浦(しまうら)、諸共(もろとも)立ち出て笑う。
「主(ぬし)はあんまり真面目で釣っておいでなんすから、脅かしたのでおすよ。
主はあんまり馬鹿からしいね。
島浦さん、早く解いておあげなんし。」
「おや、とんだ帯が締(し)まって居いすよ。」
「あんまり、『主(ぬし)、主』と言うまい。
池の主が出ては誤(あやま)る。
遣手(やりて)のお松(まつ)
「今日は客人の寮(りょう)へ、花魁(おいらん)をお供して帰りで御座ります。」
若い者柾介(まさすけ)
「これは好成(すきなり)様、どうで御座りますか。」
【さっくり現代語訳】
そして、向こうの藪がざわざわと音を立て、中から出てきたのは、
「化け物か?はたまた池の主か?」
と思ったら、枡葉屋(ますばや)の留山(とめやま)と島浦(しまうら)が一緒に出てきて、岡持(おかもち)を見て笑うのでした。
留山(とめやま)
「主(ぬし)[あなた]があんまり真面目に釣っておられたので、ドッキリを仕掛けたのですよ。
主は、おバカさんですこと。
島浦さん、早く帯を解いておあげなさい。」
島浦(しまうら)
「おや、しっかり帯が締まっていますよ。」
岡持(おかもち)
「あんまり、『主(ぬし)、主』と言いなさんな。
池の主(ぬし)が出て来ては困る。」
遣手(やりて)[遊女の世話役]のお松(まつ)
「今日は客人のお座敷へ、花魁(おいらん)のお供をして、その帰りでございます。」
若い者[遊郭の従業員]の柾介(まさすけ)
「これは好成(すきなり)様[好色者の意か?岡持の遊郭でのニックネーム?]、これから一緒にどうでございますか?」
【解説】
「置いてけ~」の声は、化け物でも池の主でもなく、呼ばれた座敷から帰る途中の、吉原の遊女のイタズラだったというわけです。
なのに、池の主が出てはこないか怯(おび)える岡持(笑)
枡葉屋(ますばや)という遊女屋が、吉原に実在したかどうか、当時の吉原細見[吉原ガイドブック]とニラメッコしながら調べたのですが、どうも見つかりません。
どうやら、枡葉屋(ますばや)は、吉原の松葉屋(まつばや)という実在のお店をもじってつけた名前のようです。
遊女の名前も実在の遊女の名前をもじったものと思われますが、詳しくは次の次の回で。
次回予告とくずし字クイズ
おやおや岡持さん、そのままお店に一緒について行ったようですね。
三つ目コーナー
一つ目~♪
二つ目~♪
(よし次は僕の番だな)
三つ目~、じゃない!
江戸砂子温故名蹟誌 6巻. [8] - 国立国会図書館デジタルコレクション
(満面の笑み)
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