※下に現代語訳と解説がありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
莫切自根金生木 : 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
唐来参和『莫切自根金生木』[天明5(1785)年刊]
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【原文】
①本文
案の如く、盗人《ぬすびと》大勢入りしハ入りしが、余りの大金《おおがね》故《ゆへ》、持ち出す工夫や荷拵《にごしら》へニ手間取り、夜もほの/゛\と明けければ、盗《と》ることハ置ゐて、余所《よそ》にて盗みし金箱、衣類、道具まで持つて出難《でにく》くなりしや、夫婦が帰りし声を聞くと、その身ばかり足をばかりニ逃げ行く。
②萬々の妻
「よもやモウ盗んで帰りましたろう。御帰りなさりませ」
③盗人
「其れだから、マアちつとばかりでも盗れバ良かつたものを、脇で盗んだのまで置ゐて行くとハ、長者の脛《はぎ》へ味噌を付けた詮議《せんぎ》だ」
④本文
兎角《とかく》思う様ニ金も減らねバ、また/\思案し、京大坂から大和巡りと心ざし、道/\も費《つい》へを考え、一日に二三里ぐらいづゝ、ぶらり/゛\と行きける。
⑤手代
「丁度《てうど》金川《かながわ》泊まりで良う御座りませう」
⑥萬々
「金川は金《かね》の縁が煩《うるさ》いから、日高でも川崎へ泊まろふ」
⑦馬方
「此の用、御金を付けると申すハ、馬《むま》の為《ため》ニ御祈祷《ごきとう》ニなります。
四五十里も只《たゞ》、御負わせなされ下さりませ」
【現代語訳】
①本文
思惑通りに泥棒が大勢入るには入ったのですが、あまりの大金のため、持ち出す工夫や荷造りをするのに手間取りました。
夜もほのぼのと明けてしまったので、盗むことは諦め、時間がもうないので、他で盗んだ金箱、衣類、家財道具さえ持って出るのが難しくなりました。
萬々夫婦が帰ってくる声が聞こえると、結局何も持たずに全て置いて、その身一つだけ、その足だけで逃げ出したのでした。
②萬々の妻
「さすがにもう泥棒は盗んで帰ったでしょう。
旦那様も家にお帰りなさいませ」
③盗人(泥棒)
「言わんこっちゃない、ちょっとだけ盗って逃げればよかったものの、余りに多いから欲張ってしまった。
他で盗んだものまで置いていくことになるとは、まさに長者の脛《はぎ》に味噌を付けたようなものだ[あり余っている物の上に、さらに物を加える事をたとえた慣用句]」
④本文
とにかく、思うように金も減らないので、またまた考えて、京・大坂[「現在は「大阪」表記だが、江戸時代は「大坂」表記]から大和[奈良]まで巡ろうと思い立ちました。
道中でなるべく金を使う事も考え、一日にたった二、三里[約十キロ]ぐらいずつ進んで泊まり、ぶらりぶらりとのんびり行きました。
⑤手代
「ちょうど金川《かながわ》[神奈川]で泊まるのがよろしいでしょう」
⑥萬々
「金川は金に縁がある地名でうっとおしいから、まだ日が高くても川崎で泊まろう」
⑦馬方
「これだけ多くのお金を背負う事は縁起が良くて、馬にとっての安全祈願になります。
このままただで四、五十里[約一八〇キロ]ほど背負わせてくださいませ」[?]
【解説】
まんまと泥棒が入ったまでは良かったのですが、お金が多すぎて、もたもたしている内に夜が明けて萬々夫婦も帰ってきてしまったので、泥棒は何も取らないどころか、他で盗んできたものまで置いて逃げてしまったので、またお金が増えてしまったのでした。
懲《こ》りずに今度は旅行で散財を目論《もくろ》むようですが、果たして今度こそうまくいくのでしょうか?ヾ(๑╹◡╹)ノ"
どうやら「三つ目を探せ!」、このお話の最後まで続けるみたいです。。。ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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