新年一発目は、ネタがない時にちょこちょこ取り上げてた『変化物春遊(ばけものはるあそび)』、まだ取り上げていないページも残り少なくなったので、この際、全て消化してしまおうかなと。
そもそも『変化物春遊』はおそらく新春用に書かれた作品だと思われるので、ちょうどいいかなと。
この『変化物春遊』、前回取り上げたのが去年の九月なんですが、その時、なにげなしに『変化物春遊』ってググってみたら、偶然、私のブログのパクリ動画チャンネルを見付けてしまったというね(苦笑)
嫌な思いがあるので、もう、さっさと残りページも紹介して、終わらせてしまいたかったりもします(苦笑)
寛政五[1793]年刊、桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
変化物春遊 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
※画像はクリックすると拡大します。
【原文】
大和国《やまとのくに》ゝて毎年荘[庄]に一人づゝ失のふ事有り。
所に文治兵衛《ぶんじびやうへ》[?]と言へる者有りて、元武士の業《わざ》なんしたる者なれバ、その事聞ゝて、
「不思議なる事かな。
正《ただ》[糺][糾]して見たき事」
ゝ普段[不断]心に観念して居たり。
その年の秋の事、文治兵衛が倅《せがれ》、夕暮れに「きやつ」と言ふ声のしたるが、そのまゝ何処《いづく》へか攫《さら》[掠]い遣《や》れけん、見へず。
文治兵衛大きに仰天《ぎやうてん》して、所々《しよ/\》へ人走らせ見せけれども、更に見へざれければ、
「実《げ》に変化の為《な》す業《わざ》なり。この度《たび》こそ、正《たゞ》[糺][糾]し見ん」
と毎夜城下を夜《よ》に入りて付け見るに、ある夜城内より紫の光物《ひかりもの》出でける。
その光物落ちたる方へ付け行きけれバ、城下のある山家《やまが》の古井戸へ入りにける。
文治兵衛、化け物の棲《す》み家《か》を見定めければ、早々《そふ/\》帰り、村の名主へ言ゝ入れ、多くの人を引き連れ、かの古井の元に至り、まづ文治兵衛、松明《たいまつ》灯して窺《うかゞ》ふ、洞《ほら》のごとくにして水も無く、たゞ暖《あた》かなる風吹きけり。
文治兵衛、その穴へ粗朶《そだ》[麁朶]を積ミて火を掛けて燻《いぶ》しけれバ、井の内にてさも苦しげに唸《うな》る声、真《まこと》に山も崩るゝばかりなり。
次第に声も細くなりて止ミけり。
故《ゆへ》、「さらバ」とて井戸を掘り返させけるに、その底も見へず、段々《だん/\》掘りてミれば、夥《おびたゞ》しく血流れて有り。
「是は化け物ゝ死ゝたる証拠」
と尚《なを》その地の筋を掘り探せば、年古き蟇蛙《ひきがへる》、大木の根を倒したる様《やう》に真っ黒になりて、倒れ居たり。
【現代語訳】
大和国《やまとのくに》[現在の奈良県]のある村で、毎年一人ずつ人がいなくなるという事件がありました。
この村には文治兵衛《ぶんじびょうえ》という、元々は武士だった者が住んでいました。
文治兵衛は、この事を聞き、
「不思議な事があるものだ。なんとかして真相を究明したいものだ」
とずっと思い続けていました。
その年の秋の事でした、文治兵衛の息子が、「きゃっ」という声を出したっきり、誰かに誘拐されでもしたのか、そのまま行方不明になってしまいました。
文治兵衛はビックリ仰天して、あちこちに人を遣わして探しましたが、行方は全くわかりませんでした。
文治兵衛は、
「これはまさしく化け物の仕業に違いない。今度こそ、真相を究明してみせよう!」
と毎晩、城下で手がかりを探し歩きました。
ある時、文治兵衛は、城内から紫の火の玉が出てくるのを見ました。
その火の玉を追って行くと、城下のある山里の家の古井戸に入っていきました。
文治兵衛は、化け物の棲み家はここだと見定め、すぐに帰って村の名主に申し入れ、人をたくさん引き連れて古井戸に戻ってきました。
まず、文治兵衛が松明《たいまつ》を灯して井戸の中を見てみると、洞穴のようで水も無く、ただ暖かい風が吹いているだけでした。
文治兵衛は井戸の穴に木の枝を入れて火を付け、煙を充満させました。
すると、井戸の中から、いかにも苦し気に、山も崩れんばかりの大きな唸《うな》り声が聞こえてきました。
次第に、その声は小さくなって聞こえなくなりました。
なので、「よし、いまだ!」と、文治兵衛が井戸の中を探索すると、底も見えないほど深い井戸でした。
少しずつ井戸を降りていくと、大量の血が流れた跡を見付けました。
「これは化け物が死んだ証拠に違いない」
とさらに降りていくと、大木の根っこを倒したような姿の、年を取ったヒキガエルが真っ黒になって倒れていました。
【解説】
要するに、ヒキガエルが村人を食べていたという事でしょうか?
ということは、文治兵衛の息子もヒキガエルに食べられてしまったということでしょうか。。。
この作品で一番多くのページを費やして書かれている話にも関わらず、紫の火の玉とヒキガエルの関連もよく分かりませんし、挿絵では火の玉のはずが鳥になってますし、どうも釈然としないお話ですね。
三つ目コーナー
ゲロゲーロヾ(๑╹◡╹)ノ"
ん?カエルのマネか?
ううん、お屠蘇(とそ)を飲みすぎて吐いてるのヾ(๑╹◡╹)ノ"
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