うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

ハイブリッド妖怪「アマビエ」

 こないだ、アマビエについて書いたんですけど、
kihiminhamame.hatenablog.com
 この特徴的アマビエの姿は、一体、何がになっているんだろう?と気になったので、少し考察してみることにしました。
 ちなみに、流行りのアマビエの記事でアクセス数激増だぜ!と思っていたのですが、その目論見は見事に外れ、大撃沈でしたヾ(๑╹◡╹)ノ"

「海彦《あまびこ》」※『越前国主記』より

「アマビエ」「アマビコ」誤記であることは、ほぼ間違いないです。
「アマビコ」は漢字で書くと「海彦」です。
 ふと、「海彦」になる妖怪「山彦《ヤマビコ》」だなあと、何となく思いましたヾ(๑╹◡╹)ノ"

 で、その「アマビコ」はこちら。

f:id:KihiminHamame:20200410135213j:plain
※元の画像を使っていいか分からなかったので、模写で失礼します。
 オリジナルの画像は、こちらのリンク先にある論文(pdfのリンクをクリック)に掲載されています。https://karin21.flib.u-fukui.ac.jp/repo/TO00011306

翻刻

越後国浦辺ニ而海中より出候而當辰年日本之人
七歩通り可死我が形の繪圖を見たる人ハ死を
のかるゝとなん申しき
海彦《アマヒコ》之形
天保十五年辰春

【現代語表記】

越後国浦辺にて、海中より出候いて、
「当辰年、日本の人、七歩通り死すべし。
我が形の絵図を見たる人は死を逃るる」
となん申しき。
海彦《アマビコ》の形
天保十五年辰春

【現代語訳】

 越後国新潟県海岸で、の中から海彦《アマビコ》という者が出て来て、
今年日本人七割が死ぬだろう。
 私姿を描いたを見たは、死なずに済む」
と言った。
 天保十五[一八四四]年、辰年の春。

 尖った口三本足、ほぼアマビエと同じ姿です。
 アマビエの姿はこのアマビコベースになっていると考えて良いでしょう。
 ただ、アマビエ長い髪魚要素はいったいどこから来たのでしょうか?

「姫魚《ひめうお》」※瓦版より。

 それはおそらく、姫魚《ひめうお》[「神社姫」という名でも同じような妖怪が描かれていますが、便宜上、今回は「姫魚」の方を取り上げます]要素を取り入れたのだと考えられます。

 で、その「姫魚」はこちら。

f:id:KihiminHamame:20200410135829j:plain
※同じく元の画像を使っていいか分からなかったので、模写で失礼します。
 オリジナルの画像は、こちらのリンク先にありますのでご確認ください。
歴史系総合誌「歴博」第170号|バックナンバー|歴史系総合誌「歴博」|刊行物|歴博とは|国立歴史民俗博物館

翻刻

此度肥前国◆平戸におゐて◆沖にうきあかる◆
姫魚龍宮より◆御使なり此魚◆ものを云◆
七ヶ年の間◆豊年なり◆其印にハ北斗◆
星の片傍に◆箒星出る◆しかしころりと云◆
病はやり人多く◆死す我姿を◆繪に書一たひ見ハ◆
此病をのかるへし◆と云て直に◆海中へしつミにけり◆
文政二年◆卯之月十五日出ル

魚金色也◆長一丈三尺◆髪長一丈斗◆
脊ニ寳宝珠ノ◆玉三ツ有リ

【現代語表記】

此の度、肥前国平戸に於いて、沖に浮き上がる姫魚、龍宮より御使いなり。
此の魚、物を言う。
「七ヶ年の間、豊年なり。
其の印には、北斗星の片傍《かたそば》に、箒星《ほうきぼし》出る。
しかし、コロリと言う病流行り、人多く死す。
我が姿を絵に書き、一度《ひとたび》見れば、此の病を逃るべし」
と言いて、直《すぐ》に海中へ沈みにけり。
文政二年、卯の月十五日、出る。

魚、金色也。
長さ、一丈三尺。
髪の長さ、一丈|計《ばか》り。
背に宝珠の玉、三つ有り。

【現代語訳】

 このたび、肥前国佐賀県長崎県平戸に、竜宮からの使者姫魚《ひめうお》が浮かび上がってきました。
 この姫魚言葉をしゃべります。
「今から七年の間は、豊作である。
 そのとして、北斗七星の側に、彗星《すいせい》が出る。
 しかし、コロリコレラのこと]と言う病気流行し、が多く死ぬ。
 姿に描き、一度でも見れば、この病気にかからずに済むだろう」
 と言って、すぐに海の中に沈みました。
 この姫魚は、文政二[一八一九]年四月十五日に現れました。

 魚の色金色
 体長一丈三尺[約4メートル]
 髪の長さ一丈[約3メートル]ぐらい。
 背中宝の玉三つ有ります。

 アマビエリュウグウノツカイではないかと言うが出ているみたいですが、この姫魚「龍宮より御使い」とあるから、紛れもなく竜宮の使いですねwヾ(๑╹◡╹)ノ"

 姫魚尾びれ三つに分かれています。
 アマビコ三本足とこの三股尾びれが混じったので、アマビエ下半身なのか尾びれなのかよくわかんない形状になったのでしょう。
 足ひれとでも言うべきでしょうか。

 つまり、「アマビエ」は、「海彦《あまびこ》」「姫魚[または神社姫]をミックスしたハイブリッド妖怪であると言えるでしょう。
 あ、もちろん、諸説ありますが、北見花芽説はこれで行きますwヾ(๑╹◡╹)ノ"

 ちなみに、こないだ「ソロリコロリ」の事件について書いたのですが、
kihiminhamame.hatenablog.com
「動物が物を言う」「コロリという病気が流行する」、という姫魚共通しています。
 ただ、「ソロリコロリ」の事件には、「コロリ」つまりコレラ日本にはまだ入って来ておらず、「コロリ」なんて病気存在しなかったんです。
 「ソロリコロリ」完全デマだったんですが、嘘から出たまことというか、本当に予言になってしまって、ちょっと怖いですね。。。

 ところで、なぜ、三本足だか気になりませんか?
 どうやら、この当時三本足の動物には霊力があったと考えられていたようなんです。
 織田信長愛用の香炉「三足《みつあし》の蛙」で、本能寺の変の前には、この香炉が鳴き出したそうです。

 よく、アマビエ三本足ではなく、単なる人魚のような尾びれで描いている方がいらっしゃいますが[『ゲゲゲの鬼太郎』に出てきたアマビエも三本足ではなく、尾びれが一つの人魚タイプでした]三本足、または三股尾びれであることに意味があるので、そこんとこヨロシクですヾ(๑╹◡╹)ノ"

【参考】「神社姫」※『我衣』より

 耳のヒレなどを考えるとはこっちの方がアマビエに近いですかね。

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※これまた模写で失礼します。オリジナルはwikipedia参照。神社姫 - Wikipedia

【追記】海彦《アマビコ》の鮮明な画像を確認したら、海彦にも耳のようなものは描かれていました。

f:id:KihiminHamame:20200414224314j:plain
※模写

三つ目コーナー

三本足になって霊力を得たいよ~ヾ(๑╹◡╹)ノ"

大丈夫、はすでに、毛が三本足りないからヾ(๑╹◡╹)ノ"
[※俗説で、サルは人間より毛が三本足りない、と言われています。]

 

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引き続き、しつこくバレンタインデー仕様でございますヾ(๑╹◡╹)ノ"
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