【要約】
桃太郎が山道を進んでいくとサルが現れ、お供にすることにしました。
サル「とんだお調子者ですが、山は庭みたいなもんなんで、どうぞよろしく」
桃太郎一行は鬼ヶ島へ渡り、鬼の本拠地の鬼ヶ城を見渡せる場所まで来ました。
桃太郎「一休みしたら、一気にぶっ潰しにかかるぞ!」
サル「こんな所は木登りより簡単ですわ」
キジ「羽はあるけど、高くは飛べないんで不安なんですが」
イヌ「鬼ヶ城までの道案内は私がしましょう。ついでにおしっこかけてマーキングもしておきましょう」
北尾政美(きたおまさよし)画『桃太郎一代記』天明元[一七八一]年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【翻刻】【補足表記】【現代語訳】
もゝ太良◆だん/\◆とやま◆ミちへ◆かゝり◆けれハ◆大きなるさるいでともをセんといふ
桃太良、段/\と山道へ掛ゝりけれバ、大きなる猿出で「供をセん」と言ふ。
桃太郎がだんだん山道へ入ると、大きな猿が出て来て「お供になりましょう」と言いました。
もし/\おまへ◆のこしのハ◆大かた日本一◆のきミだんご◆で御さりまセう◆一ッおくれおとも◆申やんしやう
なかて大きそう◆なを下さりまセ
「もし/\、御前の腰のハ大方日本一の黍《きミ》団子で御座りまセう。一ッおくれ、お供申しやんしやう」
「中で大きそうなを下さりまセ」
サル「もしもし、あなた様がお腰に付けているのは、おそらく日本一のきび団子でございましょう。一つ下され。お供いたしましょう。
あ、中でも大きそうなきび団子を下さいませ」
これさる◆あまり◆しやれるな◆一ッやるから◆よくとも◆をしろ
「これ猿、あまり洒落《しやれ》るな。一ッやるから良く供をしろ」
桃太郎「これサルよ、あんまりふざけたことを言うな。まあ、きび団子をひとつやるから、しっかりお供をしろよ」
われハやまが◆にワとんだ◆しやれものだ◆わたくしか◆むすめハ江戸へ◆げいしやにでゝ◆おりますたわら◆ころびかじよう◆すさ
「我ハ山が庭、とんだ洒落者だ。私《わたくし》が娘ハ江戸へ芸者に出ゝおります。俵転《たわらころび》[転げたり起きたりすること。ここでは猿回しの芸のことか。売春を意味する「転び」と掛かっているか]が上手さ」
サル「私はとってもふざけた野郎でございますが、山が庭みたいなものです。私の娘は江戸で芸者をしておりまして、飛んだり跳ねたりする芸が上手でございます」
【解説】
サルはお調子者で、余計な事ばかり言ってますねヾ(๑╹◡╹)ノ"
サルも「お前」と桃太郎に敬語を使っています。
与田監督、来年は応援歌の事より、チームの勝利のために気を使ってくださいねヾ(๑╹◡╹)ノ"
これでイヌ・キジ・サルのお馴染みのお供がそろいました。
ただ、相変わらず桃太郎が偉そうなのが、どうも感じ悪いですねヾ(๑╹◡╹)ノ"
【翻刻】【補足表記】【現代語訳】
もゝ太良◆おにかしまへ◆わたりおに◆がじやうを◆ミわたせハ◆いわをがゝ◆たりまこ◆とにせんでう◆がミねとも◆いゝつへし◆もはやいわやへも◆ほとちかく見ゆ◆るミな/\一いき◆ついでふミつふ◆さん
桃太良、鬼ヶ島へ渡り、鬼ヶ城を見渡せバ、岩を峨峨《がゝ》たり、誠に仙丈ヶ嶺《せんでうがミね》[?]とも言ゝつべし。
「もはや岩屋へも程近く見ゆる。皆/\、一息付いで踏ミ潰さん」
桃太郎は鬼ヶ島に渡って、鬼ヶ城を見渡すと、岩が険しくそびえ立ち、仙人でも住んでいそうな場所[?]です。
桃太郎「さあ、鬼ヶ城はもうすぐ近くに見える。皆の者、一休みしてから、踏み込んでぶっ潰そう!」
おにがじやうのもん◆はんはるかにもゝ太良◆をミつけふしきに◆おもふとをめ◆かねをかり◆てきてよ◆くミとゝ◆けよう
鬼ヶ城の門番、遥かに桃太良を見付け、不思議に思ふ。
「遠眼鏡を借りて来て、良く見届けよう」
鬼ヶ城の門番は、遠くに桃太郎の姿を見付け、不思議に思いました。
門番「望遠鏡を借りてしっかり見てみよう」
此くらいの所ハきのほりよりこゝろ◆やすい
「此の位の所ハ木登りより心易い」
サル「これくらいの所は、木登りするより簡単だ」
おれハ◆はねハあれとも◆たかあかりかこゝろ◆もとない
「俺ハ羽は有れども、高上りが心許無い」
キジ「オレは羽があるけれど、高く上がることが苦手でな」
ミちの◆御あんない◆ハわたくし◆いたしまセう
ところ/\◆小へんを◆しかけ◆ておきま◆しやう
「道の御案内ハ私《わたくし》致しまセう」
「所/\に小便を仕掛けて置きましやう」
イヌ「鬼ヶ城までの道案内は私がいたしましょう。
行く途中途中で、おしっこをかけてマーキングもしておきましょう」
【解説】
いつの間にか、桃太郎一行は鬼ヶ島には着いて、鬼の本拠地の鬼ヶ城に攻め入ろうとしています。
お供の三匹、しっかり衣装チェンジしてますねヾ(๑╹◡╹)ノ"
はい、桃太郎の不安は的中で、早速キジは役に立ちませんヾ(๑╹◡╹)ノ"
三つ目コーナー
僕も鬼退治に行きたいなヾ(๑╹◡╹)ノ"
いや、どちらかと言えば、君は退治される方だろ。
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