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観光ガイド・雑司が谷鬼子母神堂 ~『桃太郎一代記』その4~

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【要約】

 爺さん婆さんは、はるばる雑司が谷鬼子母神までお参りに行きました。
 鬼子母神には茶屋飴屋もあり、参詣者で賑わっています。
 爺さん「しっかりお祈りするのですぞ」
 婆さん「素晴らしい絵馬が掛かっていますな」
 爺さん「おそらくこの本挿絵を描いている北尾政美あたりが描いたんじゃろ」

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北尾政美(きたおまさよし)画『桃太郎一代記』天明元[一七八一]年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
※画像は拡大できます。

翻刻【補足表記】【現代語訳】

きつい御さんけいしや◆かほうしや/\
「きついご参詣じや、果報じや/\」
乞食坊主「こちらにご参詣できるのは、とても素晴らしいことじゃ。幸せ者じゃ、幸せ者じゃ」

ばゝすいふん御だい◆もくをとなへやれ◆たちはなやて一はい◆のミかけやまと◆てましやう
婆、随分御題目を唱へやれ。橘屋で一杯飲み掛け山[一杯の御影山?][山掛け蕎麦のことか?]と出ましやう」
婆さん、しっかりお題目を唱えるのですぞ。それから橘屋で一杯の掛け蕎麦でも食べましょう[一杯飲んで行きましょう?]

よいゑまが◆あかりました◆だかゑてこ◆さりましやう
「良い絵馬が上がりました。誰が絵で御座りましやう」
婆「良い絵馬が掛かっていますな。を描いたのでしょうな?」

しゆんしやうか◆きたをか◆かいたの◆てあろう
「春常《しゅんじやう》か北尾が描いたのであろう」
町人A勝川春常《かつかわしゅんじょう》[本作と同年に同じ村田屋から出版された『振袖江戸紫』の挿絵を描いている]北尾政美《きたおまさよし》が描いたのでしょう」

かハ口川やのあめを◆おミやにかいま◆しやう
「川口川屋[「川口屋」の誤りか]の飴をおミやに買いましやう」
町人親子川口屋お土産に買っていきましょう」

ほりのうち様へ◆ミちハとれほと◆あるかすくに◆まいりまセう
「堀之内様へ道ハどれ程あるか。すぐに参りまセう」
町人B堀之内様まではどれくらいの距離があるんですかね? 日が暮れる前に急いでお参りに行きましょう」

【解説】

 はい、要はこのページは観光案内ですね(笑)
 ちゃっかり絵師の宣伝までしていますヾ(๑╹◡╹)ノ"

 セリフが書いてある位置から、絵馬質問答えているのは町人Aとしましたが、普通に考えるとこれは爺のセリフでしょうね。

 二人お参りしている鬼子母神は、雑司が谷[東京都豊島区]鬼子母神で、日蓮宗法明寺飛び地境内です。
 鬼子母神子授け・安産・子育て神様です。
 日蓮宗のお寺にあるので、お題目[南無妙法蓮華経を唱えるわけですね。

 橘屋鬼子母神門前茶屋[料理屋]で、蕎麦がおいしかったそうで、鬼平犯科帳にも登場します。

 川口屋鬼子母神境内にあった飴屋で、現在「上川口屋」という店名で駄菓子屋として営業を続けています。

『江戸名所図会』を見てみますと、

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江戸名所図会 7巻. [12] - 国立国会図書館デジタルコレクション

 橘屋の詳しい場所は不明ですが、門前茶屋[料理屋]があったことはわかります。
 川口屋「あめや」と書かれた場所にあったようです。
 ちなみに説明文には
「門前両側《もんせんりやうかハ》に酒肉店《りやうりや》多し。飴《あめ》をもて此地《このち》の産《さん》とし、川口屋《かハくちや》と称《しやう》するものを本元とす。其《その》家号《かかう》を称《とな》ふるもの、今多し」
 と書かれています。

 堀之内様は、同じ日蓮宗妙法寺[東京都杉並区]のことです。
 町人日蓮宗寺院ハシゴをしようとしているわけです。
 ちなみに、鬼子母神から堀之内様へは徒歩一時間半くらいです。
 当時の人なら余裕の距離でしょうね。

三つ目コーナー

三重県桑名市多度大社には一つ目の神様が祭られている一目連神社があるから、ぜひお参りにいってね!

なんのなんの、横浜市金沢区瀬戸神社では、三つ目神楽が行われるんだよヾ(๑╹◡╹)ノ"

それは、のような三つ目のことじゃなくて、瀬戸神社の夏祭り[天王祭]三日目に行われる神楽だから三つ目神楽って言うんだよ。。。

 

 

 

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