玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。
【翻刻】
かゝる所に母のものゝけおこりけれハいつしよにあつまりて
なけくに又すこしおこたりたるさまにてねたれハ皆う
ちゆるミ夜更人しつまりて此むすめ斗おきていたる
に毛一すしもなくはけたるふるきつねひとつ立
よりて見ゆよく/\見れハ我父かたの伯父なり是
をゝひのけたれハひやうしやハまとろミけりたかひに
こハふしき成こと哉いかにといふ我きつね我いさゝかの
便りによりて此ひやうしやをおやとたのむ事有しかる
へくハ立のきて此くるしミをやめ給へといへハゆめ/\
かなふましき其ゆへハかの病者のちゝ我たのミたる子を
※赤字が前回の予習の答え。
【現代語表記】
かかる所に、母の物の怪起こりければ、一所に集まりて嘆くに、又少し怠りたる様にて寝たれば、皆打ち緩み、夜更け人静まりて、此の娘計(ばか)り起きていたるに、毛一筋も無く、禿げたる古狐一つ立ち寄りて見ゆ。
よくよく見れば、我が父方の伯父なり。
是を追い退(の)けたれば、病者は微睡(まどろ)みけり。
互いに「こは不思議成る事哉(かな)。如何(いか)に」と言う。
我[「若」の誤りか]狐、
「我、聊(いささ)かの便りによりて、此の病者を親と頼む事有り。
然(しか)るべくは、立ち退きて此の苦しみを止め給え」
と言えば、
「努々(ゆめゆめ)叶うまじき。
其の故(ゆえ)は、かの病者の父、我が頼みたる子を
【さっくり現代語訳】
そんな時、養母はまたモノノケに憑(つ)かれたような発作を起こしました。
養母の家族は集まって嘆きましたが、また少し発作が収まったようで、養母はうつらうつらと眠りにつきました。
家族は皆、フニャーと気が緩んで、夜が更けると寝静まってしまいました。
玉水ただ一人だけが眠れずに起きていた所、毛が一本もないゲーハー年寄りキツネがいるのが見えました。
よく見ると年寄りキツネは玉水の父方の伯父でした。
玉水が伯父を養母の側から遠ざけると、辛そうに寝ていた養母は、心地よくグースカピーとぐっすり眠り始めました。
玉水と伯父はお互いに顔を見合わせ、
「あら、不思議! なんであなたがここにいらっしゃるの???」
と驚きました。
玉水は、
「私はちょっとした事情があって、この病人[養母のこと]を親として頼っています。
お願いですから、この病人の所から去って、これ以上苦しめるのをやめてくだされ」
と頼みました。
伯父は、
「その頼みは全く聞き入れられぬ。
なぜなら、この病人の父は、ワシが大切にしていた子を
【解説】
挿絵は、姫君・月冴え・玉水の三人でしょうか?
それにしても、養母を病気にしていたのは、玉水の伯父のキツネのしわざだったとは!
伯父は養母に憑りつくのをやめる気がないようですが、玉水がなんとか説得ができれば養母が助かる可能性がワンチャンあるのでしょうか???
次回の予習
玉水の説得が始まります。
同じ「き」でも「起」と「幾」のくずしの2パターン使われているので、ややこしいですよね。
三つ目コーナー
なぜだか伯父キツネに親近感がわくんだよなあ。
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