【要約】
桃太郎たちは鬼ヶ島を征圧して、お宝を全て奪いました。
桃太郎「隠れ笠に、隠れ蓑に、宝珠の玉に、綾の巻物か。もっとほかにはないのか?」
サル「まだ虎の皮を持ってそうだな。なにしろフンドシにまでしてるからな」
鬼「虎の皮は遊ぶ金欲しさに質屋に入れてしまいました。今では油紙に虎柄をプリントしてるのでございます」
北尾政美(きたおまさよし)画『桃太郎一代記』天明元[一七八一]年刊
桃太郎一代記 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【翻刻】【補足表記】【現代語訳】
もゝ太良◆おにかしまを◆たいしたから◆ものをのこらす◆とる◆かくれかさかくれミの◆ほうしゆのたまあや◆のまきものもはや◆ほかにハないか
桃太良、鬼ヶ島を退治、宝物を残らず取る。
「隠れ笠、隠れ蓑、宝珠の玉、綾の巻物、最早《もはや》他にハないか」
桃太郎は、鬼ヶ島を征圧し、宝物を残らず奪いました。
桃太郎「隠れ笠、隠れ蓑、宝珠の玉[願いが叶えられる玉らしい]、絹織物、もうほかにはないのか?」
とらのかハか◆ありそふな◆ものたミな◆ふんとしに◆まてして◆ゐるたく◆さんあらハ◆だセ
「虎の皮が有りそうな物だ。皆、褌《ふんどし》にまでしている。沢山《たくさん》有らば出セ」
サル「まだ虎の皮がありそうだな。なにしろみんなフンドシにまでしているくらいだからな。いっぱいあるならさっさと出せ!」
しかしとらのかハ◆ハおれハすかない
「しかし、虎の皮ハ俺は好かない」
イヌ「しかし、まあ、俺は虎の皮は好きじゃないんだがなあ[虎の皮には犬除けの効果があったか?「内は犬の皮、外は虎の皮」という慣用句をふまえているのか?]」
とらのかハゝまへから◆ふんとしにいたします◆ハいぬさまにねら◆つてくいつかれぬよう◆じんばかりて外に◆よふハないことまつたくおごりてハ御さりませぬ
此しま◆にもあ◆そひ所か◆てきまして◆とらのかハゝ◆大かたしち◆につかハし◆われ/\ハ◆あぶらかミ◆にとらふの◆もやうを◆つけます
「虎の皮ゝ前から褌に致しますハ、犬様に狙つて食いつかれぬ用心ばかりで、外《ほか》に用ハ無い事。全く驕《おご》りでハ御座りませぬ」
「此の島にも遊び所が出来まして、虎の皮ゝ大方質に遣ハし、我/\は油紙に虎斑《とらふ》の模様を付けます」
鬼A「虎の皮を以前からフンドシにしているのは、犬様に股間を狙って食いつかれないようにするためで、それ以外の意味はございません。決して威張っているからではございません。
この島にも最近、遊郭ができまして、遊ぶ金を工面するため、虎の皮はほとんど質屋に入れてしまいました。我々は今では油紙に虎のシマシマ模様をプリントしているのです」
わたくしとものふんとし◆にきハまつたようて◆あけにくい
「私共《わたくしども》の褌に極まつた様《よう》で上げ難い」
鬼B「虎の皮は私たちのフンドシのイメージがついてしまっているので、なんだか差し上げるのがためらわれます」
きんねんハ◆ふつていて◆御さります
「近年ハ払底《ふってい》して御座ります」
鬼C「近頃は虎の皮もすっかり無くなってしまいました」
【解説】
前々回は桃太郎の姿がなく、前回はイヌの姿がなく、今回はキジの姿がありません。
ははあん、なるほど、たぶん絵師さん、全員の姿を描くのが面倒だったんでしょうねヾ(๑╹◡╹)ノ"
今回は大半が虎の皮のフンドシの話が占めていますが、鬼門という方角は北東にあたり、十二支にあてはめると、丑(うし)と寅(とら)の間にあります。なので、鬼は牛の角を持ち、虎のフンドシをしているというわけです。
ちなみに、戌(いぬ)・酉(とり)・申(さる)はちゃんと並んで、鬼門に対峙(たいじ)しています。
あ、諸説ありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
三つ目コーナー
僕のフンドシも虎柄にしてみたよヾ(๑╹◡╹)ノ"
またこの画像の使いまわしかよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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