うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

江戸文学の楽しさを皆さんにお伝えできれば♪

人のチョメチョメのぞいた男の運命は? その4 【再読】 ~『野傾友三味線』巻三の四「願成就の宮廻」~

 

f:id:KihiminHamame:20210330132153j:plain



 

翻刻【現代語表記】(クリックで展開)

翻刻

江戸を出てから
けふで廿一日。水茶屋の女の
手から茶を飲《のむ》も気味《きミ》わる
く。浮世《うきよ》ハ律儀《りつぎ》にかまへたが損《そん》
なりと。火 吹《ふき》竹のやうにな
つたをへしつけて。そろりと
襖《ふすま》の間《あい》からのぞけは。屏風《べうぶ》を

立て見えず。さらば合点《がつてん》と
小便《セうべん》に出るやうにして。閨《ねヤ》を
出。縁《ゑん》へまハり書院床《しよえんどこ》のやう
なる鴨居板《かもゐいた》のすかしより。
おもふまゝにさしのぞきミ
れば。男ひとつ夜着《よぎ》に枕《まくら》を
ならべ。胴《どう》は一所に命々鳥《めい/\てう》の
ごとく。何をいふやら笑《わら》ふやら。
鳴やら。しらりと夜《よ》あけに
なれば。こゝろとまるは関《セき》の
地蔵《ぢざう》とうたふて。馬の鈴《すゞ》を
とに旅籠《はたご》の食《めし》の下をたき
つける。これや此行も帰《かへ》るも旅《たひ》

装束《しやうぞ》して膳《ぜん》にむかふ。

【現代語表記】

「江戸を出てから今日《きょう》で廿一日《にじゅういちにち》、水茶屋の女の手から茶を飲《の》むも気味《きみ》悪く、浮世《うきよ》は律儀《りちぎ》に構えたが損《そん》なり」
と火吹竹《ひふきだけ》の様《よう》になったを圧《へ》し付けて、そろりと襖《ふすま》の間《あい》から覗《のぞ》けば、屏風《びょうぶ》を立て見えず。
「さらば合点《がってん》」と小便《しょうべん》に出る様《よう》にして、閨《ねや》を出、縁《えん》へ回り、書院床《しょえんどこ》の様《よう》なる鴨居板《かもいいた》の透《す》かしより、思うままに差し覗き見れば、男一つ夜着《よぎ》に枕《まくら》を並べ、胴《どう》は一所に命々鳥《めいめいちょう》のごとく、何を言うやら、笑うやら、鳴くやら。
しらりと夜《よ》明けになれば、「心留《こころと》まるは関《せき》の地蔵《じぞう》」と歌うて、馬の鈴音《すずおと》に旅籠《はたご》の食《めし》の下を炊き付ける。
これや此の行くも帰《かえ》るも旅装束《たびしょうぞく》して膳《ぜん》に向かう[蝉丸「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」(百人一首)を踏まえる]

 

【現代語訳】

江戸を出てから今日二十一日目水茶屋ウエイトレスの手からお茶を渡されて飲むのもためらうくらい、色事我慢していたが、、、ええい、この世マジメを通す方じゃ!!!」

江戸の男火吹竹のようになったのを押さえつけて、そろりそろりと襖の間から隣の部屋様子を覗きましたが、屏風が立ててあって見えません。

「それならば、こうするしかない!」

トイレに行くふりをして部屋を出て、縁側に回り、書院床のように突き出た透かし彫りの鴨居板隙間から、思いのままに覗きました。

すると、男女一つの布団の中でを並べ、命々鳥《めいめいちょう》[一つの体に頭が二つある想像上の鳥]のように胴体一つになっていて、何を言っているのやら、笑っているのやら、鳴いているのやら。。。

白々とが明けて、「♪心が惹《ひ》かれるのは関の地蔵~」と歌う馬方歌声と、馬の鈴音が聞こえてくると、宿屋ご飯を炊き、これから伊勢へ行く人も帰る人も、どの宿泊客旅支度をして朝食のお膳に向かいます。

【解説】

江戸の男宿泊している関宿三重県亀山市は、東海道の宿場町の一つで、馬方の歌に出てくる関の地蔵[地蔵院]現在もちゃんと存在しています。

⽔茶屋は今で言う茶店みたいな所です。ヾ(๑╹◡╹)ノ"

水茶屋看板娘には浮世絵ブロマイドまで作られる、アイドル的存在な娘もいたみたいですよヾ(๑╹◡╹)ノ"

で、ここ、結構エッチな場面なんですが、直接的な言葉一切使わずに表現されているのがすごいですねヾ(๑╹◡╹)ノ"

詳しい説明はあえてしませんので、各自想像してくださいヾ(๑╹◡╹)ノ"

一応、火吹竹参考画像をどうぞヾ(๑╹◡╹)ノ"

カマドの前の男左手で持っているのが、火吹竹[火を吹いておこす道具]ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

f:id:KihiminHamame:20210330132445j:plain
※『西鶴置土産』巻五の十七より
国立国会図書館デジタルコレクションの画像を使用しています。
西鶴置土産 5巻. [5] - 国立国会図書館デジタルコレクション

隣の部屋をのぞいた江戸の男がこのまま何事もなく終わるはずはありません。

はてさて、どのような結末を迎えるか?

次回最終回ですヾ(๑╹◡╹)ノ"

火吹竹イチモツ命々鳥チョメチョメしている様子たとえたんだねヾ(๑╹◡╹)ノ"

だから、言うなって!!!ヾ(๑╹◡╹)ノ"

 

 

◆北見花芽のほしい物リストです♪ まだ受け付けてますバレンタインヾ(๑╹◡╹)ノ"

f:id:KihiminHamame:20171119223122j:plain 

いただいた商品のレビューはこちら♪   

◆インフォメーション 

井原西鶴の大著、『男色大鑑』一般向け現代語訳「武士編」及び「歌舞伎若衆編」発売中です♪

北見花芽の中の人もちょっと書いてるので興味のある方も無い方も、下のアマゾンリンクから買ってくださると狂喜乱舞します♪
※ 書店で買っても、北見花芽の中の人には直接お金が入らないので何卒。

全訳 男色大鑑〈武士編〉

全訳 男色大鑑〈武士編〉

  • 発売日: 2018/12/17
  • メディア: 単行本
 
全訳 男色大鑑〈歌舞伎若衆編〉

全訳 男色大鑑〈歌舞伎若衆編〉

  • 作者: 染谷智幸,畑中千晶,河合眞澄,佐藤智子,杉本紀子,濵口順一,浜田泰彦,早川由美,松村美奈,あんどうれい,大竹直子,九州男児,こふで,紗久楽さわ
  • 出版社/メーカー: 文学通信
  • 発売日: 2019/10/21
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

『男色を描く』合わせてお読みいただけるとより楽しめると思いますよ♪
※ こちらも北見花芽の中の人がちょっと書いていますので。 

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

男色を描く: 西鶴のBLコミカライズとアジアの〈性〉

  • 発売日: 2017/08/31
  • メディア: 単行本
 

◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪

f:id:KihiminHamame:20171108164138j:plain

◆拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
はてなIDをお持ちでない方でも押せますし、コメントもできます)

web拍手 by FC2

◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪

にほんブログ村 歴史ブログ 江戸時代へ
にほんブログ村 


江戸時代ランキング

◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします♪ バズりたいです!w