本所七不思議の江戸時代の資料が少なかったので、明治大正の資料も調査しました。
野久知橘筵文・歌川国輝画『本所七不思議』(明治十九[1886]年刊)
今でもよく引用される、「本所七不思議」を題材にした浮世絵に関しては、先に紹介済みです。
平出鏗二郎『東京風俗志』
平出鏗二郎『東京風俗志』 上[明治三十二(1899)年刊]には、次のような記述があります。
また、本所に七不思議あり。
一に馬鹿太鼓、
二に置いてけ掘、
三に片葉の蘆、
四に天井の足洗い、
五に二つ提灯、
六に云々と。
今、置いてけ堀の名を空しく留むるのみ。
東京風俗志. 上 - 国立国会図書館デジタルコレクション
五つまで書いたのなら、七つ全部書いて欲しかったものです(笑)
「馬鹿太鼓[馬鹿囃子・狸囃子]」「置いてけ掘」「片葉の蘆」「天井の足洗い[足洗い屋敷]」は先の浮世絵にも登場していますね。
「二つ提灯」は、たぶん「送り提灯」のことでしょう。
気になるのは、「今、置いてけ堀の名を空しく留むるのみ」という箇所。
そうなんです、「置いてけ堀」の名はこの当時まだ残っており、明治の地図にもちゃんと書かれています。
今昔マップ 「堀ケテイオ」
現在この場所は第三亀戸中学校になっており、「おいてけ堀跡」の石碑も立っています。
なお、「置いてけ堀」と呼ばれた場所は複数あったと言われ、錦糸堀(きんしぼり)もその候補の一つになっています。
錦糸堀は錦糸町の地名の由来になった堀ですが、今の錦糸堀公園の場所にあったわけではありません。
錦糸堀の場所も明治の地図に記載があります。
今昔マップ 「堀糸錦」
この地図に記されている錦糸堀の場所は、『砂子の残月』上[江戸末期作]の、
南割水・北割水 本所御蔵裏手より横川まで。また、横川より先は金糸堀と言う。
※ 「北割水[北割下水]」とも書いてありますが、御蔵[御竹蔵]裏手より云々とあるので、この説明は「南割水[南割下水]」のものです。
江戸叢書 : 12巻. 巻の九 - 国立国会図書館デジタルコレクション
という記述とも一致しています。
※ 三遊亭円朝の落語『月謡萩江一節』三と四、『鏡ヶ池操松影』三の記述とも一致。
※ 御竹蔵辺りも置いてけ堀の候補の一つ。
それでは、わかりやすいように、この明治時代の地図に書かれている置いてけ堀と錦糸堀の場所を、いつもの地図ドン!
〔江戸切絵図〕. 本所絵図 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※ この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。
明治大正の資料はまだあるのですが、今日はここで力尽きたので、続きは次回!
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