うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

稚児のそら寝 ~『宇治拾遺物語』その1~

はい、今回から宇治拾遺物語を始めますよ♪

宇治拾遺物語の画像は明治二十年頃刊行された和文教科書』のものを使用します♪

和文教科書』華族女学校で使用されていたんですって!

なので、みなさんも華族のお嬢様になった気分で、宇治拾遺物語を読んで行きましょうね(笑)
www.jissen.ac.jp

なお、宇治拾遺物語教科書にも載っていて、試験でよく使われますが、学生の方はこのブログ参考になさらないでくださいね!

はあくまでも「さっくり現代語訳」で、読みやすさわかりやすさ重視して、厳密にはしていないので!!!

解説北見花芽独断と偏見にまみれてますから!(笑)

というわけで、最初に取り上げるのは「稚児のそら寝」から。

だって、mashley (id:mashley_slt) さんが、

f:id:KihiminHamame:20190114220706j:plainf:id:KihiminHamame:20190114220711j:plainf:id:KihiminHamame:20190114220717j:plain

って三回も熱くアピールされているので、取り上げないわけにいかないじゃないですか!(笑)

f:id:KihiminHamame:20190114220827j:plain
f:id:KihiminHamame:20190114220834j:plain
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
和文教科書. 7之巻 宇治拾遺物語ぬきほ - 国立国会図書館デジタルコレクション

翻刻

児の、かい餅するに、空寐したる事、

これも、今は、むかし、比叡の山に、ちご有りけり。僧
たち、夜居のつれ/゛\に、いざ、かいもちひせんと、い
ひけるを、このちご、心よせに聞きけり。さりとて、
し出ださんを待ちて、寝ざらんも、わろかりなん
と思ひて、かた/\によりて、寐たる由にて、出でく
るを待ちけるに、すでに、し出だしたる、さまにて、
ひしめきあひたり。此児、さだめて、驚かさんずら
んと待ち居たるに、僧の、物申しさぶらはん、驚か
せ給へと、いふを嬉しとは思へども、たゞ一度に
いらへんも、待ちけるかともぞ、思ふとて、いま一
聲呼ばれていらへんと、念じて寐たるほどに、や、
な起こし奉りそ、幼き人は、寐入り給ひにけり
といふ聲のしければ、あな、わびしと思ひて、いま
一度、おこせかしと、思ひ寐に聞けば、ひし/\と、
たゞ食いに、食ふ音の、しければ、すべなくて、むご
の後に、えいと、いらへたりければ、僧達笑ふこと
かぎりなし。

待ちけるかと◆もぞ思ふは、若◆
しや待ちける◆かと思ふの意◆ばへなり。

むごの後は、語◆の絶えたる後◆をいふ。

【現代語表記】

児(ちご)の、掻(か)い餅(もちい)するに、空寝(そらね)したる事、

これも、今は、昔、比叡の山に、児(ちご)有りけり。僧達、夜居(よい)[宵?]の徒然(つれづれ)に、「いざ、掻(か)い餅(もちい)せん」と言いけるを、此(こ)の児(ちご)、心寄せに聞きけり。「さりとて、し出(い)ださんを待ちて、寝ざらんも、悪ろかりなん」と思いて、片方(かたかた)に寄りて、寝たる由にて、出(い)で来るを待ちけるに、既(すで)に、し出(い)だしたる、様(さま)にて、犇(ひし)めき合いたり。此(こ)の児(ちご)、「定めて、驚かさんずらん」と待ち居たるに、僧の、「物申し候(さぶら)わん、驚かせ給え」と、言うを「嬉し」とは思えども、「ただ一度に答(いら)えんも、待ちけるかともぞ、思う」とて、「今一声呼ばれて答(いら)えん」と、念じて寝たる程に、「や、な起こし奉(たてまつり)りそ、幼き人は、寝入り給いにけり」という声のしければ、「あな、侘(わび)し」と思いて、「今一度、起こせかし」と、思い寝に聞けば、犇々(ひしひし)と、ただ食いに、食う音の、しければ、術(すべ)なくて、無期(むご)の後に、「えい」と、答(いら)えたりければ、僧達笑うこと限りなし。

「待ちけるかともぞ思う」は、「若(も)しや待ちけるかと思う」の意延(こころば)えなり。

「無期(むご)の後」は、「語りの絶えたる後」を言う。

【さっくり現代語訳】

僧達がぼた餅を作っている時に、稚児が寝たふりをした事

これも、となってはのことですが、比叡山稚児がいました。

ある時、たちが、夜勤暇つぶしに、
「よし、ぼた餅でも作ろう!」
と言い出しました。

この稚児はワクワクしながら聞いていましたが、
「だけど、出来上がるのを待って寝ないのも、なんかダサいなあ」
と思い、部屋の片隅に寄って寝たふりをしながら、ぼた餅が出来上がるのを待つことにしました。

すると、ぼた餅はもう出来上がったようで、
ワイワイガヤガヤするのが聞こえてきました。

この稚児は、
「きっと起こしてくれるよね」
と思って待っていると、ある僧が、
「もしもし、目を覚ましてくださいませ」
と言うので、「ヤッタゼ!」と思いましたが、
「一回呼ばれただけで起きて返事をしたら、ぼた餅が出来上がるのを待って、寝たふりをしていたのが、僧達バレるだろうな」

と思い、
「もう一回呼ばれてから返事をしよう」
と我慢して引き続き寝たふりをしました。

すると、別の僧が、
「いやいや、起こしになってはなりません。幼い方はぐっすり寝ておられる」
と言うのが聞こえました。

稚児は、
「うわあ、なんてこった! もう一度起こしてくだされ~!」
と思いながら寝たふりを続けて耳を澄ますと、「ムシャムシャ」と、ただひたすらぼた餅食って食いまくる音がするのでした。

稚児はもうどうしようもなくて、呼ばれてからだいぶ時間が経っているにもかかわらず、「はい!」と答えたので、僧達テラワロス

【解説】

mashleyさんは、この単なる笑い話の、どのあたりに衝撃を受けられたのでしょうか?
おそらく、稚児と言う存在衝撃を受けられたのかと?

「稚児(ちご)」は、寺院修行をする剃髪前の少年のことです。

高貴な方の子息である場合も多かったようです。

といっても、単にお寺で修行する少年ではありません。

女人禁制である寺院では、僧侶男色の相手となった存在なのです。

ほら、僧たち稚児に対して敬語を使っていることから、ただの子供ではなくて特別な存在だと言うことが明らかですよね。

ただ、稚児住職などの偉い人の相手をするのが優先でしょうから、普通の僧たちには中々回ってこなかったのかもしれません。

その嫉妬から悔しくて、稚児寝たふりしてるのを分かっていて、僧たちわざ二回目の声をかけないイジワルをしたのかもしれませんね。

次回の予習

次も稚児が出てくるお話を続けて取り上げます。

f:id:KihiminHamame:20190114221131j:plainf:id:KihiminHamame:20190114221135j:plain

三つ目コーナー

わーい、今、NMK(日本三つ目協会)がすごい話題になってるね!

話題になってるのはNMKじゃなくてNGT

 

◆インフォメーション

井原西鶴の大著、『男色大鑑』一般向け現代語訳が発売されました♪

北見花芽の中の人
もちょっと書いてるので興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから、お買い求めくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。

全訳 男色大鑑〈武士編〉

全訳 男色大鑑〈武士編〉

 

『男色を描く』合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。 

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

 

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain 

いただいた商品のレビューはこちら♪   

 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

 

はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)

web拍手 by FC2

 ◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w