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迫る参内、去る玉水? ~『玉水物語』その20~


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玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。

【原文】

御所へぞ帰りける。
 既《すで》に霜月に成りぬれば、御内参りの御儀式、目も驚く斗《ばか》り也。
 女房達、童《ワらハ》、三十人、中にも此の玉水をバ中将《ちゅうじょう》の君に為《な》し給へて、一の女房に定めらる。
 されども、是を勇ましくも覚へず、常ハ打ち萎《しほ》れたるを、
「如何に?」と怪しミ給へバ、
「何となく風の心地」など云ひ紛らハし、
「如何様《いかやう》にも物 思《おぼ》すらん。
 斯許《かバか》り隔て無く思ふを、などか心に込めて言ひ出で給ハざるらん。
 語りても慰み給へかし」
 との給[宣]へば、打ち泣きて、
「終《つゐ》にハ知ろし召さるべき事なれども、今ハ語り奉らじ。
 亡からん跡にも哀れとは覚し召し出させよ」
 など申せバ、心苦しう思す。
 御内参りも近づくまゝに、玉水つく/゛\と思う様《やう》、
「我、畜類と言ひながら、近づき参りて、契り奉らん事ハ労《いたハ》しさに、たゞ斯《か》くながら見奉り、添い奉るに、心を慰めつる事の儚《はかな》さよ。
 姫君の御耳へハ聞かせ参らせバやと思へども、今迄知らせ奉らで、思いの外《ほか》に恐ろしとや思されんとても、御内参りあらバ、其の時こそ、紛れ失せめ。
 我化けたりし姿を今迄見付けられ

予習の答え】

すてに霜月に成ぬれハ御内参りの御ぎしきめも
おとろく斗也

【さっくり現代語訳】

(玉水は養母の家から)高柳様のお屋敷に帰ったのでした。
 もう十一月になったので、目が飛び出るほど豪勢な参内の儀式が行われました。
 お付きの女房子供たち三十人
 中でもこの玉水中将《ちゅうじょう》の君という名誉ある名称を与えられ、筆頭女房に任ぜられました。
 しかし、玉水はこれに奮起する様子もなく、ずっとションボリとしているのでした。
 姫君がこの様子を見て「どうされたのですか?」と不思議にお思いになるのを、玉水は「何となく風邪をひいたようでして」などとごまかすのでした。
 姫君は、
「一体、何をお悩みになっているのですか?
 はこんなにあなたフレンドリーに思っているのですから、悩み事は包み隠さずおっしゃって、スッキリなさってくださいませ」
 とおっしゃいました。玉水は涙を流し、
「いつかはお知らせしなければならない事があるのですが、それは死んだ後にでも聞いて、カワイソウニ、とでもお思いになってくだされば」
 などと申し上げるので、姫君はとても心配にお思いになったのでした。
 参内の日が近づくにつれて、玉水はよくよく考えました。
ケダモノにも関わらず、姫君一目惚《ぼ》れしてしまい、女房に化けてお近づき申し上げてしまった。

 さすがに姫君をたぶらかしてチョメチョメするのは申し訳なさすぎるので、姫君のお側でただこうしてプラトニックに見守り申し上げることで、自分の欲求を満たしていたのだが、なんとも虚《むな》しいことではないか。
 姫君私の正体白状せねばと思ってはいるのだが、これまでずっと騙さていたことを知ったら、姫君はとてつもなく恐怖にお思いになるだろう。
 この参内の時こそ、どさくさに紛れて、姫君の前から去るチャンスだ!
 それにしても、女房に化けていた事が、これまでバレなかったのが

【解説】

 さて、養母病気も無事解決、姫君参内が目前に迫ってきたようですが、玉水はこれを機に姫君の元から去ろう決心したようです。
 みなさんならどうなさいますか?
 玉水のように姫君の元から去りますか?
 去らずにこのままプラトニックラブを貫きますか?
 それとも我慢できずにチョメっちゃいますか?

次回の予習

玉水姫君に何やらを渡すようです。
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三つ目コーナー

まさか、三つ目も私の元から去る決心を?

わーい、やったー!

 

 

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