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人のチョメチョメのぞいた男の運命は? その5 【再読】 ~『野傾友三味線』巻三の四「願成就の宮廻」~

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【原文】(クリックで展開)

【原文】

此の江戸男、うつかりと旨《むま》い所を覗いたる皃《かほ》、板《いた》に取り付きて離れず。
無理《むり》に引き離さんとすれば、五体《ごたい》砕けるがごとし。
泊《とま》り合はせし旅人《たびびと》寄り集《たか》つて、「是は不思儀《ふしぎ》」と見物する内に、日が長《た》けると、思ひ/\の東西に出て行く。
後には此の男 壱人《ひとり》、「痛《いた》や、絶《た》へがたや」と男泣《な》きして立ち竦《すく》ミけるを、亭主《ていしゆ》聞き付けて、
「是《これ》只事《ただごと》に非《あら》ず。
立ち聞きすれば、堅牢地神《けんこんぢしん》頭《かしら》を痛《いた》め給ふと申し、殊《こと》に太神宮参詣の人、不浄《ふじやう》なる事を覗きたる神罰《しんばつ》なるべし。
何時《いつ》か其の皃《かほ》離《はな》れ申すべき時節《じせつ》、知れざる事なれば、宿《やど》を致した不祥《ふしやう》、是非《ゼひ》無し。」
と皃《かほ》の取り付いた程、板《いた》を引き切《き》りぬれども、猶《なほ》其の板離れざれば、心中に祈念《きねん》して、故郷《ふるさと》を指して帰りけるが、此の時より、好色《こうしよく》に深き者《もの》を「板顔《いたづら》」と言ふ事、始まりける。

 

【現代語訳】

この江戸の男男女いい事をしている所夢中覗きましたが、そのが覗いていた鴨居板くっ付いて離れません。

無理引き剥《は》がそうとすると、痛くて体がバラバラになりそうです。

泊まり合わせた旅人たちがよってたかって、「これは不思議だねえ」と見物しましたが、日が高くなると、旅人たちは、西へ、目的地に向かって、思い思いに旅立って行きました。

あとにはこの江戸の男一人、「痛いよ~、もう限界だ~」と男泣きして立ち尽くすだけでした。

宿屋の主人がこれを聞きつけて、

「これはただごとじゃない。

盗み聞きをすることでさえ、堅牢地神《けんろうじしん》[大地を管理する神]お悩ませになるというのに、こともあろうに伊勢大神参詣するが、汚らわしいもの覗き見などするとはとんでもない

これは神罰[天罰]であろう。

いつその顔から離れるかわからないから、宿屋にとってはとんだ災難、この際こうするしか仕方ない。」

と、顔が張り付いた部分の板を、顔が張り付いたまま、から引っ張って切り離しましたが、それでもから剥がれません

心の中で「どうかからお剥がし下さい」と祈りながら、故郷の江戸に向かって帰っていきました。

そして、このに顔が張り付いた江戸の男のエピソードから、エッチすぎる者のことを、板面《いたづら》」と言うようになりましたとさ。

【解説】

最後のオチ意味が分かりましたか?

この当時「いたづら」という言葉は、今使われている「悪ふざけ」意味以外に、「好色にのめりこむこと」意味していました。

たとえば、この頃の作品で、「いたづら女」という言葉が出てきたら、「好色女」という意味です。
それを「板面《いたづら》」とかけたわけですね。
もちろん、実際は「いたづら」語源「板面《いたづら》」なわけはなく、作者団水シャレです。

さて、ここで皆さん質問というかアンケートです。

宿屋の主人は、「伊勢神宮神罰から離れなくなった」と言っていますが、皆さんは、江戸の男はどうしてから離れなくなってしまったと思いますか?

次回私の見解を述べて、このお話紹介終わりたいと思います。


1、伊勢大神宮の罰

2、堅牢地神の罰

3、女道の神の罰

4、衆道の神の罰

5、江戸男の罪悪感

6、覗かれた男女の怒り

7、その他

8、三つ目の髪の抜

 

 

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