続きですヾ(๑╹◡╹)ノ"
【原文】はあくまで参考のために載せているので、
どうぞすっとばして【現代語訳】からお読みくださってもノープロブレムですヾ(๑╹◡╹)ノ"
武家義理物語 6巻. [2] - 国立国会図書館デジタルコレクション
井原西鶴『武家義理物語』貞享五[一六八八]年刊
※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しております。
【原文】
彼《か》の松風の女、昔の形《かたち》ハ皃《かほ》ばかりに残し、身は三丈《さんじやう》余りの虵躰《じやたい》となつて、二人に取り掛ゝれバ、久六ハ前後《ぜんご》忘《バう》して死《し》に入《い》りけるに、丹蔵《たんざう》組み伏せて、正しく捕らえたりしが、其のまゝ消へて無かりき。
其の跡《あと》に、松風が小脇差《こわきざし》有りて、是を標《しるべ》に両人《りやうにん》立ち帰り、御前へ右の段/\ 言上《ごんじやう》申せバ、御機嫌《ごきげん》宜《よろ》しく、手柄《てがら》せし丹蔵に、千石の御加増《ごかぞう》、又、死《し》に入《い》りたる久六に、千五百石御加増下し給ハれば、御年寄中[年寄衆]、此の上意《じやうい》を合点 仕《つかまつ》らぬ様体《やうだい》御覧《ごらん》遊バし、
「丹蔵《たんざう》ハ是程の義《ぎ》、仕り兼ねまじき者《もの》也。又、久六ハ、兼《か》ねて知れたる臆病男《おくびやうをとこ》、主命《しゆめい》を重んじ、一夜を勤《つと》め、死《し》なずに帰る事、丹蔵《たんざう》にハ増したる武辺者。」
と、仰せ付けられけると也。
其の後ハ、此の御屋形《おやかた》、子細《しさい》なく、女中の難病《なんびやう》も常の面《おもて》に成りぬ。
【現代語訳】
例の松風という女は、昔の姿は顔だけで、体は十メートル弱の蛇となって現れ、二人に襲いかかってきました。
久六はパニくって気を失いましたが、丹蔵は松風を組み伏せて、間違いなく捕まえたのですが、松風はそのまま消えていなくなってしまいました。
そのあとに、松風の小脇差《こわきざし》[短い脇差(短刀)][月の夜と雪の夜を刺すために持っていた肌刀のことか]が残っており、これを証拠に二人は殿の所に帰ってきました。
殿へ昨夜の出来事を順を追って申し上げると、殿はご機嫌が良くなり、松風を倒す手柄を立てた丹蔵には千石の年俸アップを、気絶していた久六には千五百石の年俸アップを申し付けられました。
殿は、ご家老たちがこの仰せに納得なさらぬ様子をご覧になり、
「丹蔵は松風を倒すくらいのことは、当たり前のように出来る者である。
一方、久六は、誰もが知っている臆病者。
それにもかかわらず、逃げたいであろうに、勇気を振り絞って、主君であるワシの命令を第一とし、一晩川屋敷で過ごす任務を勤め上げて、死なずに帰って来たのは、丹蔵以上の勇敢な武士である。」
とおっしゃったのでした。
其の後、この川屋敷は何の問題も起こらず、女中の難病も治り、元の美顔に戻ったということです。
【解説】
松風は蛇体の妖怪となっていて、現れます。
警護の役人たちも、松風蛇にグルグル巻きにされて絞め殺されてしまったんですかねえ。
ふと、ムツゴロウさんがアナコンダを体に巻いて危うく絞め殺されそうになったシーンを思い出しましたヾ(๑╹◡╹)ノ"
youtu.be
で、このお話は「お互いを立てる素晴らしい女性」の話から始まり、「恐ろしい女性の嫉妬と執念」、「ホラー」になって、最後は「勇敢な武士とは?」という話で終わりましたヾ(๑╹◡╹)ノ"
できて当たり前の方ではなく、できないのにやろうとする方を高く評価したのは、いかにも信長らしい独特の評価基準ですよね。
まあ、元々の年俸ベースが丹蔵の方が高かったんだとは思いますがねヾ(๑╹◡╹)ノ"
でも、なんだかんだ実際に手柄を立てたのは丹蔵なんで、丹蔵は不満でしょうね。
光秀もこういう感じで不満を持って、本能寺の変に至ったのかもしれません。
というわけで、お話はここで終わりなのですが、みなさんにちょっと質問ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
このお話は、お互いを立てる女性→女性の嫉妬と執念→ホラー→勇敢な武士 とめまぐるしくテーマが変わりましたが、みなさんはこのお話の主人公は誰だと思いますか?
1、織田信長(殿)
2、雪の夜
3、月の夜
4、松風
5、梅垣
6、大平丹蔵
7、柳田久六
次回、この件に関する私の見解と、挿絵の解説をして、このお話の紹介は終わりたいと思います。
松風の怨霊(イメージ画像)
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