明治時代の浮世絵の『本所七不思議』の続きだよ!
僕の頭は何もしなくても光ってるよ!
By 歌川国輝 (3代目) - scanned from ISBN 4-3097-6096-4 Invalid ISBN., パブリック・ドメイン, Link
野久知橘筵作・歌川国輝画『本所七不思議』(明治十九[1886]年刊)
※ Wikipediaの画像を表示しています。
※ 早稲田大学図書館のホームページで高画質のものがご覧いただけます。
本所七不思議之内 / 昇旭斎国輝 画
【原文(補足表記)】※振り仮名の一部は省略しました。
本所七不思議の内 無燈蕎麥(あかりなしのそば)
北斗の光り赫奕(かくやく)と、肌さへ氷(こお)る冬の宵(よひ)、淋(さび)しさ透(さそ)ふ寒念仏(かんねぶつ)、ゾツト身に染(し)む小夜嵐(さよあらし)、
往来(ゆきゝ)も稀(まれ)な割下水(わりげすい)、橋の上をば突く枎(つへ)に聲も哀れに聞こえぬる、「按摩(あんま)ァ、上下(かみしも)十六文」、是(これ)も二八と筆太(ふでぶと)に手打ち蕎麥切(そばきり)饂飩(うんどん)と、書く行燈(あんどう)に燈火(ともしび)を、附(つ)けぬを例(れい)と為(な)せる由(よし)、
燈(とも)せば忽然(たちまち)消す者有りて、皿に油の気(け)も無きとか、誰(た)が悪戯(いたづら)と云ふを知らず、
押しして燈(とも)せバ消ゆる而己(のミ)か、果(は)たして家に凶事(きよじ)有ると、語り傳へし灯(あか)り無しの蕎麥店(そばや)。
野久知橘莚(のぐちきつえん)撰(つく)る
【さっくり現代語訳】
本所七不思議の内 灯り無しの蕎麦(あかりなしのそば)
北斗七星が光り輝き、肌まで凍る冬の宵に、寒念仏(かんねぶつ)[寒中に念仏を唱えて回る修行]の声が寂しさを誘います。
夜の嵐の冷たさがぞっと身に染み、行き交う人も少ない割下水(わりげすい)の橋の上を、盲人(もうじん)が杖を突いて「按摩(あんま)はいかがですか~、全身揉んで十六文です~」という声も哀れに聞こえます。
その割下水沿いに、「二八(按摩と同じ二×八の十六文)、手打ち、そば、うどん」と太い筆で書かれた行灯(あんどん)に、いつも灯りがついていない店が出ています。
灯りをつけてもすぐに誰かが消してしまい、そもそも行灯の皿に油がある気配もないそうです。
誰かのイタズラなのかどうかも分かりません。
なお、無理矢理灯りをつけると、火が消えるだけでは済まず、灯りをつけた者の家に悪いことが起こると語り伝えられています。
これが灯り無し蕎麦屋と呼ばれる怪異です。
野久知橘莚(のぐちきつえん)作
【解説】
挿絵の行灯には「二八、そば、うんどん」と書かれています。
行灯の上にタヌキが乗っているので、タヌキの起こす怪異ということでしょうか?
行灯に灯りをつけると、家に悪いことが起きるそうですが、どの程度の悪いことなんですかね?
どちらにしても、実害が出る怪異なので、行灯に灯りがついていないそば屋を見かけてもスルーで!
江戸時代の本所の地図ドン!
〔江戸切絵図〕. 本所絵図 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※ 国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
割下水は「送り拍子木」の所でも出てきましたね。kihiminhamame.hatenablog.com
割下水で橋があるのは丸印の箇所です。
横川より東にも割下水は続いていますが、その辺りは錦糸堀(きんしぼり)と呼ばれていたようなので、この怪異が起きる範囲からは外れてるのではないかと。
錦糸堀についてはまた改めて。
三つ目コーナー
そばとうどん、どっちが好き?
蕎麦(そば)かな、だって、君の側(そば)にいたいから♪
(激しく動揺)
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