随分、更新が滞りました!
私は元気です!
ただ、コタツが私を拘束して放してくれなかっただけです!w
玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。
【原文】
斯《か》く語らふ所に彼《か》の者来たりけれバ、此《こ》の由《よし》と語れバ、「其《そ》の様《よふ》をこそ申さめ」とて立ち帰り、御乳母《おんめのと》に伺《うかゞえ》へバ、「然《さ》らバ、只《たゞ》軈《やが》て参らせよ」との給ふ[宣ふ]。
悦《よろこ》びて引き繕《つくろ》ひ参りぬ。見様《みざま》、容《かたち》、美しかりけれバ、姫君も喜バせ給ひて、名をバ玉水《たまみづ》の前《まへ》と付け給ふ。
何かに付けても優《ゆふ》に優しき風情《ふぜい》して、姫君の御遊び、御側に朝夕馴れ仕《つかふまつ》り、御手水《おてうづ》参らせ、供御《くご》参らせ、月冴《さ》へと同じく御衣《おんきぬ》の下に臥《ふ》し、立ち去ること無く侍《さぶら》ひける。
御庭に犬 等《など》参りけれバ、此の人、顔の色違《たが》ひ、身の毛の一つ立ちになる様《やう》にて、物も食い得ず、怪《け》しからぬ風情なれバ、御心苦しく思《おぼ》されて、御所中に犬を置かせ給ハず。
「餘り怪しからぬ物怖《ものお》じかな。此の人の御覚への程の御羨《おうらや》ましさよ」等《など》、傍《かたハ》らにハ嫉《そね》む人も有るべし。
斯《か》くて過ぎ行く程に、五月半ばの頃、殊更《ことさら》月も隈《くま》無き夜、姫君、御簾《みす》の際《きハ》近く躄《いざ》らせて給ひて、打ち眺め給ひけるに、郭公《ほとゝぎす》訪れて過ぎけれバ、
「郭公《ほとゝぎす》雲井《くもゐ》の余所《よそ》に音《ね》をぞ鳴く」と仰せけれバ、玉水、取り敢へずビール、
「深き思ひの類《たぐひ》成るらん」
軈《やが》て「我が
【予習の答え】
見さまかたちうつくしかりけれハ姫君
もよろこハせ給ひて名をハ玉みつのまへと付給ふ
【そこはかとなく現代語訳】
こんな話をしている所に、ちょうど女主人の妹がやってきたので、「かくかくしかじか」と話すと、女主人の妹は、「では、娘様がご奉公を希望されることを、お屋敷の方にお伝えしましょう」と、お屋敷に戻っていきました。
女主人の妹が、姫君の乳母様にお伺《うかが》いを立てると、
「だったらすぐに、その娘をお屋敷に参上させなされ」
とおっしゃったので、それを伝え聞いたキツネ娘は喜んで、おめかしをして高柳様のお屋敷に参上しました。
キツネ娘の容姿は美しかったので、姫君もお喜びになって、キツネ娘に玉水の前という名前をお付けになりました。
玉水は何をしても、品があってマブい感じだったので、どんな時でも朝から晩まで姫君のお側に親しくお仕えし、お顔を洗われるお水のご用意や、お食事のお世話もし、乳母様の娘の月冴《さ》えと一緒に姫君のお側で眠り、ずっと離れずお仕えしたのでした。
ただ、お屋敷のお庭に犬がやってくると、玉水の顔からは血の気が引き、身の毛がよだって((;゜Д゜)ガクガクブルブル、食事もできなくなり、何ともヘンテコリンな様子になります。
姫君は可哀想にお思いになり、お屋敷に犬を入れないようにしました。
「こんなに犬を怖がるのはおかしなことですなあ。
それにしても、この方がここまで姫君のお気に入りとなっているのは、ウラマヤシイ限りです」
などと、嫉妬する人もいることでしょう。
そんなこんなで日々は過ぎ、五月の半ばの頃、月がとても光り輝いている夜、姫君は御簾(みす)の近くまで座って移動なさり、ぼんやり物思いにふけっておられると、ホトトギスが通り過ぎるのが見えたので、
「ホトトギスが雲の彼方《かなた》から声を上げて鳴いていますね」
と歌をお詠みになりました。
玉水はすかさず、
「その鳴き声にはホトトギスの深い思いが込められているのでしょう」
と詠んで、すぐに「私の
【解説】
はい、キツネさんは、何ともあっさり、姫君にお仕えすることができました(笑)
姫君がキツネ娘に付けた名前が、タイトルにもなった「玉水」というわけです。
「玉水」は、「宝玉のように美しく清らかな水」のことです。
キツネ狩の時に犬は大活躍ですから、玉水が怖がるのは当然の事ですね。
高貴な姫君は人前に姿を見せてはならないので、お屋敷の中では御簾(スダレのゴージャスなヤツね)の内で過ごします。
〈参考〉
女用訓蒙図彙 5巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション
それにしても、愛する姫君と寝室まで一緒に過ごして、よく我慢できるものですね。
この話はストイックなプラトニックラブのお話でしょうか?(笑)
次回の予習
玉水の思いが込められた歌です。
三つ目コーナー
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