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足洗い屋敷 ~野久知橘筵作・歌川国輝画『本所七不思議』 その3~

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明治時代の浮世絵の『本所七不思議』続きだよ!

より洗ってほしいな♪

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By 歌川国輝 (3代目) - scanned from ISBN 4-3097-6096-4 Invalid ISBN., パブリック・ドメイン, Link
野久知橘筵作・歌川国輝画『本所七不思議』(明治十九[1886]年刊)
※ Wikipediaの画像を表示しています。
※ 早稲田大学図書館のホームページで高画質のものがご覧いただけます。
本所七不思議之内 / 昇旭斎国輝 画

翻刻

本所七不思議之内 足洗邸(あしあらひやしき)

虚説(うそ)か本所(ほんじやう)三笠町(ミかさてう)幕府(ばくふ)の旗本(はたもと)
味野岌之助(ミのかさのすけ)が邸(やしき)に一ッの不思議(ふしぎ)あり
草木(くさき)も寝(ね)むる丑(うし)三ッ頃(ごろ)いと生臭(なまぐさ)き
風(かぜ)につれ家鳴(やなり)震動(しんとう)夥(おびただ)しく座敷(ざしき)の
天井(てんじやう)メリ/\と音(おと)冷敷(すさまじく)現(あら)ハるゝ血(ち)に染(そま)り
たる男の足を洗ふを夜毎(よこと)の勤(つとめ)となす
腰元(こしもと)婢(はした)の怠(おこた)りて聊(いさゝ)か麁略(そりゃく)の事(こと)あ
れバ益々(ます/\)家鳴(やなり)震動(しんどう)なすにぞ主人(あるし)も
今(いま)は心(こゝろ)に掛(か)け同勤(とうきん)設樂(したら)某(ぼう)へ語(かた)り終(つい)に
同氏(どうし)と邸(やしき)換(がへ)なせし後(のち)ハ怪(あや)しむ事(こと)もなかりしとぞ

葛西太郎の後統
野久知橘莚撰

【原文(補足表記)】※振り仮名の一部は省略しました。

本所七不思議の内 足洗邸(あしあらひやしき)

虚説(うそ)か所(ほんじやう)[「嘘か当か」と掛けた]三笠町(みかさてう)、幕府の旗本味野岌之助(ミのかさのすけ)が邸(やしき)に、一ッの不思議有り、

草木も寝むる丑(うし)三ッ頃、いと生臭き風に連れ、家鳴(やなり)震動夥(おびただ)しく、座敷の天井メリ/\と、音冷敷(すさまじく)現(あら)ハるゝ、血に染まりたる男の足を洗ふを、夜毎(よごと)の勤めと為す、

腰元(こしもと)婢(はした)の怠(おこた)りて、聊(いさゝ)か麁略(そりやく)の事あれば、益々(ます/\)家鳴(やなり)震動為すにぞ、

主人(あるじ)も今は心に掛け、同勤(どうきん)設楽(したら)某(ぼう)へ語り、終(つい)に同氏(どうし)と邸(やしき)換え為せし後(のち)ハ、怪しむ事も無かりしとぞ。

葛西太郎の後統
野久知橘莚(のぐちきつえん)撰(つく)る

【さっくり現代語訳】

本所七不思議の内 足洗い屋敷(あしあらいやしき)

ウソか本当か、本所三笠町幕府の旗本である味野岌之助(みのかさのすけ屋敷不思議な事が起こりるそうです。

草木も眠る丑三つ時[午前二時ごろ]になると、とても生臭い風とともに、を立てて激しく揺れ座敷の天井をメリメリと大音量で突き破って、血に染まった男の足が現れます。

その洗うのが毎夜の勤めとなっていましたが、腰元や下女がめんどくさがって少しでもテキトーに洗ったりしたものなら、ますます家が音を立てて揺れるのです。

今や屋敷の主人味野岌之助の悩みの種となり、同僚設楽(したら)ホニャララに話した結果、二人屋敷交換する事になり、その後はその怪異は起きなくなったということです。

葛西太郎[料亭の名?]の後継者
野久知橘莚(のぐちきつえん)作

【解説】

家が揺れるのも、足を洗うのもですが、これも直接人に危害は加えていないので、、、まあ、良くは無いですけど!

屋敷の主人が代わったら怪異が起きなくなったと言う事は、この屋敷味野家にまつわる因縁がある仕業なのでしょうかね。

というか、「三みかさ町」かさ(蓑)のすけ」って、作者の野久知さん、絶対、語呂合わせで適当に名前つけたでしょ!(笑)

江戸時代の地図ドン!

f:id:KihiminHamame:20181201045902j:plain〔江戸切絵図〕. 本所絵図 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※ 国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。

ちゃんと「三笠町」も書かれていますね。

f:id:KihiminHamame:20181201045929j:plain

気になったのは、黄色の丸印をつけた、ここでは「大根(おおね)」さんがある辺り、『復元・江戸情報地図』という本では、「簑(みの)」と記載されているんです。

復元・江戸情報地図

復元・江戸情報地図

 

ただ、このが元にした資料、だいたいどれか目星はついているのですが、直接確認することができなかったので、あくまでも仮説になってしまいますが、この「簑」さんがこのお話に登場する「味野(みの)」さんモデルだったのではないかと?

なにしろ、すぐ近くに、「設楽」さんの家も二軒[「設楽捨之丞」と「設楽仙太郎」]ありますしね!

f:id:KihiminHamame:20181202191943j:plain

ちなみに、『復元・江戸情報地図』の内容は、フリーのスマホアプリ「大江戸今昔めぐり」に網羅されているので便利ですよ♪ 
※ ちょっと場所とか間違ってる所も見つけたけど、ナイショにしておきますw

三つ目コーナー

みんな忘れてると思うけど、は元々は妖怪双六のパロディーとして登場したんだよ!
kihiminhamame.hatenablog.com

北見花芽版の妖怪双六、作るって言ってなかったっけ?

今のところ、北見花芽版の妖怪双六用の絵はまだ4枚しか公開されてないけど?

f:id:KihiminHamame:20181130005525p:plainf:id:KihiminHamame:20181201050049j:plainf:id:KihiminHamame:20181201050055j:plainf:id:KihiminHamame:20181201050100j:plain
※ あ、一つ目と三つ目の服が一緒だから直さないとねw

も、もちろん、わ、忘れてるいよ(激しく動揺)

    

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◆オススメ書籍 私もちょっとだけ書いてます♪

西鶴作品が現代語でわかりやすく読めます♪ 

気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴

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江戸の男色文学を紹介するエッセーなどが掲載されています♪

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

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◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

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