※下に現代語訳と解説がありますヾ(๑╹◡╹)ノ"
莫切自根金生木 : 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
唐来参和『莫切自根金生木』[天明5(1785)年刊]
※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。
【翻刻】
①
ありたけのきん/゛\のこらすすて
いまハこゝろニかくるくもはれたりと
よろこぶおりからすてたるきん/゛\
ひとかたまりになりてくうちうへととびあがれバ
このせいニひかれてせかい中のきん/゛\
いつしよにあつまり
まん/゛\がかねぐらさしてとびくるハ
めもあてられぬしだいにて
かないのものともをかねくらのやねへあげて
かねだまをふせがせる
②
かねのうなるこへをはじめてきいたか
なるほどウン/\といふの
③
おふごんがまじつてくるハ
だんなハ大ごんまりだろう
④
むせうニやきミそをやかせるがいゝ
【現代語表記】
①本文
有り丈の金銀、残らず捨て、
「今は心に懸《か》くる雲、晴れたり」
と喜ぶ折から、捨てたる金銀、一塊《ひとかたまり》になりて、空中へ飛び上がれば、この勢《せい》に引かれて、世界中の金銀、一緒に集まり、萬々が金蔵指して飛び来るは、目も当てられぬ次第ににて、家内の者どもを金蔵の屋根へ上げて、金玉《かねだま》[「きん〇ま」じゃないよ!]を防がせる。
②手代A
「金の唸《うな》る声を初めて聴いたが、成程、「うんうん」と言うの」
③手代B
「黄金《おうごん》が混じって来るは、旦那は黄金《おうごん》まり[大困《おおごま》り]だろう」
③手代C
「無性に焼味噌を焼かせるがいい」
【現代語訳】
①本文
萬々は、あるだけの金銀を残らず捨て、
「今は心にかかっていた雲も晴れた」
と喜びました。
しかし、そんなことを言ってる側から、捨てた金銀がひとかたまりになって、空中に飛び上がりました。
この勢いに引っ張られて、世界中の金銀までも一緒に集まって来て、萬々の金蔵目指して飛んでくるのでした。
とても見てはおれないほどの惨状で、萬々は家の者たちを金蔵の屋根に上げて、金のかたまりがやってくるのを防がせました。
②手代A
「金の唸《うな》る声を初めて聴いたが、本当に「うんうん」と唸るんだなあ」
③手代B
「黄金《おうごん》が仲間を集めてやって来ては、旦那は黄金《おうごん》まり、じゃなかった、大困《おおごま》りだろうな」
③手代C
「むやみやたらに焼味噌を焼かせるといいよ[焼味噌はぜいたくな品で、「焼味噌を焼くと金が逃げる」と言われた]」
【解説】
金を全て海に捨てて一件落着と思いきや、捨てた金が海から飛び上がり、世界中の金まで引き寄せて、萬々の金蔵に戻って来て、ますます金が増えてしまうという、ギャグマンガのような展開になりましたヾ(๑╹◡╹)ノ"
「金が唸る」というのは、「ありあまるほどたくさんの金を持っている」[「金を積み上げておいたら、重みに耐えかねたのか、金が唸り声を上げた」という中国の故事に由来]という意味の慣用句ですが、ここでは実際に金が「うんうん」という唸り声を上げてやってきます。
萬々には、もう、これ以上打つ手はなくなったのでしょうか?
ところでみなさん、萬々が最初の方で金を人に貸しまくったことを覚えているでしょうか?
次回に続くヾ(๑╹◡╹)ノ"
もうそろそろ隠れるバリエーションも無くなって来たけど、頑張って隠れたよ!ヾ(๑╹◡╹)ノ"
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