うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

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「耳なし芳一」のルーツ?「耳きれうんいち」その衝撃の内容とは? その2

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前回の続きです。
けいじゅん(弟子の尼)幽霊に連れて行かれたうんいち(座頭)はどうなったのでしょうか?

前回同様、『曽呂里物語』は、ここに載せれる画像が無かったので、オリジナルをご覧になりたい方は、下のリンク先でご確認くださいね。
www.wul.waseda.ac.jp

翻刻

かの
れうの戸をうちよりつよくさして。あくる日ハ外へも出
さすさてくれぬ。うんいち気つまりいかゝすへきとおもひな
からすへきやうもなし。めうけつにぎやうしのかねのをとし
けれハ。ぎやうしにあひてかへり候ハんまゝ。あなかしこよそへい
つる事有まじといひていでぬ。さていかゝしていでんとあた

りをさぐりまハしけれハ。いかにもきびしくとちめけれ
ば出ることもならす。夜あけてけいじゆんハかへりぬ。かく
する事二夜なり。そのうちに食物たへてめいわくのあ
まりに。三日めのあかつきぎやうしに出けるうちに。れう
の戸をあらゝかにたゝきよハゝりけれハ。すなハち寺中
のものいてあひ戸くちをけはなしミれハ。うんいちなり。
此ほとハいつくへ行けるそとたつねけれハ。爰にゐてこそ侍
れといふ。ミれハしゝむらすこしもなくほねはかりにてさも
おそろしきすがたなり。いかに/\とゝへばいかにもつかれたる
こゑにていきのしたよりしか/\の事にて侍るとかたる。けい
しゆんは丗日ほとさきに身まかりぬといへハ。いよ/\けう
さめてそ覚えける。

【原文】※漢字や送り仮名を補足した表記

彼の寮の戸を内より強く鎖《さ》して、明くる日ハ外へも出さず、さて暮れぬ。
うんいち気詰まり、
「如何すべき」
と思ひながら、すべき様《やう》も無し。
明月《めうげつ》[?]に行事の鐘の音しければ、
「行事に会ひて帰り候ハんまゝ、あなかしこ、余所《よそ》へ出《いづ》る事、有るまじ」
と言ひて出でぬ。
「さて、如何して出でん」
と辺りを探り回しければ、如何にも厳しく戸閉《とぢ》めければ、出ることもならず。
夜明けてけいじゆんは帰りぬ。
斯《か》くする事、二夜《ふたよ》なり。
其の内に食い物絶へて迷惑の余りに、三日目の暁《あかつき》行事に出ける内に、寮の戸を荒ゝかに叩き呼バゝりけれバ、即《すなハ》ち寺中の者出で合い、戸口を蹴放《けはな》し見れバ、うんいちなり。
「此の程ハ何処《いづく》へ行きけるぞ」
と尋ねけれバ、
「爰に居てこそ侍れ」
と言ふ。
見れバ肉叢《しゝむら》少しも無く、骨ばかりにて、さも恐ろしき姿なり。

「如何に/\」
と問へば、如何にも疲れたる声にて、息の下より、
「然々《しか/゛\》の事にて侍る」
と語る。
「けいじゆんは丗日程前に身罷りぬ」
と言へば、愈々《いよ/\》興醒《けうさ》めてぞ覚えける。

【現代語訳】

けいじゅん自分の寮の扉を中からしっかり閉めて、翌日うんいちを一歩も外へは出さず、その日は暮れました。

うんいち窮屈《きゅうくつ》に感じ、

「どうしたものか」

と思いながらも、どうすることもできませんでした。

月明かりが美しい夜になり[?]お勤《つと》め[読経などの仏道修行][?]時間を知らせるが鳴ると、

お勤めから帰ってくるまで、決してどこにも行ってはなりませんぞ。」

と言ってけいじゅんは出て行きました。

「さて、どうやってここから出ようか。」

と、うんいちは、辺りを探りまくったのですが、しっかりと厳重に戸締りがしてあるので、出ることができませんでした。

夜が明けてけいじゅんは帰ってきました。

こんなことが二晩続きました。

その間、うんいち食事をすることもできなかったので途方に暮れ、三日目の明け方けいじゅんお勤めに出かけている隙《すき》に、寮の扉を荒々しく叩いて大声で叫びました。

するとすぐに寺中の者が集まって来て、を蹴破って中を見てみると、そこにはうんいちがいました。

「いったいこれまでどこに行っていたのですか?」

寺の者が聞くと、うんいちは、

「ずっとここにいました。」

と答えました。

うんいちを見ると、が全くなく、ばかりで、とても恐ろしい姿になっていました。

「一体、何があったのです???」

寺の者が聞くと、うんいちは、

カクカクシカジカな事がありました。」

一部始終を語りました。

けいじゅん三十日ほど前亡くなりました。」

寺の者が言うと、うんいちはますます恐怖でゾッとしたのでした。

【解説】

けいじゅんうんいち自分の部屋閉じ込めてしまいます。

うんいちばかりになった姿発見されたところを見ると、食事が食べれなかったからだけではなく、おそらくうんいちけいじゅんアンナコトやコンナコトをされて精気を吸い取られてしまったんでしょうね。

けいじゅんは死んで-から一気に解放されてしまったんでしょうか?

うんいちターゲットにされたのは、尼寺なので出会える男性うんいちぐらいしかいなかったからなのかもしれません。

お勤めの時間だけ部屋を出て行くけいじゅん

幽霊になっても仏道修行怠らなかったのでしょうか。

それとも、お勤めの読経を聞くのが煩《わずら》わしくて、その間だけから離れていたのでしょうか?

もちろん、部屋から抜け出ただけで、けいじゅんうんいちへの執着が収まるわけもなく、次回に続くのです。

あ、次回で完結するのでお楽しみにヾ(๑╹◡╹)ノ"

【参考文献】

◆『怪異小説集』

dl.ndl.go.jp

◆『江戸怪談集〈中〉』

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  • 発売日: 1989/04/17
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三つ目コーナー

北見花芽の家閉じ込められたよ~ヾ(๑╹◡╹)ノ"

お前勝手居候してるんだろうが!ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

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