※下に現代語訳と解説がありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
莫切自根金生木 : 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
唐来参和『莫切自根金生木』[天明5(1785)年刊]
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【原文】
①本文
此処《こゝ》に御存知の金々先生《きん/\せんせい》の又隣《またどなり》に、萬々先生《まん/\せんせい》と言ふ者有り。
七珎万宝《しつちんまんぽう》蔵に満ち/\て、代々 栄耀《ゑよふ》に暮らしけるが、物事自由に手の回るが頻《しき》りに煩《うるさ》く、
「三日なり共《とも》、貧乏せば、今の思ひハ有るまい」
と、家ニ傳はる作の大黒を引き摺《ず》り除《の》けて、貧乏神の絵像を調へ、暦の内の大の悪日を縁日として、信心なしける。
②萬々の妻
「旦那の御顔も、この頃ハ貧相ニ御成りなされた」
③手代A
「然《さ》れバで御座ります。
これでハ御家 御衰微《ごすいび》の基《もとい》、おめでたう御座ります」
④手代B
「捨てられる神有れバ、助けられる神も有り難《がて》へか[「神も有り」と「有り難え」を掛けた]」
⑤萬々
「おんぼろ/\貧乏なりたやそわか」
⑥下女
「一昨日《おとゝい》来い/\」
【現代語訳】
①本文
さて、皆さまご存知の金々先生《きんきんせんせい》[恋川春町の大ヒット作『金々先生栄花夢』の主人公]の一軒置いた隣に、萬々先生《まんまんせんせい》という者が居ました。
あらゆるお宝が蔵いっぱいにあり、先祖代々、大いに栄えて暮らしていましたが、物事が何不自由なく回るのが、やたらと嫌になりました。
「三日だけでも貧乏になれば、こんな嫌な思いはしなくていいのに」
と萬々は思い、家に伝わる名品の大黒様を引きずり降ろして捨て、代わりに貧乏神の肖像を飾りました。
そして、暦の中でもひどく日柄が悪い日を縁日に定めて、貧乏神を信仰しました。
②萬々の妻
「貧乏神を信仰したおかげか、旦那[萬々]のお顔も近頃は貧相になられました」
③手代[従業員]A
「それはでございます、このお家が、このまま衰退していく兆候でございます。
おめでとうございます」
④手代B
「捨てられる神[大黒様]もあれば、助けられる神[貧乏神]もあり、ありがたいことだ」
⑤萬々
「おんぼろおんぼろ、貧乏になりたい、そわか[真言の呪文「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」をもじった]」
⑥下女[使用人]
「大黒様、もう二度と来なさんな」
【解説】
この作品の主人公の萬々先生は大金持ちで、「何不自由なく暮らせるのが嫌になった」って、なんて贅沢な!!!
きぃ~~~~っ!!!!
黄表紙って、吹き出しがないだけど、すでに今のマンガとほぼ同じ形式なんですよねヾ(๑╹◡╹)ノ"
萬々が一心に貧乏神に祈り、下女が団扇《うちわ》であおいで大黒様を追い出しています。
手代Aは煙管《キセル》を吸っていますね。
萬々の妻は既婚女性なので眉なしです。
貧乏になるために、まずは貧乏神の信仰から始めますが、はてさてどうなることやら、次回に続くヾ(๑╹◡╹)ノ"
ふう、今日は三つ目が姿を現さなかったみたい、、、あ~~っ、あんな所に紛れてやがった!
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