桃太郎は力持ち　～『桃太郎一代記』その６～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

【要約】

西王母の桃を食べて若返った爺と婆から生まれた子どもは、桃太郎と名付けられました。
桃太郎は蛇を素手で平気で捕まえ、米俵を軽々と持ち上げる力持ちに育ちました。
友達「桃太郎さん、蛇なんか捕まえるのはおよしよ」
桃太郎「だって、セミを取る時にジャマじゃん。さてと、この蛇はどう料理してやろうか」
近所のオッサン「これだけ力持ちの子どもは、金太郎か桃太郎ぐらいしかいねえなあ」
桃太郎「米俵って軽いんだね。もう一俵持って、拍子木みたいに打ってみせるよ

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北尾政美（きたおまさよし）画『桃太郎一代記』天明元［一七八一］年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
※画像は拡大できます。

【翻刻】【補足表記】【現代語訳】

ふくへもん一子◆をもゝのゑんをとりもゝ◆太良と名をつけたん／＼◆セいしんしてちからもつよ◆くなかむしなとをとらへ◆ともたちにミせるこれ／＼◆おもしろいやつかでたやろうか
福衛門一子を桃の縁を取り、桃太郎と名を付け、段／＼成人して力も強く、長虫《ながむし》などを捕らへ、友達に見せる。
「これ／＼、面白い奴が出た。遣ろうか」
正直福衛門［爺］は、生まれた男の子を、西王母の桃の縁にあやかって、桃太郎と名付けました。
桃太郎はすくすくと育ち、力も強くなり、蛇などを捕まえては友達の子どもに見せたりしました。
桃太郎「ほれほれ、面白いヤツが出てきたよ。君にあげようか♪」

ともたちの子ともあつ◆まりあそぶ
友達の子供集まり遊ぶ。
桃太郎と友達の子どもが集まって遊びます。

もゝ太良さんよしなへ◆おらハ◆きらいた
「桃太良さん止《よ》しなへ。おらハ嫌いだ」
友達「桃太郎さん、やめなよ。オラは蛇は嫌いだ」

セみをとる◆じやまになる◆こいつとう◆して◆やろうか
「蝉を取る邪魔になる。こいつどうしてやろうか」
桃太郎「蛇がいたらセミを取る時のジャマになる。この蛇はどうしてやろうか。食べようか？」

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【翻刻】【補足表記】【現代語訳】

これハきつ◆いものじや◆きん太良か◆もゝ太良◆かといふ◆ものじや◆もちつ◆ととしを◆とつたら◆セきとりと◆いふものさ
「これハきつい者じゃ。金太良か桃太良かと言ふ者じや。もちつと歳を取つたら関取と言ふ者さ」
近所のオッサンＡ「これはすごい力じゃ。力持ちの子どもと言えば、金太郎か桃太郎かってなもんだ。もうちっと歳を取ったら、関取［お相撲さん・力士］になれるな」

されハ子ともに◆このやう◆なというハめつらしい
「されバ、子供にこの様《やう》なと言うハ珍しい」
近所のオッサンＢ「うんうん、これだけ力持ちの子どもは珍しい」

おぢさま四斗◆びやうもそ◆のやう◆におもい◆ものでハない◆もう一ひやう◆よこしなひや◆うしぎにして◆ミよう
「小父《おぢ》様、四斗俵《しとびやう》［米俵の規格の一つ］もその様《やう》に重い物でハ無い。もう一俵寄越しな。拍子木にしてミよう」
桃太郎「おっちゃん、米俵一俵と言っても、そんなに重いもんじゃないんだねえ。もう一俵ちょうだい。両手に米俵を持って、拍子木にみたいに打ってみせるから♪」

【解説】

　この頃の子どもたちもセミ取りをしていたんですねえ。
　右端のマルコメ君がしっかり虫取り網を持っています。
　そして、金太郎と桃太郎は、この頃からセットだったんですねえ。

　桃太郎と言うかわいらしい名前をつけられたわりには、蛇を素手で捕まえ、とんでもない力持ちの、お世辞にもかわいらしいとは言えない子どもに育っていったようです。
　友達の子どもが「桃太郎さん」と「さん」付けで呼んでいるのも、やはり桃太郎が恐ろしいからでしょうか？

三つ目コーナー

人から生まれた桃太郎　～『桃太郎一代記』その５～ - うきよのおはなし～江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ～

草団子屋でくつろぐ明治男子、良い笑顔ですね。
2019/10/17 16:44

b.hatena.ne.jp

前回の明治時代の鬼子母神堂の草団子屋の写真をもう少し拡大してみましょう。

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東京風景 - 国立国会図書館デジタルコレクション

おばちゃんとおばあちゃんでした！ヾ(๑╹◡╹)ﾉ"

このコーナーいよいよネタ切れで、ブクマコメント返しのコーナーにシフトしようとしてない？

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