はい、今回から『宇治拾遺物語』を始めますよ♪
『宇治拾遺物語』の画像は明治二十年頃に刊行された『和文教科書』のものを使用します♪
『和文教科書』は華族女学校で使用されていたんですって!
なので、みなさんも華族のお嬢様になった気分で、『宇治拾遺物語』を読んで行きましょうね(笑)
www.jissen.ac.jp
なお、『宇治拾遺物語』は教科書にも載っていて、試験でよく使われますが、学生の方はこのブログは参考になさらないでくださいね!
訳はあくまでも「さっくり現代語訳」で、読みやすさとわかりやすさを重視して、厳密には訳していないので!!!
解説も北見花芽の独断と偏見にまみれてますから!(笑)
というわけで、最初に取り上げるのは「稚児のそら寝」から。
だって、mashley (id:mashley_slt) さんが、
って三回も熱くアピールされているので、取り上げないわけにいかないじゃないですか!(笑)
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
和文教科書. 7之巻 宇治拾遺物語ぬきほ - 国立国会図書館デジタルコレクション
【原文】
児《ちご》の、掻《か》い餅《もちひ》するに、空寐《そらね》したる事、
これも、今は、昔、比叡の山に、児《ちご》有りけり。僧達、夜居《よゐ》の徒然《/゛\》に、「いざ、掻《か》い餅《もちひ》せん」と言ひけるを、此《こ》の児《ちご》、心寄せに聞きけり。「さりとて、し出《い》ださんを待ちて、寝ざらんも、悪ろかりなん」と思ひて、片方《かた/\》に寄りて、寐たる由にて、出《い》で来るを待ちけるに、既《すで》に、し出《い》だしたる、様《さま》にて、犇《ひし》めき合ひたり。此《こ》の児《ちご》、「定めて、驚かさんずらん」と待ち居たるに、僧の、「物申し候《さぶら》はん、驚かせ給へ」と、言ふを「嬉し」とは思へども、「たゞ一度に答《いら》へんも、待ちけるかともぞ、思ふ」とて、「今一聲呼ばれて答《いら》へん」と、念じて寐たる程に、「や、な起こし奉《たてまつり》りそ、幼き人は、寐入り給ひにけり」といふ聲のしければ、「あな、侘《わび》し」と思ひて、「今一度、起こせかし」と、思ひ寐に聞けば、犇々《ひし/\》と、たゞ食ひに、食ふ音の、しければ、術《すべ》なくて、無期《むご》の後に、「えい」と、答《いら》へたりければ、僧達笑ふこと限りなし。
「待ちけるかともぞ思ふ」は、「若《も》しや待ちけるかと思ふ」の意延《こころば》へなり。
「無期《むご》の後」は、「語りの絶えたる後」を言ふ。
【さっくり現代語訳】
僧達がぼた餅を作っている時に、稚児が寝たふりをした事
これも、今となっては昔のことですが、比叡山に稚児がいました。
ある時、僧たちが、夜勤の暇つぶしに、
「よし、ぼた餅でも作ろう!」
と言い出しました。
この稚児はワクワクしながら聞いていましたが、
「だけど、出来上がるのを待って寝ないのも、なんかダサいなあ」
と思い、部屋の片隅に寄って寝たふりをしながら、ぼた餅が出来上がるのを待つことにしました。
すると、ぼた餅はもう出来上がったようで、
ワイワイガヤガヤするのが聞こえてきました。
この稚児は、
「きっと起こしてくれるよね」
と思って待っていると、ある僧が、
「もしもし、目を覚ましてくださいませ」
と言うので、「ヤッタゼ!」と思いましたが、
「一回呼ばれただけで起きて返事をしたら、ぼた餅が出来上がるのを待って、寝たふりをしていたのが、僧達にバレるだろうな」
と思い、
「もう一回呼ばれてから返事をしよう」
と我慢して引き続き寝たふりをしました。
すると、別の僧が、
「いやいや、起こしになってはなりません。幼い方はぐっすり寝ておられる」
と言うのが聞こえました。
稚児は、
「うわあ、なんてこった! もう一度起こしてくだされ~!」
と思いながら寝たふりを続けて耳を澄ますと、「ムシャムシャ」と、ただひたすらぼた餅を食って食いまくる音がするのでした。
稚児はもうどうしようもなくて、呼ばれてからだいぶ時間が経っているにもかかわらず、「はい!」と答えたので、僧達はテラワロス。
【解説】
mashleyさんは、この単なる笑い話の、どのあたりに衝撃を受けられたのでしょうか?
おそらく、稚児と言う存在に衝撃を受けられたのかと?
「稚児(ちご)」は、寺院で修行をする剃髪前の少年のことです。
高貴な方の子息である場合も多かったようです。
といっても、単にお寺で修行する少年ではありません。
女人禁制である寺院では、僧侶の男色の相手となった存在なのです。
ほら、僧たちが稚児に対して敬語を使っていることから、ただの子供ではなくて特別な存在だと言うことが明らかですよね。
ただ、稚児は住職などの偉い人の相手をするのが優先でしょうから、普通の僧たちには中々回ってこなかったのかもしれません。
その嫉妬から悔しくて、稚児が寝たふりしてるのを分かっていて、僧たちはわざと二回目の声をかけないイジワルをしたのかもしれませんね。
次回の予習
次も稚児が出てくるお話を続けて取り上げます。
三つ目コーナー
わーい、今、NMK(日本三つ目協会)がすごい話題になってるね!
話題になってるのはNMKじゃなくてNGT!
◆インフォメーション
井原西鶴の大著、『男色大鑑』の一般向けの現代語訳が発売されました♪
北見花芽の中の人もちょっと書いてるので、興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから、お買い求めくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。
- 作者: 染谷智幸,畑中千晶,佐藤智子,杉本紀子,濵口順一,浜田泰彦,早川由美,松村美奈,あんどうれい,大竹直子,九州男児,こふで,紗久楽さわ
- 出版社/メーカー: 文学通信
- 発売日: 2018/12/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
『男色を描く』も合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。
◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w