寛政五[1793]年刊、桜川慈悲成作・歌川豊国画『変化物春遊(ばけものはるあそび)』
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
変化物春遊 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
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【原文】
大坂新町に節木《ふしき》[伏木?][藤木《ふじき》?]と言ふ女良、至つて器量麗しく有りけるが、年々《とし/゛\》京大坂へ小道具買い出しに行《ゆ》きける、小道具屋の大五良と言ふ者、大坂へ行く度にこの節木を呼び遊びける。
或る時、
「かの節木呼びくれよ」
と言へば、茶屋の主《あるじ》、
「節木は此の程病気なり。如何な出でまじ」
と申しける。
大五良、
「何分《なんぶん》呼びてくれよ」
と只管《ひたすら》亭主に言ゝける故《ゆへ》、その事節木へ申し遣はしけれバ、病中なれども馴染み故、節木は来たり。
段/\懇《ねんご》ろに話なぞし、病中なれバ節木も床を分けて伏しけるが、丑三《うしみ》つの頃、かの女良、稀代《きたい》の声して、
「助けてたべ」
と言ゝける。
大五良、早速節木を起こし、子細を聞くに、この節木、僧を騙《だま》しける。
この僧、女良故に寺を開き、致し方も無く、身を投げて死ゝける。
その報い、毎夜節木を苦しめけるとなん。
【現代語訳】
大坂[現在は「大阪」表記だがこの時代は「大坂」表記]の新町[遊郭があった]に節木《ふしき》と言う、とても美しい遊女がいました。
毎年、京・大坂に商品の買い出しにやってくる小道具屋の大五郎という者は、大坂に行くたびにこの節木を呼んで遊んでいました。
ある時、大五郎は茶屋に行き「いつものように節木を呼んでくだされ」と言うと、茶屋の亭主は、「節木は今、病気療養中なので、出勤することができませぬ」と答えました。
しかし、大五郎は、「なんとしてでも、節木を呼んでくだされ」とひたすら亭主に頼むので、亭主は仕方なく、この事を節木の方に伝えると、病気療養中だけども馴染みの客ということで、節木はやって来ました。
あれやこれや親しく話などしてから、節木は病気療養中なので、大五郎と寝床を別々にして休みました。
ところが、丑三(うしみ)つ時[午前二時ごろ。怪異が起こりやすい時間と言われた]になると、節木はとてつもない声を出して
「助けて~~~~~!!!!!」と叫びました。
大五郎はすぐに節木を起こし、詳しい事情を聞くと、節木はある僧を騙《だま》してお金をむしり取っていたことを白状しました。
この僧は節木のために寺を離れることになり、どうすることもできずに投身自殺をしたというのです。
その恨みで僧が霊となって節木の夢枕に現れ、毎晩節木を苦しめているということでした。
【解説】
つまり、節木の病気の原因はこの僧の霊だったということでしょうね。
挿絵では、妖怪の大首のような、巨大な僧の顔が描かれています。
僧は僧で遊女に現《うつつ》を抜かす生臭坊主だったわけで、自業自得のような気がしないでもないですが。
遊女は客を騙してなんぼの商売ですし。
三つ目コーナー
おい、三つ目、お経でも唱えてくれよヾ(๑╹◡╹)ノ"
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