こないだ、アマビエについて書いたんですけど、
kihiminhamame.hatenablog.com
この特徴的なアマビエの姿は、一体、何が元になっているんだろう?と気になったので、少し考察してみることにしました。
ちなみに、流行りのアマビエの記事でアクセス数激増だぜ!と思っていたのですが、その目論見は見事に外れ、大撃沈でしたヾ(๑╹◡╹)ノ"
「海彦《あまびこ》」※『越前国主記』より
「アマビエ」は「アマビコ」の誤記であることは、ほぼ間違いないです。
「アマビコ」は漢字で書くと「海彦」です。
ふと、「海彦」と対になる妖怪は「山彦《ヤマビコ》」だなあと、何となく思いましたヾ(๑╹◡╹)ノ"
で、その「アマビコ」はこちら。
※元の画像を使っていいか分からなかったので、模写で失礼します。
オリジナルの画像は、こちらのリンク先にある論文(pdfのリンクをクリック)に掲載されています。https://karin21.flib.u-fukui.ac.jp/repo/TO00011306
【原文】
越後国浦辺ニ而《て》、海中より出候ひ而、
「當辰年、日本之人、七歩通り死す可《べ》し。
我が形の繪圖を見たる人は死を逃るゝ」
となん申しき。
海彦《アマビコ》之形
天保十五年辰春
【現代語訳】
越後国[新潟県]の海岸で、海の中から海彦《アマビコ》という者が出て来て、
「今年、日本人の七割が死ぬだろう。
私の姿を描いた絵を見た人は、死なずに済む」
と言った。
天保十五[一八四四]年、辰年の春。
尖った口と三本足、ほぼアマビエと同じ姿です。
アマビエの姿はこのアマビコがベースになっていると考えて良いでしょう。
ただ、アマビエの長い髪と魚要素はいったいどこから来たのでしょうか?
「姫魚《ひめうお》」※瓦版より。
それはおそらく、姫魚《ひめうお》[「神社姫」という名でも同じような妖怪が描かれていますが、便宜上、今回は「姫魚」の方を取り上げます]の要素を取り入れたのだと考えられます。
で、その「姫魚」はこちら。
※同じく元の画像を使っていいか分からなかったので、模写で失礼します。
オリジナルの画像は、こちらのリンク先にありますのでご確認ください。
歴史系総合誌「歴博」第170号|バックナンバー|歴史系総合誌「歴博」|刊行物|歴博とは|国立歴史民俗博物館
【原文】
此の度、肥前国平戸に於ゐて、沖に浮き上がる姫魚、龍宮より御使ひなり。
此の魚、物を云ふ。
「七ヶ年の間、豊年なり。
其の印にハ、北斗星の片傍《かたそば》に、箒星《はうきぼし》出る。
しかし、コロリと云ふ病流行り、人多く死す。
我が姿を繪に書き、一度《ひとたび》見れバ、此の病を逃るべし」
と云ひて、直《すぐ》に海中へ沈ミにけり。
文政二年、卯之月十五日、出ル。
魚、金色也。
長さ、一丈三尺。
髪の長さ、一丈 計《ばか》り。
脊に寳珠の玉、三ツ有リ。
【現代語訳】
このたび、肥前国[佐賀県・長崎県]の平戸の海の沖に、竜宮からの使者の姫魚《ひめうお》が浮かび上がってきました。
この姫魚は言葉をしゃべります。
「今から七年の間は、豊作である。
その印として、北斗七星の側に、彗星《すいせい》が出る。
しかし、コロリ[コレラのこと]と言う病気が流行し、人が多く死ぬ。
私の姿を絵に描き、一度でも見れば、この病気にかからずに済むだろう」
と言って、すぐに海の中に沈みました。
この姫魚は、文政二[一八一九]年四月十五日に現れました。
魚の色は金色。
体長は一丈三尺[約4メートル]。
髪の長さは一丈[約3メートル]ぐらい。
背中に宝の玉が三つ有ります。
アマビエがリュウグウノツカイではないかと言う説が出ているみたいですが、この姫魚は「龍宮より御使い」とあるから、紛れもなく竜宮の使いですねwヾ(๑╹◡╹)ノ"
姫魚は尾びれが三つに分かれています。
アマビコの三本足とこの三股尾びれが混じったので、アマビエの下半身は足なのか尾びれなのかよくわかんない形状になったのでしょう。
足ひれとでも言うべきでしょうか。
つまり、「アマビエ」は、「海彦《あまびこ》」と「姫魚[または神社姫]」をミックスしたハイブリッド妖怪であると言えるでしょう。
あ、もちろん、諸説ありますが、北見花芽説はこれで行きますwヾ(๑╹◡╹)ノ"
ちなみに、こないだ「ソロリコロリ」の事件について書いたのですが、
kihiminhamame.hatenablog.com
「動物が物を言う」、「コロリという病気が流行する」、という点が姫魚と共通しています。
ただ、「ソロリコロリ」の事件の頃には、「コロリ」つまり「コレラ」は日本にはまだ入って来ておらず、「コロリ」なんて病気は存在しなかったんです。
「ソロリコロリ」は完全にデマだったんですが、嘘から出たまことというか、本当に予言になってしまって、ちょっと怖いですね。。。
ところで、なぜ、三本足だか気になりませんか?
どうやら、この当時、三本足の動物には霊力があったと考えられていたようなんです。
織田信長愛用の香炉が「三足《みつあし》の蛙」で、本能寺の変の前には、この香炉が鳴き出したそうです。
よく、アマビエの足を三本足ではなく、単なる人魚のような尾びれで描いている方がいらっしゃいますが[『ゲゲゲの鬼太郎』に出てきたアマビエも三本足ではなく、尾びれが一つの人魚タイプでした]、三本足、または三股尾びれであることに意味があるので、そこんとこヨロシクですヾ(๑╹◡╹)ノ"
【参考】「神社姫」※『我衣』より
耳のヒレなどを考えるとはこっちの方がアマビエに近いですかね。
※これまた模写で失礼します。オリジナルはwikipedia参照。神社姫 - Wikipedia
【追記】海彦《アマビコ》の鮮明な画像を確認したら、海彦にも耳のようなものは描かれていました。
※模写
三つ目コーナー
僕も三本足になって霊力を得たいよ~ヾ(๑╹◡╹)ノ"
大丈夫、君はすでに、毛が三本足りないからヾ(๑╹◡╹)ノ"
[※俗説で、サルは人間より毛が三本足りない、と言われています。]
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