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易占トリックなお話 その3[終] ~『宇治拾遺物語』より~

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※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。
和文教科書. 7之巻 宇治拾遺物語ぬきほ - 国立国会図書館デジタルコレクション

【原文】

取り出でゝ、使ひ給へ」と、教えて、出でゝ去《い》[往]にけり。

 此の女の親の、易の占ひの上手にて、此の女の、有様を考へけるに、
「今、十年有りて、貧しくならんとす。
 その月日、易の占ひする男、来て、宿らんずる」
 と考へて、
「『斯《か》ゝる金、有り』と告げては、未《ま》だしきに、取り出でゝ、遣い失ひては、貧しくならん程に、使ふ物無くて、惑《まど》ひなん」
 と、思ひて、確《しか》言ひ教へて、死にける後にも、この家をも、賣り失はずして、今日を待ち付けて、此の人を、斯《か》く責めければ、これも、易の占ひする物にて、心を得て、占ひ出だして、教へ出でゝ、去《い》にけるなりけり。
 易の占ひは、行末を、掌《たなごころ》の様《やう》に指して、知る事にて、有りけるなり。

※「宿らんずる」は、「宿らんとする」の、約《つづ》まりなり。
 されば、「と」に欠[掛?]けて言ふには、「宿らんず」と、「る」を省きて、云はでは適《かな》はず。

【現代語訳】

 旅人は、
「さあ、この中に、あなたがおっしゃっていた金があります。開けて少しずつ取り出して、お使いなされ」
 と教えて、を出て去って行きました。
 この女性の親は、易の占いの名人で、この女性今後の運命を占ってみたところ、
「今から十年後私の娘は貧しくなるだろう。
 ちょうどその時、易の占いをする男がやって来て、宿を借りようとするだろう」
 という結果が出たので、
私の娘の事だから、『ここにたんまりお金が隠してある』と教えたら、まだ貧しくなっていないのに取り出して使い果たしてしまい、貧しくなった時に金目の物が何も無くて困り果ててしまうだろう」
 と思い、お金のことは教えずに、十年後旅人がやって来るとだけ教えたのでした。
 なので、女性が亡くなった後も、与えられた物だけを売ってしのぎ、を売って失ってしまうこともなく、旅人がやって来る今日と言うこの日を待ちわびたのでした。
 そして、旅人借金返済を迫ったのですが、旅人易の占いをする者で、父親の考えお金のありか占いで見抜き、それを女性に教えて去っていったのでした。
 易の占いというものは、将来を、自分の手のひらの中にある物かのように、的確に知ることができるものなのです。

【解説】

 女性の父親は、十年後女性貧乏になることと、易の占いができる旅人がやってくることを、易の占いで導き出したというわけです。
 お金がある事を教えると使ってしまうような女性だったので、お金のことはナイショにして、十年間は過ごせるだけのを与えて、あとは易の占いができる旅人に託したと言うわけです。
 そんなことより、婿に来てくれる男性を占えば良かったのにと思わずにはいられないのですが、まあ、たぶん、ちょっと問題がある女性だったんですかねえ。
 いきなり説明もせずに「金返せっ!」って言うような女性ですから。。。

 というわけで、宇治拾遺物語は飽きたので、一旦、ここで終了します。
 気が向いたらまた再開するかもです。
 とはいえ、次のネタがないのですが、で占ってもらえないでしょうか?ヾ(๑╹◡╹)ノ"

三つ目コーナー

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