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本所七不思議~松川碧泉「江戸の七不思議」より②~

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昭和3[1928]年2月と4月『江戸往来』2巻2号と3号に掲載された、松川碧泉氏「江戸の七不思議」という記事紹介されていた「本所七不思議」についての続きです。

六、消えずの行灯(あんどん)[割下水の灯(あか)り無しの蕎麦屋

場所:竪川通り、一ッ目辺

内容:ある蕎麦屋行灯一晩中消えない
または、夜中なのに灯火(ともしび)をつけない家があった。

備考:人が多い場所なので、徹夜で商売をする店があったか。一ッ目という地名にかけて、狸が油を差しに来るとか、行燈の上に豆狸が胡坐(あぐら)をしているという話も加わった。

今回のまとめ役一つ目かよ。
「一ッ目」が出てきたことだし、まあ、いいか。。。

「一ッ目という地名にかけて」云々というのは、「一ッ目」という地名はやはり妖怪イメージするので、そこから当時は妖怪とみなされていたタヌキ化かしているという話が出てきたということでしょう。

そういえば、浮世絵行灯の上にもタヌキが乗っていますね。kihiminhamame.hatenablog.com

元々は徹夜で商売をする店ディスる意味で出来た怪異なのでしょうが、ずっと灯りがついているよりも、消えていた方が不気味なので、別バージョンが生れたのでしょうね。

七、落葉せぬ椎(しい)

場所:横網の松浦豊後守邸[椎の木屋敷]

内容:松浦邸の椎の木は、大木なのに一枚の落葉も道に散っていない。

備考:吉原通いをする舟からよく見えたので、嬉しの森とも呼ばれる。

大正の郷土雑誌に記載されていた「落葉せぬ榧(かや)」「椎」の間違いだと思われます。kihiminhamame.hatenablog.com

『江戸砂子』記載の地図に、しっかり「松ウラヤマト[松浦大和]の横に「シイノ木[椎の木]と記載されています。

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菊岡沾涼ほか『江戸砂子温故名蹟誌』明和9 [1772]年刊
江戸砂子温故名蹟誌 6巻. [8] - 国立国会図書館デジタルコレクション
※ この記事では国会図書館デジタルコレクションの画像を適時改変して使用しています。

吉原通いをする舟に乗ったが、この椎の木を見て喜んだそうです。

岡持さんも、本所の置いてけ堀から吉原に、に乗って、遊女たち同行したのでしょうね。kihiminhamame.hatenablog.com
kihiminhamame.hatenablog.com

少なくとも、江戸時代の書物には、松浦邸の椎の大木「嬉しの森」という別名で呼ばれていることや、松浦邸椎の木屋敷と呼ばれていることは書かれていても、怪異の対象とはなっていません。

そもそも、椎の木常緑樹で、葉っぱほとんど落ちないみたいですが(笑)

大木と言うだけで神秘的なので、七不思議の一つ数えたくなっちゃったんでしょうね。

鼠渓作『寐ものがたり』安政三[1856]年序]に記載されている、松浦邸の椎の木の枝を切ろうとするとけが人が出たりするので、椎の木切る理由を説明したらそのようなことはなくなった、というエピソードの方が怪異っぽいですけど、本所七不思議としてはこの内容では伝わっていないようです。
椎の木 | シイノキ | 怪異・妖怪伝承データベース

椎の木って、前にこのブログで紹介した別の話でも出てたような?
すぐ近くにある町は石原町ですが、気のせいかな、
ま、いいか。

八、津軽の太鼓

場所:津軽

内容:大名家火の見櫓(やぐら)では板木を鳴らして時刻などを知らせたが、津軽だけはなぜか太鼓を打つことを公儀から許可されていた。

前回予告した、津軽にまつわる本所七不思議はこれです。

ただ、確かに不思議ではありますが、怖くも何ともないですね。

というか、事実かどうかも確認が取れていません。

津軽のような大きな大名屋敷では、色々な噂が立ったのでしょうね。

九、入江町の時無し

内容:入江町では、拍子木を打つと怪異が起こるので、火の番も、時の知らせも、拍子木を使わなかった。

備考:入江町には鐘撞(かねつき)堂があったので、拍子木を打って時を知らせる必要がなかった。

大正の郷土雑誌には「拍子木を打つと怪異あり」としか記されていませんでしたが、ここでようやく詳細が分かりました。kihiminhamame.hatenablog.com

入江町の時の鐘については以下の過去記事をご参照ください。kihiminhamame.hatenablog.com

単に入江町では拍子木を打つ必要が無かっただけなのですが、その理由を知らなかったが、想像して変な噂を流してしまったのでしょうね。

十、割下水のほい駕籠(かご)

内容:旗本屋敷が並ぶなどは人通りも少ない寂しい所で、その暗がりの町を時々、「ほいかご、ほいかご」という掛け声がして、人が近づく気配がするが、その姿を見たものはいない。

これも大正の郷土雑誌には「声あり形無し」としか記されていませんでしたが、ここでようやく詳細が分かりました。kihiminhamame.hatenablog.com

単に、暗くて人の姿が見えなかったのか、夜更けで静かなので、ちょっと離れた場所の声が聞こえてきただけなのでしょうね。

「送り拍子木」「馬鹿囃子[狸囃子]と被っていますね。

それでは、今回、登場した七不思議の場所まとめて地図ドン!

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三つ目コーナー

もう、タヌキにもキツネにもカエルにもにも騙されないよ!

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そ、蕎麦???

 

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